56話 『仮面の男』
颯太はその爆発の中に飛び込んで行って、そこから全身かなりの火傷を負ったトロンを引っ張り出した。
「……死んでねーよな?」
「なぜだ!? なぜ俺を殺さない!」
「はあ? 俺をおめえらと一緒にするんじゃねえ!」
「さっさと殺せ! 殺そうとしたやつに助けられるなんて屈辱だ!」
颯太はトロンの言葉にため息をつきながら呆れていた。
「お前勘違いしてね? 俺はお前を助けたつもりは毛頭ない! お前にはこのまま王国軍に連行されてお前のバックには誰がいるのかを豚小屋で洗いざらい話してもらうからな!」
颯太はそう言ってトロンをリーナと静香のところへ連れてきた。
そして颯太は深呼吸をしながら黒いオーラを消すと、ガクッと膝をついてしまった。
リーナと静香は急いで颯太に肩を貸した。
「わりーな! 最近お前に助けられてばっかだな!」
「なーに、そんなのお互い様だろ! あんまりしゃべると傷口が開くからじっとしてろ!」
リーナは母親のように颯太を注意していた。
「リーナっち、もう王国軍に連絡とった?」
「いや、これからしようと思う。だから颯太を馬車に運んだあとは、私達が倒した‶ザ・ワイルド〟の連中らも回収しないといけないな!」
「その必要はないよ!」
「「!?」」
リーナと静香は聞き覚えのない声に驚いて声のする方に振り向いた。
するとそこには白色の中に黒色の模様がついている仮面をつけた男がいた。
「な、何者だ? お前」
「ん? 僕のこと? 僕はそこに倒れているトロン君の率いる組織、‶ザ・ワイルド〟の取引相手さ! ‶闇ギルド〟って言えばわかるかな?」
「「や、‶闇ギルド〟!?」」
リーナと静香はそれを聞いて、急いで仮面をつけた男から距離をとった。
「それにあの仮面の模様はおそらく幹部だ! とんでもなくやべえな!」
(あの颯太が焦っている……それじゃああいつはそんなにやばい奴なのか?)
リーナは颯太の表情を見てその男に一層の警戒をした。
「キーキッキッキー! 俺を助けてくれるのか? さっさと助けろ! 俺はお前らの大事な取引相手だぞ!」
とトロンが仮面の男に言ったら、
「違うよ! 僕があの方から受けた命令は君の殺処分だよ!」
と言った。
トロンはその言葉を聞いて恐怖を感じ始めた。
「なぜだ!? いやだ! 死にたくなーい‼‼‼‼」
「うるさい」
ドゴォォォォォォォン‼‼‼‼
仮面の男がぱちんと指を鳴らすと、トロンの体は爆発してトロンは跡形もなく消し飛んでいた。
それを見ていたリーナと静香は顔がサーと青ざめていた。
その隣では颯太が怒りが爆発しそうになっていた。
「お前、今何をしたのかわかってんのか?」
「当然! 彼を抹殺しただけだよ!」
颯太は仮面の男のすました返答にとうとう堪忍袋の緒が切れて魔力が爆発的に上がった。
「お前はこの手でぶっ飛ばさねえと気が済まねえ!」
颯太はリーナと静香の手を振り払って右手に魔力を集中させた。
「僕を倒すつもりかい? ははっ! やめておけ! 今の状態で僕に勝てると思うのかい? ましてや万全の状態でも僕を倒せるかどうか?」
「ゴチャゴチャとうるせえんだよ! くらえ! 疾風螺旋け……グホッ!?」
いつの間にか仮面の男は颯太の後ろにいて血のついた刀を鞘に納めていた。
そして颯太は胸部から腹部までを斬られてそこから血が吹き出てきた。
「ば、バカな!?」
と言いながら颯太は倒れた。
「颯太!?」
「颯太っち!?」
リーナと静香は倒れた颯太に急いで駆けつけていった。
「さ、次は君達の番かな?」
仮面の男はリーナと静香にそう尋ねて一気に魔力を上げた。
静香はその高い魔力によって意識を失ってしまったが、リーナはかろうじて耐えていた。
恐らく普段から颯太の凄まじい魔力を間近で体感していたから耐性が着いていたのかもしれない。
「あんたよくも颯太を!」
リーナは涙目になりながらぷるぷるとレイピアを仮面の男に向けていた。
「僕の高魔力に耐えれるのは褒めてやろう! だが、耐えているだけであって君は僕に反撃をすることはできないはずだ!」
仮面の男はそう言いながらどんどんリーナに近づいていた。
しかし、
ウーーーーーン! ウーーーーーン!
と空からサイレン音がなり始めた。
「チッ! もう奴らにバレてしまったか! …………仕方がないな、ずらがるか!」
「待てよ!」
「君……まだ生きていたのか? しぶといね〜」
仮面の男は颯太が立ち上がったことに感心していた。
「君は神を信じるかい?」
「何の話だ?」
「仮にこの世界を神が創造したとして、どうして神は人間だけじゃなく魔獣も創造したのか?」
「…………」
「君たちはこの世界のまだ1割しか知らない……僕たちの元へたどり着きたいのならこの世界の全てを知るといい!」
仮面の男はそう言うと一瞬にして姿を消した。
次話からさらに激しい戦闘シーンが満載です!
皆さん続きよろしく(*・ω・)ノ
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