51話 『錬金術師の魔導神装』
颯太は即座に黒刀を鞘に収めてトロンの攻撃を躱していた。
トロンは錬金術で拳銃を作り出して颯太に連続で発砲していた。
「キーキッキッキー! まさかそんなに早くあのオーラが消えっちまうとは運がいいぜ! 俺は」
トロンは勝利を確信したような顔をしているのに対して、颯太は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
拳銃の弾が無くなったので、颯太は超速移動をしてトロンに‶鋼筋武装〟をした状態での回し蹴りをお見舞いさせようとした。
しかしトロンは急いでミスリルの剣を作り出して颯太の蹴りを受け止めた。
「キッ!? なんだこの重い蹴りは!」
「ハァァァァァァ!!!!!」
颯太はそのままトロンが作り出したミスリルの剣を破壊しながらトロンの顔面を蹴り飛ばした。
トロンは蹴られたあとかなりの速度で地面を転がって行って、巨大な岩に激突して岩が粉砕した。
颯太は透かさずトロンの方へ手から‶魔獣砲〟を発射した。
ズドォーーーーーーーン!!!!!
青白い閃光は地面に直撃して大爆発を起こした。
そして土煙が消えると大きなクレーターと真ん中に生まれたての小鹿のような感じで立っているトロンがいた。
「はっきり言ってやろうか? 俺はお前程度なら通常状態でも倒せるんだよ!」
颯太はクレーターの上からトロンを見下しながら言った。
トロンは颯太の言葉が頭にきたのか、魔力がどんどん上がっていった。
「お前、俺を見下したな! 俺は見下されるのが大っ嫌いなんだよ! 今度は俺がお前を見下してやるよ!」
トロンは両手の人差し指と中指を立ててその後両腕をクロスにして下におろした。
「錬成せよ! この世の全ての物質を更なる高みへ! ‶魔導神装〟!!!!!」
トロンの周囲の地面からから液体金属が飛び出てそれが竜巻状になってトロンを包んだ。
「な、何て魔力なんだ!……あれが錬金術師の‶魔導神装〟!!」
颯太はトロンの魔力の上昇の激しさに驚愕した。
液体金属が消えてトロンの姿が明らかになった。
トロンの姿は全身にミスリルの鎧をきて、足元の地面からバチバチと電気が走っていた。
「さあ! 俺の力、とくとご覧あれ!」
トロンはしゃがんで手のひらを地面に置くとバチバチと地面に電気が走って颯太の足元からからミスリルの巨大な剣が飛び出てきた。
「何!?」
颯太は咄嗟にその攻撃を躱して、その後に‶魔獣砲〟を発射した。
しかしトロンは地面からミスリルの壁を錬成してその攻撃を防いだ。
そしてその壁が変形して大砲にして、颯太の魔獣砲をそのまま返した。
ズドォーーーーーーーン!!!!!
颯太は自分の魔獣砲を受けて地面に落下していった。
それを狙っていたかのようにトロンは壁から無数の銃口を作ってそこから颯太に向けて一斉射撃を行った。
颯太はハードボディを使用して全身に見えない鎧をまとって攻撃を防いでいたのだが、その見えない鎧はそう何発も防げないので‶ハードボディ〟は砕けて颯太は数発銃弾を受けてしまった。
「グあぁぁぁぁぁぁ!!!」
颯太は打たれた部分をおさえてもがいていた。
そして颯太の周囲から剣が現れて颯太を四方八方から寸止めをした。
「キーキッキッキー! お前ももう終わりだな! 積年の恨みをついに晴らすことが出来るぜ! キーキッキッキー!」
トロンは颯太を追い詰めることが出来たのが嬉しくて狂喜していた。