55話 『圧倒的な巨神兵』
「あんた! 調子崩したら元の状態に戻るぞ!」
颯太はリーナの言葉で正気を取り戻して急いで黒刀を拾ってトロンの攻撃に備えた。
「雨宮颯太! お前は俺の人生をめちゃくちゃにした罪で死刑だぁ! 〝巨人の一撃〟‼‼」
「チッ! あんなのくらったらひとたまりもないぜ! ‶疾風脚〟‼‼」
颯太はジェットで接近してきて巨大な右腕で殴り掛かってくるトロンを超速移動より速い速度でうまくかわした。
しかしトロンのパンチは地面を崩壊させて近くにいたリーナと静香を奈落の底へと落とした。
それに気づいた颯太は超速移動で2人を救出してトロンから離れていった。
「キーキッキッキー! ちょこまかと逃げるんじゃないよ! ‶砲弾の雨〟‼‼‼」
トロンは自分から離れていく颯太たちに狙いを定めて大砲を機関銃のように連射した。
「こいつはまずい! ‶黒鴉旋風〟‼‼」
飛んでくる砲弾に危険を感じた颯太は刀を振って黒色の巨大旋風を巻き起こした。
その旋風に巻き込まれた砲弾はたちまちバラバラに切り刻まれていた。
颯太はリーナと静香を安全地帯でおろすと、
「やつの狙いは俺だ! だからお前らはここで待機しとけ! 決して俺に近づいたりするなよ!」
と言って超速移動をしてトロンを遠くの方へ誘導した。
「おーい! こっちだ! くそ要塞! のろま大将!」
颯太は小学生並みの挑発をしてトロンを誘導していた。案の定トロンは颯太の挑発によって怒りが爆発しそうになっていた。
「許さん! 許さんぞーー! 雨宮そうたぁぁぁぁ!」
怒り狂ったトロンはジェット噴射が強くしてさらに速度を上げた。
「お前にプレゼントやるよ! ‶大鎌鼬〟‼‼」
「そんなもんいるかよ!」
颯太は黒風の巨大斬撃を飛ばすと、トロンは左腕でその攻撃をガードした。
しかしトロンの左腕はその斬撃によって粉々に粉砕してしまった。
「くそ! ‶大鎌鼬〟でも腕一本か~!」
思ったほどダメージを受けなかったトロンに対して颯太は若干へこんでいた。
「このまま少しずつ攻撃をしてあの巨神兵を再起不能にするしか方法がなさそうだな!」
颯太はそう言うと‶鎌鼬〟をたくさん飛ばして動く要塞に少しずつダメージを与えていた。
「そんな攻撃で俺を破壊なんてできるかー! 」
トロンは大砲を数弾発射して反撃をしていた。
颯太は飛んでくる大砲をジャンプしてかわすと、着地した時に砕け散った左腕の欠片を踏んでしまった。
するとその欠片が反応して周囲から液体金属が出現して一瞬にしてミスリルの巨大な箱ができて颯太をその箱に閉じ込めた。
「キーキッキッキー! 引っかかったな‼ こいつは特殊な魔法がかかっていてな! 中からは絶対に破壊できないようになっているんだ!」
スピーカー越しからトロンの笑い声が聞こえてくる。
しかし颯太はまだあきらめておらず、トロンの行動を冷静に探っていた。
(あいつのことだ! おそらくさっさと俺をぶち殺してえはずだからさっきのパンチで俺ごとあの箱を破壊するに違いねぇ!)
「キーキッキッキー! 死刑執行だ! ‶巨人の一撃〟‼‼」
颯太の思った通りにトロンは巨大な拳で颯太のいる箱を潰そうとしてきた。
(やはり攻撃してきたな! あとはそのパンチで箱の天井が破壊されるタイミングを狙うのみ!)
ゴゴゴゴゴゴ‼‼‼
(…………)
ゴゴゴゴゴゴ‼‼‼
(…………)
ゴゴゴゴゴゴ‼‼‼
「今だ‼‼‼ ‶疾風螺旋双竜拳〟‼‼」
トロンのパンチが箱の天井を破壊すると同時に颯太は飛び出て両拳に漆黒の旋風をまとわせて両拳で同時にパンチをした。
そしてその漆黒の旋風は黒竜へと形を変えて2体の黒竜はトロンの巨大な拳をぶち抜いた。
「キキーーーー!? 俺の右腕がーーー‼‼‼」
「覚悟はいいか!? くそ錬金術師‼‼ せいぜい死ぬなよ!
‶漆黒の魔獣砲〟‼‼‼‼」
黒い閃光は見事に要塞の中央に大きな風穴を開けて、30メートルを超える巨神兵は大爆発を起こした。