58話 『危険な予感』
「えー、この魔術の能力はこうでこうなって……」
フリックは黒板に魔法陣を書いて説明をしていた。
みんなはこの授業をしっかりと聞いていたのだが、颯太だけは上の空になっていた。
「あの仮面の男……やつの攻撃が全く見えなかった。そして奴は俺を攻撃するその瞬間まで魔力を消していた……そんなことが出来るのか?」
フリックがぼーとしている颯太に気づいて颯太に近寄ったが颯太は全く気づいていない。
「レージスのじいさんの言ったこともなかなか気になるところだ。いつ魔獣軍が攻めてくるか……警戒は怠らない方がいいな!」
ブツブツと独り言を言っている颯太をクラスのみんなは不審がっていた。
「雨宮君! 授業に集中しなさい!」
「出たな魔獣!!! くらえ! ‶魔獣砲〟!!!!!」
ズドォーーーーーーーン!!!!!
颯太を注意しに来たフリックは至近距離で颯太の‶魔獣砲〟を受けて顔は真っ黒になって髪の毛は爆発していた。
「ご、ごめーん!!! ……生きてる?」
「……あ、雨宮君……廊下に立っときなさい」
フリックは怒りを抑えながら颯太にそういった。
「え? なんて言いました?」
「トゥワッとぉけえぇぇ!!!!!」
本当に聞こえなくて聞き返した颯太にフリックは我慢できなくなって声を張り上げた。
そしてフリックは颯太を教室から追い出して授業を再開させた。
「さすがフリック先生! 颯太っちの‶魔獣砲を〟受けても尚平然と授業を進めるなんて!」
「いや、全然平然としていなかったけどね!」
感動している静香にリーナは呆れた顔でツッコミを入れた。
フリックに剣で思いっきり頭を殴られた颯太は後頭部に大きなたんこぶをつけてバケツを持って廊下に立っていた。
「いててて! フリックめ! 真剣で俺の頭を殴りやがって! 俺が頭に‶鋼筋武装〟してなければ真っ二つになっていたところだぞ!」
颯太が文句を言いながら廊下でじっとしていたときに、遠くのところで大きな魔力を感じた。
「この魔力は一体なんなんだ?」
その巨大な魔力は1つだけではなかった。
颯太も感じたことがある巨大な魔力が複数個と今まで感じたことがないほどの巨大な魔力が一つあった。
「様子を見に行きてえがここからだとかなり時間がかかるなあ」
そして複数の巨大な魔力が1時間もかからずに一斉に消えた。
颯太は何があったのか確かめに行くために、学校が終わった後にバイクに乗ってそこへ行こうとしていた。
そこにリーナがやって来て、
「私も行きたい! 私も乗せてって!!」
と言った。
颯太は断る理由がなかったからリーナを乗せて出発した。
「うわぁー! はやーい!!! 馬とは比べ物にもならないほどだな!」
「だが気をつけろよ! 俺はそこまで運転が上手では無いぞ! だからせいぜい振り落とされるなよ!」
「え? どういうこ……ギャーーーーーー!!!!!」
颯太はそう言ってバイクのギアを変えて速度を上げた。
リーナはあまりの速度に驚き、泣き叫んでいた。
颯太がバイクで飛ばしたから馬車だと3日かかる所をわずか3時間程で目的地に到着した。
「さあ、着いたぞ!」
「う……うん……おつかれ〜」
リーナはげっそりとした顔で颯太に言った。
颯太達はまだ敵がいるかと思い、警戒しながらその町に近づいて行った。
「う、嘘だろ! これ!?」
「し、信じられない!」
町に着いた途端2人は驚愕して目を疑ってしまった。
なんとその町は元の状態がどんなのだったのか分からないほどに壊滅していた。




