06話 『魔導神装』
――バリバリバリバリーーー‼‼
リーナの魔力が倍増した。さらにリーナの姿も変わった。
リーナの姿は、ミニスカートの制服から、美しい赤いドレス姿へと変容したのである。
武器も、身長よりも少し短い槍から、軽量のレイピアへと形を変えた。そのレイピアから常にバチバチと電気を帯びている。
「どう? 〝魔導神装〟した私の姿は?」
「マドウシンソウ?」
「魔導神装したら、私の魅力だけじゃなく、魔力と戦闘能力が格段にアップするの!」
「……いやいや、今お前の魅力関係ねーだろ!」
「な、なんですってー‼」
颯太のデリカシーの欠片もない一言によって、リーナは激怒して、魔力がまたさらに上がった。
「パワーアップした私の攻撃、受けてみろ! 〝サンダーポーク〟‼」
そう言うとリーナは激しくバチバチと音を立てているレイピアを突き立てて、全力で颯太の方へ突進してきた。そのうえ移動速度も格段に速くなっている。
「何回やったって同じことだ! 〝ハードボディ〟!」
颯太は腕に見えない鎧をまとって、腕をクロスにしてリーナの攻撃を防ごうとした。
ズドォーーーン‼‼‼‼
しかし、リーナの攻撃は颯太の見えない鎧を破壊して、レイピアの先端は颯太の左腕に突き刺さっていた。
「くっ‼‼」
颯太は急いで後ろに下がった。颯太の左腕から血がぽたぽたと垂れていた。
(まずいなー、一度防御魔法を破られたら、しばらくの間再使用はできないんだよなー)
颯太は距離をとって考え事をしていたが、リーナは次の攻撃の準備をしていた。
「休んでいる暇はないぞ! 〝サンダーポーク・マシンガン〟‼‼」
毎秒100回といったところか。リーナの凄まじい連続突きが颯太を襲う。
「ハチの巣になってたまるかよ! 〝風流し〟」
颯太の腕に風がまとって、リーナの連続突きを全て、風を利用して受け流していた。
「リーナ様の連撃を全て受け流した!?」
会場ではエリーサだけではなく、誰もが驚いているだろう。
「恐らく彼は風のオリジナル魔法を相当使いこなして居るようじゃのう」
人々が驚く中、レージス学長は冷静に解説していた。
颯太はその後反撃に転じて、連続突きをするリーナを蹴り飛ばした。リーナはかろうじて颯太の蹴りをレイピアでガードして華麗に受け身をとった。
しばらく二人の攻防が続いた。主にリーナの攻撃を颯太が躱すというような感じであるが。
二人の攻防に観客も大盛り上がりで、中には颯太を応援する者もいた。
しかしその応援にいら立ったのか、ついにリーナが決めにかかった。
「これで終わりにしてあげるわ! 〝サンダーランス〟!」
リーナは、レイピアから槍型の電撃を飛ばした。しかし、今放った〝サンダーランス〟は、〝魔導神装〟する前の〝サンダーランス〟よりも大きく、そして速い。
「さっき見たやつよりも速くて強そうだ! だが、もうその技は見切った!」
颯太はそう言って高く飛んで躱した。しかしリーナはそれをわかっていたかのような顔をしていて不敵な笑みを浮かべていた。
「まだだ! 地獄の果てまで追い続けなさい! 〝ホーミング〟‼」
リーナがそう言うと、直進していた槍型の電撃は軌道を変えて、颯太を追いかけた。
「ナニーー!? 追いかけてきた!」
そう言うと、颯太は迫ってくる槍型の電撃を躱し続けた。
リーナはさらに追尾する〝サンダーランス〟をもう3発放った。
颯太はもうこれ以上はよけきれないと思い、〝鎌鼬〟を飛ばした。しかし、槍型の電撃は〝鎌鼬〟をよけて追撃してきた。
「エーーーー‼‼‼‼」
もう遅かった。4発の槍型の電撃は颯太に直撃した。颯太がひるんでいる間に、リーナはレイピアを空に向けて、彼の真上に巨大な雷雲を生成していた。
「これで終わりよ!」
「なんだぁ? あのでっかい雲は」
颯太が雷雲をぼーと眺めていたら、リーナは声を張り上げて唱えた。
「〝ビッグ・サンダーボルト‼‼‼‼‼〟」
リーナはレイピアを下に振り下ろすと、雷雲から巨大な雷が落ちた。
ズドドドドドドドドドーーーン‼‼‼‼‼‼‼‼
金色の雷は激しい光を発しながら会場全体を包んだ。