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64話 『進行を妨げるもの』

 颯太とリーナはバイクで急いでマリアネス王国に向かっていた。

 しかし、つい1時間前は普通に通れていた場所が現在は通行止めになっていた。無数の倒木や落石が積み重なり道を塞いでいたのだ。


「この通行止めの仕方……意図的に積み重ねているのは明らかだな!」


「どうするの? 遠回りしていくしかないでしょ?」


「いや、ここを通らなきゃだいぶ時間がロスしてしまう」


 颯太はそう言うと、手のひらを封鎖している倒木や落石に狙いを定めて魔力を上げた。


「リーナ、下がってろ。‶波動旋風〟‼‼‼」


 颯太は手から巨大な旋風を巻き起こして倒木や落石を一気に吹き飛ばした。倒木や落石は発泡スチロールのように軽やかに吹き飛ばされた。


「よし! 先を行くぞ!」


 颯太がそう言ってバイクに乗ると、リーナも頷いてバイクに同乗した。

 その後も道の所々が通行止めになっていて、その障害物を後ろに乗っているリーナが除去していた。

 そしてしばらく走っていると、前方に木を切り倒していたり、崖の方に向かって‶魔獣砲〟を発射している魔獣がいた。

 颯太はそいつが犯人だと確信して、バイクの速度を上げて急接近した。

 その魔獣は颯太たちの魔力を感知して後ろに振り向き、腕を大きく振って斬撃を飛ばした。

 颯太はハンドルをグッと左に傾けてその攻撃を回避した。


「ふー、あぶねえあぶねえ!」


「し、死ぬかと思った!」


 リーナは颯太の急ハンドルによって過呼吸になって地面にペタリと座っていた。


「お前か? 俺たちの通行妨害してんのは」


「その通りだ! てめえらをマリアネス王国に行かせねえようにするのが俺の役目だ! そしててめえはここで死ぬ……なぜなら俺の圧倒的な強さの前にてめえはなすすべなく俺に切り刻まれるんだからなあ!」


 攻撃を仕掛けたオオカミの魔獣はそう言って高らかに笑っていた。

 後ろにいたリーナがこっそりと‶危険レベルチェッカー〟を起動させてオオカミの魔獣を調べていた。


 魔獣名: タイショーウルフ

 特徴 : オオカミタイプの魔獣の上位種。

 狙った獲物は地獄の果てもまで追いかけ続ける執念深い魔獣

 体長 : 2~3メートル

 危険度: 28


「き、危険度28!?」


 リーナはこんなに高い危険度の魔獣を初めて見て驚き飛びあがった。


「リーナ、下がってろ。さすがにこいつ相手だとお前を守りながら戦うのは骨が折れる」


「何言っているの、私も一緒に戦うよ! 私も守られるだけの王女様じゃないぞ!」


「頼む、今回ばかりは俺の言う通りにしてくれ! 俺は今から本気を出す!」


 リーナは颯太の余裕のない顔を見てすぐに後ろに下がった。


「前もそんな感じで格好つけて仲間を先に行かせていたよな?」


 タイショーウルフはニヤッと笑って言った。

 颯太はこの魔獣の言っていることがよく分かっていなかった。


「俺はお前に復讐する時を待っていた! ‶龍斬り〟‼‼」


「お前も過去に俺にやられた奴らの一人か? 悪いが俺は過去に倒した小物は覚えないようにしている。それで、いつやられたんだ?」


 颯太はトロンのことを思い出して呆れながらタイショーウルフに聞いた。


「つい最近のことだよぉぉぉ‼‼ よく思い出してみろよぉ‼ バカがぁ‼‼‼ あと俺を小物扱いしやがったなぁ? ぶっ殺す‼︎‼︎‼︎」


 タイショーウルフは颯太の言ったことに激怒して狂い始めた。


「颯太、あいつもしかしたら合宿の時の送迎バスを襲ったやつらのリーダーじゃない?」


「ああ! なるほど! お前、生きていたんだな……クミチョーウルフ」


 颯太はリーナの助言によってやっと思い出すことができて、タイショーウルフの過去の名前で呼んで挑発をした。


「その名前で呼ぶなぁ‼‼ 俺はお前にやられてお前への恨みによって瀕死状態から回復して進化することができたんだ! そしてその進化にはちゃんとした名前がついてんだよ! その名を……(リーイン)(カーネーション)と言う!」


 颯太はタイショーウルフの言葉を聞いて以前レージスが言っていたことを思い出した。


「そうか……これが転生……いいねぇ、おもしれぇじゃねぇか!」


 颯太はこの魔獣と戦うのは2回目なのだが、(リーイン)(カーネーション)した魔獣と戦うのは初めてだから興奮を抑えきれないでいた。


「さあ! 再戦だ‼‼ ‶龍斬り〟‼‼」


「望むところだぜ‼‼ ‶クミチョーウルフ〟」


「その名前で呼ぶんじゃあねえぇぇぇぇぇぇぇ‼‼‼」


 タイショーウルフは再度激怒して超巨大な‶魔獣砲を発射した。




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