41話 『中級魔法』
リーナは出現したこの世界の魔獣の危険度を‶危険レベルチェッカー〟をで調べた。
「ゴブリンとスライム、ボーンナイトが合わせて200体。平均危険度は3ぐらいか」
「じゃあこいつらは俺たちに任せておけ!」
トムがリーナにグッと親指を立てると、腰から剣を抜いた。
「バーンバンバン! 200体だぞ! お前ら7人で何ができる! どんなに強い奴も数の力には必ず屈服する」
巨大魔獣は高らかに笑うと、ほかの魔獣たちに攻撃の合図を送った。
トムはニヤッと笑って全身に魔力を込めた。
「光よ! その力で相手を切り裂き給へ! ‶ライトブレード〟‼‼」
トムの剣は光り出してその剣で次々とスライムやゴブリンを切り裂いた。
「光よ! その輝かしき力で無数の弾丸を撃ちたまえ! ‶シャインシャワー・ブレット〟‼」
トムは続けて手から無数の光の弾丸を撃ち続けた。
ボーンナイトたちはその光の弾丸に貫かれて骨が砕けていった。
「トムの奴……いつの間に光属性の中級魔法なんか修得していたんだ?」
エリーサがトムの出した魔法に驚いていた。
「ロゼさん! 僕の勇姿を見ているかい? ……まさか惚れちゃったかな?」
「ふぁ~、ん? 呼んだ?」
「…………」
トムはロゼが自分のかっこいいところを見てもらえなかったことにひどく悲しんで八つ当たりしているかのように魔獣たちに光の弾丸を浴びせていた。
その後もトムはひたすら魔獣たちに光の弾丸を浴びせ続けていたが、1匹のゴブリンが隙をついてナイフで背後から切りかかろうとしていた。
「火よ! その力で相手を焼き尽くし給へ! ‶ファイアーショット〟‼‼」
トムに攻撃をしようとしていたゴブリンはエリーサの出した炎の塊によって火だるまになっていた。
「おい! よそ見しすぎだ! 私がいないとこれなんだから……」
「馬鹿野郎! 気づいていたっつーの!」
実際トムはゴブリンに気づいていなかったのだが、エリーサの注意にムキになって反抗した。
この2人、実は幼馴染なのである。
「ハイハイ~、夫婦漫才はその辺にしておいて~。次、やってくるよ~」
「「してない‼‼」」
トムとエリーサは顔を赤くしながらミーアの言葉に否定して剣を構えた。
「氷よ! その力で相手を凍らせ給へ! ‶フリーズボール〟!」
「風よ! その力で相手を切り裂き給え! ‶ウィンドカッター〟!」
「土よ! その力で相手を固め給へ! ‶マッドロック!〟!」
キャシー、ミーア、ポトフはそれぞれ得意な属性で魔獣たちに攻撃をしていた。
ポトフの‶マッドロック〟は大量の土を相手にかけて、その土は一瞬で乾燥してコンクリートのように硬く固まってしまうので相手は生き埋め状態になるという恐ろしい魔法である。
トム、エリーサ、ミーア、キャシーポトフのおかげで200体もいた魔獣の集団は1時間もかからないうちに全滅してしまった。
トムたちは、基本的に魔法でしか攻撃手段がなかったので、200体も相手にしていたから、魔力もすでに枯渇して戦うことができなくなっていた。
「リーナ様、申し訳ございません! これ以上は……」
「上出来だ! 敵数も随分といなくなった。 あとは私たちに任せろ!」
ハァハァと息を切らしながら謝るキャシーにリーナはニコッと笑いながら褒めた。
「バーンバンバン‼ やるじゃねーか! こっちもだいぶ戦力を減らしてしまったが、お前らも戦力を減らした。戦況は全く変わっていねーな―! じゃあお前ら、いけぇ!」
「「「「キエーーーーーイ‼‼‼‼」」」」
巨大魔獣の後ろにいた雑兵魔獣が一斉にリーナとロゼに襲い掛かった。
「「あんたたちには用はない‼‼」」
リーナとロゼは声をそろえて言うと、2人は魔力を少し上げた。
「‶サンダーランス〟‼‼」
「‶JETスプラッシュ〟‼‼」
2人の同時攻撃は襲い掛かってきた雑兵魔獣を一網打尽にした。
「ほーう……やるじゃねぇか!」
巨大魔獣はリーナとロゼの実力に少し驚いていた。