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621話 『厄災の修羅』

「何だこの雷撃は!? 全部俺に向かって放たれてやがる!」


 アシュラSコングは無数に落とされる落雷に身動きがとれず、地面に叩き落される。


 自然の雷の電圧は1億ボルト。さらに加えてその温度は約3万℃ともいわれており、それを直撃すれば感電はもちろんのこと、全身の皮膚も火傷では済まないことになる。即死するのが当たり前である。


 しかしアシュラSコングの強靭な肉体や底知れぬ魔力の前では自然の落雷など強めの静電気程度にしか過ぎず、2秒動きを止めればよい方である。


「分かってるさ! この怪物を雷程度で倒せなんかしないってことくらい! だが一撃で1秒2秒も足止めできるんだったら、何十発何百発も当ててやる!」


 ライディアスはなんと勝てないのを分かっていながらアシュラSコングに真っ向から勝負を挑んでいたのだ。


「僕は彼らがいなければ、未だに眠ったままだった。でもトム君の魔法のおかげでこんな風に戦うことができるようになった。だから彼らが未来へ進むことができるように俺たち‶龍の一族〟が最悪の未来を防がなきゃならないんだ!」


 ライディアスの言葉に刺激を受けた他の‶龍の一族〟も一念発起し、強力な‶魔獣砲〟をアシュラSコングに向けて放つ。


「クソッ! 小癪な! こんな雷さえなければこんな奴らなんかに……」


「馬鹿か! いつまでその剣をもってやがる! 落雷はその剣の金属部分に反応して落ちてんだぞ!」


 落雷にイライラしているアシュラSコング御鬼(ゲキ)は喝を入れ、正気に戻させる。


「確かにこんな奴らにいちいちとイラついてたら仕方ねぇよな! へっ! こんな奴なんか、素手でもぶっ潰せる!」


 アシュラSコングはそう言いすべての剣を地面に突き刺し、勢いよく‶万物の世界樹(ユグドラシル)〟を駆け登る。


 そして太い木の枝から勢いよく飛び出し、1本の腕を黒く変色させる。その腕からは禍々しいオーラが放たれていた。


「あの拳は……まさか!?」


 その姿を横で見ていた敦は、見覚えがあったのか目を丸くする。

 アシュラSコングは悪魔のような笑い方をしながら何体も龍を踏み台にしてライディアスに接近する。すると残った5本の手でライディアスの体を拘束し、黒腕を勢い良く引く。


「くらえ、‶魔拳修羅(まけんしゅら)〟‼‼‼‼」


 バキィィィーーーーーーーーーー‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼


 漆黒の拳はライディアスの長い首に直撃し、小枝が折れるような鈍い音が響き渡る。そしてアシュラSコングよりも一回りも巨大なライディアスの体をそのまま地面へと叩き落す。


「残りの奴らもまとめてひねり潰してやる!」


 アシュラSコングは高らかに笑いながら6本の腕からそれぞれ火、風、氷、雷、光、毒と多彩な色をまとわせる。


「死ね!‶修羅鉄拳祭(しゅらてっけんまつり)〟‼‼‼‼」


 バキバキバキバキバキバキーーーーーーーー‼‼‼‼‼‼


 ライディアスと共に飛んでいた仲間の龍たちもアシュラSコングの多彩なパンチによって、一撃でノックアウトされる。


「ライディアス!」


 族長は急いでライディアスのところへ駆け寄ろうとするが、ガルーダの強靭な足によってガッチリと拘束される。


「張り合いがねぇなぁ! どいつもこいつも! やっぱ‶第一幹部〟のアシュラSコング様には敵わねぇか!」


 ガルーダは自画自賛しながら高らかに笑いだす。


 魔獣名:アシュラSコング

 説明 :‶王格の魔獣(ロイヤルビースト)

 ‶魔獣界〟を支配する‶魔獣軍〟の‶刀剣部隊〟をまとめ上げる‶第一幹部〟。霊長目最上位の魔獣で知能がかなり高く、魔獣の巨体でありながら人間以上に武術に長けている。その圧倒的な力と隙の無い動きから‶厄災の修羅〟と恐れられている。また‶魔獣軍〟の魔獣からは‶刀剣王〟という別称で呼ばれ慕われている。

 全長 :11メートル

 戦力 :570万

 危険度:37


「こ……これが‶厄災の修羅〟」


 敦は以前戦ったアシュラBコングよりもはるか上の世界にいるアシュラSコングを目の当たりにして戦慄する。

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