61話 『変体で変態の魔獣、ジェンダーウロス』
「みんな! こいつキモイからさっさと勝負をつけよう!」
ロゼはそう言うと、自分の魔力を最大限まで上げた。
「絶海よ! 孤独に唄え! ‶魔導神装〟‼‼」
ロゼは人魚の姿になって大空を海中のように泳ぎ回った。
それを見たジェンダーウロスは、
「ウオォォォ! マーメイド‼‼ イイ‼‼」
と言って興奮し、勢いよく飛び上がり襲い掛かった。
しかしロゼはジェンダーウロスがこう来るということは読んでいたため、自分の尾びれから水の竜巻を起こして反撃に出た。
「これでもくらえ! ‶アクアテール〟‼‼」
ロゼは水の竜巻を振り回してジェンダーウロスを叩き落した。
そしてロゼは地面に叩き落されたジェンダーウロスに追い打ちをかけた。
「‶JETスプラッシュ〟‼‼」
しかしジェンダーウロスは飛んでくる水の散乱銃を見て、ウオォォォォと興奮しながら、
「さあ! 君の攻撃に僕もこたえようじゃないか! 僕の気持ちを受け取って、‶フラストレーション・アロー〟‼‼‼」
ジェンダーウロスは桃色の液体の矢を乱射し始めた。
そしてその矢はロゼの水の散乱銃をかき消して、数発その矢がロゼに刺さった。
しかしロゼの体が傷つくことなく、その矢はすうっと体内へ浸透した。
その瞬間、ロゼの顔が赤く火照り始めた。
「何!? これ……体が熱い‼‼」
そしてロゼは自分の胸を抑えながら膝をついてしまった。
「ハッハッハー! 俺の攻撃を受けたものは性的欲求不満に陥ってしまい、頭の中は想い人でいっぱいになるのさ! もちろん、その想い人は私だけどな!」
ロゼの目や頭の中はぼやけてしまい、認知能力が低下してしまった。
「そ……、颯太君……」
ロゼの頭の中は颯太でいっぱいになっていた。
さらにロゼはジェンダーウロスのことが颯太に見えて近づいていった。
「俺の愛が欲しいか?」
「ほ……欲しい……」
「おい! 目を覚ませ! ロゼ!」
どんどん近寄っていくロゼをエリーサは引き留めようとしたが、ロゼにエリーサの声は届かなかった。
「その程度ならダメだな!」
「え?」
パシン!
ロゼはジェンダーウロスにビンタをされて吹き飛ばされた。
「な、何で!?」
「まだ君の私に対する愛が足りないからだ! 俺をもっと楽しませろ!」
ジェンダーウロスはその後も近寄って来るロゼをビンタして吹っ飛ばしていた。
その光景があまりにも屈辱的でこれ以上は見ていられないと思ったエリーサは、
「死ね! クズ野郎!」
と剣を抜いてジェンダーウロスに接近した。
しかしジェンダーウロスは、
「部外者は引っ込んでろーーー!!!!」
と言って魔力を爆発的に上げて、エリーサを吹き飛ばした。
「もうお前じゃあ俺の欲求は満たされない! 俺に対する愛を全く感じない!」
ジェンダーウロスはそう言って手から青白い閃光を生成させてそれをロゼに向けた。
「お前を俺の下僕にならしてやってもいいぜ! そして俺に一生尽くせ! そしたら俺もお前にも愛をやるかもな!」
ロゼはその言葉を聞いて前に颯太が言った言葉を思い出した。
『俺は誰にも従わねえし、誰も従わさせねえ!』
そしてロゼは手をジェンダーウロスに向けた。
「‶カスケードライフル〟」
ロゼの手から水が出て、その水流が螺旋状に回転しながらジェンダーウロスの腹部に直撃した。
そしてジェンダーウロスは腹を抑えながら数十メートル吹っ飛ばされた。
「俺の愛の呪縛から逃れるだと!?」
「冷静になって考えたら、颯太くんがそんなこと絶対言わないよね!」
「ま、まさかお前には俺が別の男に見えていたのか!?」
「そうだよ! 私はあなたの技を受けなくても最初っから私の頭の中は颯太君でいっぱいだよ!」
「そんな! それじゃああのキモイとか言っていたのは照れ隠しじゃなかったのか?」
「はあ? そんなわけないでしょ! ごめんなさい! 私はあなたのことが大っ嫌いです!」
ガビーーーーーーン!!!!!
ジェンダーウロスはロゼの放った一言がショックでたまらなかった。
そしてジェンダーウロスはショックによってさらに魔力が上がった!
「おのれー! 小娘どもがー! 生きて帰ってこられると思うなよ!」
「それはこっちのセリフよ! 行くよ! ‶マーメイドソング・革命〟!!!」
ロゼは透き通るような声で歌い始めた。
そしてその歌によって自分とエリーサ、ミーア、キャシーの魔力が一気に上がった。