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04話 『リーナ様護衛隊』

 決闘当日、大決闘場には大勢の人たちが集まっていた。マリアネス第一魔法学院の生徒たちだけではなく、他校の生徒たちや王国関係者、国民たちなど、総勢1万人以上の人がこの決闘を見に来ていた。


 颯太が会場に入ろうとすると……


「まて、貴様!」


 女性の呼ぶ声が聞こえた。


 颯太はだれかと思い、後ろを振り向いた。そこには藍色のセミロングヘアのやや巨乳の、マリアネス第一魔法学院の制服を着た女子生徒がいた。


(こいつは確か、銭湯で俺を捕まえに来た連中の一人だっけ?)


 颯太はこの女子生徒の顔を思い出そうとしていたら、


「私はリーナ様護衛隊の隊長、エリーサだ」


 と急に自己紹介を始めた。


「リーナ様護衛隊って……要するにただのあいつの取り巻きだろ?」


 エリーサの自己紹介に颯太は呆れた顔で彼女を煽った。


「と……取り巻きだとぉーー‼」


 彼女は怒りを抑えきれないような顔で言った。


「なんだ? 取り巻き隊長、用件を言え」


「うるさい! やはり貴様なんかのためにリーナ様の手を汚させるわけにはいかない! 私がこの手で貴様を排除してやる!」


 エリーサの怒りは絶頂に達して、腰にさしてあるサーベルを抜き、それを颯太に向けて勢いよく突き刺す。しかし颯太は顔色一つ変えずにひらりとかわし、サーベルの刀身を力強く握った。そしてなんと握力だけでサーベルをへし折ってしまった。


「悪いな、今はお前の相手をしているほど暇じゃないんだよ。またなっ! 隊長さん」


「お、覚えてろー!」


 颯太が去っていった後、エリーサのもとへ2人の女子生徒がやってきた。


「あちゃ~、そのサーベル、派手にやられたね~」


「量産品とはいえ握力だけでサーベルを破壊されるとはな」


「いや、私がもっと早く突き刺すことができたら……ていうか見てたのか! ミーア! キャシー!」


 エリーサがそう呼んだ二人の女子生徒の名前はミーア、キャシーという。

 この2人はリーナ様護衛隊の副隊長である。ミーアは、のほほーんとした茶髪天然パーマのロングヘアーの女の子で、キャシーは、クールな赤髪のポニーテールでエリーサよりも胸の大きな女の子である。この2人も風呂場で颯太を捕まえた現場にいた。


「いつから見ていたんだ……さっきのこと」


 とエリーサが恐る恐ると聞いてみたら、


「全部だよ~。一部始終全部見てたよ~。エリーサたいちょー恥かいたね~」


 とミーアがニヤニヤしながら返答した。


「しかし、エリーサ隊長の突きをあんなに簡単にかわすとは、あの男……いったい何者なのか?」


 キャシーが雨宮颯太のことを疑問に思うと、


「あの男がたとえ強かろうと、リーナ様にはかなわない。なんせリーナ様は、校内ランキング第5位の実力者だからな」


 エリーサはリーナの強さを誇らしげに言った。




 ウォォーーーーーーーー‼‼‼


 会場は大勢の観客でにぎわっていた。それもそうだ、王国第三王女の決闘を見に行かない奴なんていないはずだ。観客の席には、リーナ様護衛隊の3人もいた。

 そこにレージス学長と秘書のルージュがやってきた。


「隣座ってもよかですかい?」


「えっ! レージス学長!? どうぞとなりにお座りください。」


 エリーサは驚いた表情でレージス学長とルージュに隣の席を譲った。


「ところでお前さんらはこの勝負、どちらが勝つとおもうかね?」


 レージス学長がエリーサ達に尋ねると、エリーサが即答した。


「当然リーナ様が勝つに決まってます。リーナ様があの男に負けるはずがありません!」


「ガクチョーもリーナ様の実力、知ってるでしょ~?」


 ミーアも続けて答えた。


「もちろん知ってるとも、じゃけどこれから起きることなんてわしらが想像していたものなんかをはるかに凌駕することだってあるんじゃぞ!」


 ニッと笑ってるレージス学長の言っていることが3人には理解できなかった。そこでキャシーがレージス学長に問いかけた。


「学長、あなた彼のこと何か知っていますね?」


 レージス学長は何も答えず、ただずっと不敵な笑みを浮かべながらステージを見つめていた。



 会場からついに2人が現れた。観客の盛り上がりは絶頂に達していた。


「さぁ! 始まりましたマリアネス第一魔法学院大決闘‼‼

 実況を務めます私の名前は――ナー! レー!オー!デース‼」


 ナレオはこの学校の数少ない男子生徒の一人である。


「ルールは簡単! 相手をノックアウトさせるか、降参させるか! 男と男の真剣勝負‼ ク~‼ たまりませんなー‼」


「「「「王女だよ!!!!!」」」」


 ナレオの下手な実況のせいで会場はブーイングの嵐になった。


「ヤッハッハッハー! 会場は大盛り上がりだなー!」


 颯太は高らかに笑うと、リーナは真剣な顔つきで、


「あのバカ実況の言う通り、これは真剣勝負! ふざけていたら本当に死ぬよ!」


「あぁ、その通りだ! 俺はどんな勝負でもいつも真剣だ!」


「見てなさい! すぐにでも泣かしてやるんだから!」


 観客の盛り上がりが最高潮になった。2人はいよいよ勝負が始まると思い、互いに戦闘態勢をとった。


「まもなく試合開始です!  両者中央へ……試合開始のゴングが鳴ります! …………バー! トー! ルゥー! …………スッタァーーーーーート‼‼‼‼」


 GOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOON‼‼‼‼


 大きなゴングの音と共に歓声が一斉に沸き起こった。

 リーナは先手必勝で自身の魔力を一気に上昇させた。



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