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62話 『肉体改造部の危機』

 ――マリアネス第一魔法学院から5キロメートルほど離れた場所にある学校、マリアネス第二魔法学院。


 そこの学校に通う生徒たちは武道系統の魔術を得意としている。

 この日も彼らはいつも通り、厳しい修行に励んでいた。


「もっと気合を入れんかー‼‼」


「「「「「おっす‼‼‼」」」」


「この程度じゃあ俺たちよりもでかい魔獣には敵わんぞー‼‼‼」


「「「「おっす‼‼‼」」」」


「もっと力をこめんかー‼‼」


「「「「おーっす‼‼‼」」」」


 ここで修業をしている団体の名前はマリアネス第二魔法学院肉体改造部である。

 この部活に所属している生徒たちは力自慢が集まる学校の中でもさらに力自慢である。


 しかし彼らが修行をしているとき、突如として空間から亀裂が走った。


「む? 何事だ!?」


 部員に指導をしていた部長が異変にいち早く気づいた。

 そしてその亀裂は徐々に割れていくのではなくて、その亀裂の中の巨大な拳が一撃で空間を破壊した。

 その衝撃によって力自慢の肉体改造部の部員たちが簡単に吹き飛ばされた。


「お前ら簡単に吹き飛ばされているんじゃあねえ‼‼」


 部長は障害物にしがみついて吹き飛ばされないようにしながら怒っていた。


「おいおい! 人のこと言えねえんじゃないの?」


 空間の割れ目から姿を現した巨大魔獣が笑いながら言った。

 その魔獣は顔が3つあって、腕が6本生えたかなり奇妙なゴリラ型魔獣だ。

 部長は恐る恐るカバンから‶危険レベルチェッカー〟を取り出して奇妙な巨大魔獣を調べた。


 魔獣名: アシュラBコング

 特徴 : 3体のBゴリが合体(ユニオン)した姿。

 3つの顔はそれぞれ違う性格を持ち、仲が悪い。

 顔が3つあることで360度すべてを見渡すことができるため、背後をついた攻撃が通用しない。

 6本の腕から繰り出される連打はかなり凶悪。

 体長 : 10メートル

 危険度: 26


「き、危険度20越えの魔獣なんて初めて見たぞ!」


 初めて見る巨大な魔獣に部長と他の部員は驚愕していた。


「俺と戦いてえ奴は前に出てこい‼ まあ出てこなかったらこの学校を破壊するだけなんだがな!」


 アシュラBコングは両拳をぶつけ合いながら挑戦者を募っていた。


「お前、あんまりこの肉体改造部をなめんじゃあねえぞ‼‼」


 部長が先陣を切ってアシュラBコングの前に立った。


「てめえは何もんだ?」


「俺は肉体改造部部長兼、マリアネス第二魔法学院の校内ランキング第4位のマッチョッテだ!」


 マッチョッテは自分の筋肉を見せつけながら自己紹介をした。


「ほーう! 校内で4位の実力者か……これはラッキーだぜ! 俺も自己紹介してやろう‼ まあどうせ死ぬから教える義理はねえがな。俺の名はアシュラBコング‼‼ 魔獣軍‶幹部補佐〟だ!」


「お前が何もんだろうがお前を倒さねえとこの学校は救われねえ! だから俺は戦う!」


 マッチョッテはそう言ってアシュラBコングに単身勝負を挑んだ。

 マッチョッテは自分の右腕を巨大化させてアシュラBコングを殴った。

 この攻撃はかなり威力が高く、さすがのアシュラBコングも少しよろけた。


「ほーう? 少しはやるじゃねえか!」


 殴られた顔がニヤッと笑ってそう言った。


「おい! さっさと反撃しなくていいのか?」


 殴られた中央の顔の右の顔が甲高い声で中央の顔に言った。


「なーに、そんなに効いていないっつーの!」


「おい! あの野郎!!! 一発当てたくらいで勝った気でいやがるぞ!」


 左の顔がおっさんのような声で怒りながら喋った。

 マッチョッテはアシュラBコングがそこまでダメージを受けていないことを察して、立て続けに攻撃をしかけた。


「ならばこれはどうだ!!! ‶ジャイアントラッシュ〟!!!!」


 マッチョッテは両腕を巨大化させてアシュラBコングに向かって連打した。

 しかしアシュラBコングは6本の腕でマッチョッテの攻撃を全て防いでいた。


「そんなパンチじゃあ一生俺には当たらんぞ!」


 アシュラBコングはマッチョッテの巨大化させた右腕を掴んで遠くに投げ飛ばした。


「グァァァァ!!!」


 マッチョッテはそのまま校舎に突っ込んだ。

 校舎の壁には大きな穴ができていた。


「てめえのその能力、普通じゃないな?」


 正面の顔が校舎の穴に向かってそう言った。


「そうだ! 俺は‶無の奇才者〟そしてその能力は巨大化だ!!!」


 マッチョッテは瓦礫(がれき)から姿を現して、血を拭きながら言った。


「奇才者? 聞いたことがあるぜ! そいつらは確か‶魔導神装〟が使えるんだろ? さっさと使え! でないとお前は確実に俺たちに殺されるぜ!」


 左の声が低い声でマッチョッテに忠告した。


「忠告感謝する! だが俺は端っから使うつもりだった!」


 マッチョッテはそう言うと、ハァァァア! 気合いを入れ始めた。

 するとマッチョッテの魔力がみるみると上昇した。


「巨人よ、誰よりも大きく、そして強く! ‶魔導神装〟!!!!」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!


 マッチョッテの体はどんどん巨大化して、最終的にはアシュラBコングと並ぶ位の大きさになった。


「どうだ!!! これが俺の‶魔導神装〟だ!」


「へー、おもしれー! これだと誤って踏み潰してしまう恐れもなくなったな!」


 正面の顔が笑いながらそう言った。


「俺の力、見せてやるよ!」


 マッチョッテはそう言うとアシュラBコングの方へ走って行った。


「‶ジャイアントストレート〟」


 マッチョッテの右ストレートがアシュラBコングの胸部にヒットした。

 アシュラBコングはマッチョッテの攻撃によってふらついて転びそうになった。


「確かに、さっきの攻撃よりもつえーな!」


 正面の顔は自分の胸を抑えながら興奮していた。


「俺のパワーはこんなもんじゃねーぞー!」


 マッチョッテはそう言うと自分の剛腕でアシュラBコングの腕を掴んでグルグルと振り回していた。


「くらえ! ‶ジャイアントスロー〟!!!」


 マッチョッテはアシュラBコングを校舎の外に投げ飛ばした。


「キ! なんてパワーなんだ!」


 右の顔が甲高い声で驚愕していた。


「これで終わりにしてやる!」


 マッチョッテは高く飛び上がって倒れているアシュラBコングに攻撃をしかけた。


「‶ジャイアントラッシュ〟!!!」


 アシュラBコングはマッチョッテにボコボコに殴られた。

 マッチョッテは自分の魔力のそこが尽きるまで殴り続けようとした。

 しかしアシュラBコングはマッチョッテのパンチを鷲掴みして攻撃を止めた。

 そしてアシュラBコングはもう片方の腕でマッチョッテを思いっきり殴って、マッチョッテは数十メートル吹っ飛ばされた。


「残念だったな! お前の攻撃は不合格だ!」


「何!?」


「感じたか? 俺のパンチ。俺はてめえよりも強いパンチを打てる腕があと5本もあるんだぜ! そしてお前のパンチは重みも感じなければ遅い!」


「まさか、わざと攻撃を受けていたのか!?」


「ああ! お前の調子に乗った態度を見るのがたまらなくてな! これからお前が絶望する姿を見るのが楽しみだぜ!」


 アシュラBコングは笑いながら言って、その後に魔力を爆発的に上げた。


「‶戦闘体勢〟!!!」


 アシュラBコングの左右の顔が正面の顔と同じ方向を向いて、左右の顔の腕も正面の顔の腕の方を向いた。

 つまり、3つの顔と6本の腕は全てマッチョッテの方を向いたのである。


「今から連打っていうのを教えてやるよ! ‶修羅殴り〟!!!!」


 ズドドドドドドォーン!!!!


 アシュラBコングの6本の腕が一斉連打を始めた。

 マッチョッテは重いパンチと無数の連打によってボコボコに殴られていた。

 そして最後の1発を受けていたの校舎の方へ吹っ飛ばされた。

 そして吹っ飛ばされたマッチョッテの巨体は校舎を半壊させた。

 アシュラBコングは元の姿に戻って拳に着いた血を振り払っていた。


「さてと、勝負も着いたところだし、そろそろこの学校を破壊するか! ‶魔獣砲〟!!!」


 正面の顔は口を開いて青白い閃光を生成させていた。

 しかしその時、炎をまとった人間がアシュラBコングに超速接近してきた。


「俺の学校を破壊するんじゃねー!!!! ‶炎天暴流脚〟!!!!」


 炎をまとった人間は勢いに乗ってアシュラBコングに炎の飛び蹴りをくらわせた。


 アシュラBコングはマッチョッテの‶ジャイアントスロー〟よりも遠くまで吹っ飛ばされた。


「いてててて! 一体なんなんだ!」


 蹴られたアシュラBコングは顎を抑えながら半ギレ状態になっていた。


「どうだ! 俺の蹴りは? 結構効いただろ?」


「ああ! むかつくほど効いたぜ! 円城敦!!!」


 アシュラBコングは怒りながら魔力を上げた。



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