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52話 『トロンの恨み』

(やべぇ! 冗談抜きでやべえ! 足が動かねぇ!)


 颯太はトロンの一斉射撃によって左の太ももを撃たれていて足が思うように動かせなかった。

 しかしトロンはそんなことお構い無しに颯太の四方八方に展開していた巨大な剣から電気が走っていた。


「何が錬金術師を初めて見ただ! 俺は昔、お前にされた屈辱を全て覚えているぞ!」


 ウオォォ! とトロンが叫ぶと、さらに巨大な剣が飛び出て、合計で20本を超える巨大な剣が颯太の周りを囲んでいた。


「串刺しにしてやる! ‶大剣(アングリッフ・)(フォン・グロース)強襲(・シュヴェールト)〟!!!!!」


 トロンは20本を超える巨大な剣を操作して颯太の方へ刺しにかかった。


(これでやっと……やっと積年の恨みを晴らすことが出来る……)




 ――2年前


 まだ‶ゴールドランク冒険者〟だった頃の話だ。

 俺は部下達を引き連れてほかの冒険者の獲物を横取りして冒険者ギルドにチクられないようにその冒険者たちを生き埋めにするか金で買収するような生活をしていた。

 当然冒険者ギルドはその事実を知らないから俺のことを‶真の英雄トロン〟と評価していた。

 たまらなく気持ちよかった! 馬鹿どもが俺の嘘に踊らされて俺を英雄扱いするのが。

 そして俺は‶プラチナランク候補者〟と呼ばれるようになった。

 要するに‶プラチナランク冒険者〟に一番近い存在に俺はなったのだ!

 だが俺のウハウハライフをあの疫病神によって一気に転落人生へと変えやがったんだ。雨宮颯太によって!


 俺はいつも通り金で買収できなかった冒険者を生き埋めにしていたのだが、その一部始終を奴に見られてしまったのだ。


「俺は前々からお前らのやっている事が怪しいと思い、お前らを尾行していたんだ」


「お前は‶ゴールドランク冒険者〟の‶旋風の雨宮〟!!!」


「お前らを野放しにしておく訳には行かねーよなあ!」


「キーキッキッキー! お前一人に何が出来る? お前もあいつらといっしょにいきうめにしてやろうか?」


 俺は俺と同ランクの雨宮颯太に俺と部下達全員を相手に出来るわけないと思っていた。

 だが奴は涼しい顔で俺たちを滅多打ちにしていったのだ。


「お前らかかれー!」


 俺は部下達に雨宮をぶち殺すように命令したのだが、


「‶大鎌鼬〟!!!」


 奴は‶飛太刀(とびたち)〟という強く振れば強い斬撃を飛ばせる能力を持つ刀で巨大な風の斬撃を飛ばして俺ごと一掃しちまったんだ。

 そして奴は俺が生き埋めにした奴らを救出し、奴らを証人に立てて俺らの悪行を全部チクりやがった。

 そして俺らは‶ブラックランク冒険者〟になって今まで築き上げてきた名誉を全て失ってしまった。

 だが雨宮颯太は俺が密猟ギルドを立ち上げた後も邪魔ばっかりして奴はとうとう‶プラチナランク冒険者〟になりやがった。


 俺は許せなかった! いつか復讐する時を狙っていた。




 ――現在


「さあ! 死ねい! 雨宮!!!」


 トロンは開いていた右手を握ると、巨大な剣の速度が上がった。

 しかし、巨大な剣が颯太を串刺しにする直前に剣は動きを止めた。


「い……一体どうなったんだ?」


 颯太がトロンの方を見ると、トロンは地面にうつ伏せの状態で倒れていてその上に謎の圧力がかかっていた。

「やっほー、颯太っち! 大丈夫?」


「し、静香!?」


 静香は‶飛太刀(とびたち)〟を地面に突き刺して立っていた。


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