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53話 『雨宮颯太の弱点』

「お前、何しやがる! この魔法……もしやお前、‶ゴールドランク冒険者〟に成りたての桐原静香だな!」


 上からの圧力をかけられているトロンは(くび)だけを上げて言った。


「お前は確か俺と同じ‶無属性の奇才者〟の重力使いだったな?」


 トロンはそう言うと、首だけではなく右手も頑張って上げて右手で巨大な剣を操作して颯太の方から静香の方に向けて数本飛ばした。

 静香はその攻撃をジャンプしてかわしたのだが、そのせいでトロンにかけていた重力が解けてトロンは再び起き上がった。


「この島には誰も入れないように部下たちを各地に配置していたのだがな」


「ああ! そいつらなら全員さっきのあんたみたいな状態で伸びているぞ!」


「チッ、使えねえ奴らだなあ! まあいい、お前の重力空間に入らなければいいだけの話だ! くらえ! ‶砲弾(レーゲン)(・フォン・)(ヴァッフェ)〟」


 トロンは地面から直径50センチメートルはありそうな大きな銃口をたくさん備えたミスリルの防壁を錬成してそのすべての銃口は静香の方を向けて一斉射撃をした。


 ズドドドドドドドォーーーン‼‼‼‼


 トロンの容赦のない射撃は地面に風穴を開けるほどの破壊力で静香の安否がわからないほど連続で発射して、土煙が舞い上がった。

 土煙が収まると、静香と静香の足場だけ無事でその前方の地面は底が見えないほどに陥没していた。


「あなたが撃った砲弾に重力をかけて全弾私の手前で落下させたんだ」


 静香の言葉に驚くトロンに静香は続けて、


「たぶん私の能力とあなたの能力はかなり相性が悪いと思うよ! その証拠に……‶重力波〟」


と言ってトロンの防壁の上部に静香は‶飛太刀〟を振って(なみ)を放った。

 波に触れた防壁の上部に数倍の重力がかかって土台が支えきれなくなって防壁が崩落してしまった。


「造形魔法は速攻で造形しなければいけないから大抵のものは土台がしっかりしていない場合が多いんだ!」


「チッ! そこまで気づいていたのか!」


「だが今度はこちらから行くよ〜! ‶喰羅靡斬(グラビざん)〟!!!」


 静香は刀を振り上げて、振り下ろす直前に自分の刀に重力をかけて自分の振る力と刀の重さを合わせた力で刀を振り下ろした。

 ‶飛太刀〟は刀を振る力が強ければ強いほど強い斬撃を飛ばすことが出来る刀なので重力を加えた斬撃はとんでもない威力になる。

 静香は最大威力の斬撃を飛ばして、その斬撃はトロンの方へ飛んでいく。


「そんなもん止めてやる! ‶巨人(ヴァント)(・フォン・)(リーゼ)〟!!!」


 トロンはそう言って20メートルを超える分厚く巨大な壁を錬成して凄まじい破壊力の斬撃を受け止めた。


 ズドォーーーーーーーン!!!!!


 分厚く巨大な壁はなんとかその斬撃を受けとめることが出来たのだが壁は大きく凹んでギリギリで耐えたような感じだった。

 しかし静香の後ろから既に‶魔導神装〟をしたリーナが飛び出してきて、


「‶サンダーランス!〟」


と言って槍型の電撃が凹んでいる壁に直撃して、巨大な壁は大破してその隙にリーナはトロンに接近して、


「‶サンダーポーク・マシンガン〟」


と言ってレイピアでトロンに連続突きをした。

 トロンのミスリルの鎧は破壊することは出来なかったが、レイピアにまとっていた電気がトロンの自身の体に直接流れてトロンは感電した。


「チッ! 邪魔なやつがもう一人増えやがったな!」


 トロンはそう言うと右手から拳銃を錬成してリーナに連続発砲した。


 リーナはレイピアで弾丸を打ち返しながらトロンの銃撃を回避していた。

 そして左手で剣を錬成して剣を飛ばし、コントロールさせて静香を追尾させた。

 これによって静香はトロンに重力をかけるタイミングを失ってしまった。


「キーキッキッキー! お前ら程度大したことないわ!」


「うるさい! ‶サンダーランス〟!」


 トロンの挑発に怒ったリーナは槍型の電撃を飛ばして反撃したが、


「ざんねーん! バーン!」


とトロンはリーナの‶サンダーランス〟に向けて発砲してリーナの攻撃を相殺した。

 そしてリーナと静香は追い込まれて周りが見えていなくて、2人は衝突してしまった。


「痛い! あんたどこ見て走っているの!」


「君だってもっと上手く避けられないの〜?」


とリーナと静香が言い合いをしているうちに、2人の周囲の地面からミスリルの壁が出現して、それが変形して箱型になって2人を閉じ込めた。


「あ〜! やばい〜! 閉じ込められた!」


「あんたの能力で天井に重力をかけたら天井に穴が開くんじゃないの?」


「でもそんなことをしたら、リーナちゃん崩落した天井に押しつぶされちゃうよ〜!」


「そ、そうか……じゃあどうする?」


「颯太っちを信じるしかないよ! 颯太っちの()()()を使えばあんなやつ簡単に倒せるんじゃない?」


「それがあいつの()()()は色々と不安定らしいんだ」


「ん? どういうこと?」


「それは……」


 リーナは前に颯太が言っていたことを静かに話した。





 ――颯太がコカリスクを倒した後、颯太はリーナの肩を借りて帰っていたときに聞いた話である。


「なんであんたあの黒い力をさっさと出して倒さないの?」


「別に手加減している訳じゃないんだ! あの力は俺もよくわからないんだけど大きく分けて二つのリスクがあるんだ!

 一つは長時間使用していると体力をごっそりと持っていかれてしまうんだ。それは前にも言っただろ? それだけのリスクならお前の言った通りにさっさと出して倒せばいい」


「確かにそうだな」


「だが問題はもうひとつのリスクなんだ! もうひとつのリスクは一度解除してしまうと30分ほど再使用出来なくなってしまうんだ! それとあの力はある程度の殺意を持っておかないと維持出来ないんだ! 気持ちが少しでも揺らぐと自然と解けてしまうんだ」





 ――現在


「なるほど〜、そんなことを言っていたのか〜!」


「だから私は決めたんだ! あいつの背負っているものを私も一緒に背負っていくってな! それがあいつに助けられた私の使命だからな!」


とリーナがニッコリと笑いながら言った。


 それを聞いた静香は、


「カッコイイ! 私、リーナっちに尊敬する〜!」


とリーナの手を握って感動していた。


「ちょっと! そんなことを言われると恥ずかしいぞ!」


とリーナが照れながら言った途端、


 ズドォーーーーーーーン!!!!!


と大きな音を立てて箱の内側から無数の銃口が現れた。


「キーキッキッキー!お前らは身動きが取れないまま蜂の巣になってしまうんだよ! 安心しろ! 死体はちゃんと埋めてやる!」


とトロンは高らかに笑った。


「キーキッキッキー! アバよ! 

処刑(マシーネンゲヴェーア)(・フォン・)機関銃(ヒンリヒトゥング)〟」


 トロンは手を下ろすと中の無数の機関銃が作動してリーナと静香に狙いを定めた。

 しかし、


「‶大鎌鼬〟!!!」


と黒色の巨大な風の斬撃がミスリルの箱に直撃して箱は粉砕した。


「よーし! あいつらのおかげで力が戻ったぜ!」


と颯太が黒刀を地面に突き刺して腕をグルグルと回していた。


「さあ! 第2ラウンド始めようぜ! クソ錬金術師!!!」

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