39話『逆転の一撃』
「コケ!? 何だ? そ、そのばかでけぇ魔力は。ていうかそれは魔力なのか?」
コカリスクは颯太に斬られたことと颯太の魔力の大きさに恐怖を感じていた。
コカリスクは颯太におびえているということを悟られないように颯太に攻撃を仕掛けた。
「コケケ! さっきまでお前は瀕死状態だったはずだ! だからこのでかい魔力もただの見せかけだ! くらえ、‶ビークインパクト〟‼‼」
しかしコカリスクの鋭いくちばし攻撃は颯太にあっさりとかわされ颯太はカウンターでコカリスクの顔面に回し蹴りを入れた。
20メートル級の巨体は颯太の蹴りによって遠くまで吹っ飛ばされた。
「ゴゲーーー!? いでぇぇ! いでぇよぉ!」
コカリスクは颯太に腹を斬られたことと顔面を蹴られたことで痛みを隠せないでいた。
「コケケケケ-! 確かに今のてめぇは強い、そこだけは認めてやろう!」
たった2発の攻撃を受けてギャーギャーわめいていたようなやつがそんなセリフを吐くと雑魚キャラの捨て台詞のようにしか聞こえないと思った颯太はため息をつきながら刀を構えた。
「だがどんなにてめえが強くてもこの毒の霧からは逃れまい! 死ね! ‶ポイズンブレス〟‼‼」
コカリスクは空を飛び、颯太のいるあたり一面に毒の息を吹きかけて毒霧状態になっていた。颯太の近くにいたリーナは布を鼻と口に当てて毒霧を吸わないようにしていた。
「俺はこんなの吸ってもなんとも思わないけれど、リーナがいるからさっさと消してしまわないとな」
颯太は冷静にそう言うと、剣を軽く振って風を巻き起こして毒霧を吹き飛ばした。
「ここまで追い込まれると本当に血迷ってしまうのか? 俺は‶風の奇才者〟、霧や煙なんて俺には通じねえ!」
「チキショー‼‼ もうこの世界がどうなってもいい!」
コカリスクは所々に‶魔獣砲〟を発射して暴走した。
颯太はもう決着をつけないとリーナや敦が危ないと思い、黒刀に黒いオーラを集中させた。
その黒いオーラを感知したコカリスクは颯太に向けて最大級の‶魔獣砲〟を発射した。
「もうこれ以上この世界を破壊すんじゃあねえ! このくそ鳥やろう! くらえ! ‶大鎌鼬〟‼‼‼」
颯太は飛んでいるコカリスクを狙って黒風の巨大な斬撃を飛ばした。その大きさは以前ミノタウロスに使った‶大鎌鼬〟をはるかに凌駕するものだった。
黒風の巨大な斬撃は青白い閃光を切り裂いて、そのままコカリスクに直行した。
そして黒風の巨大な斬撃はコカリスクの首を切り落とした。
「ゴゲ……ゴーーーーーーゲーーーーーーー‼‼‼」
首を切り落とされたコカリスクの魔力は一瞬で消え去って墜落していった。
「ハァ……ハァ……何とか倒せた。だが魔獣界にはこいつよりも強い魔獣がうじゃうじゃといるんだよなぁ?」
颯太はコカリスクの死骸を見て自分のこれからのことに少し不安を感じていた。
颯太は黒いオーラを解除すると、全身に激痛が走った。ただでさえボロボロな体に負担のかかる力を使ったのだから無理もない。
そして颯太は意識を失いながら倒れていった。
しかし倒れる颯太をリーナが駆けつけてきて支えてゆっくりと下ろした。
「全く、こんなにボロボロになるまで無茶ばっかりして…………お疲れ様」
リーナはそう呟くと眠っている颯太に膝を貸した。
その時の颯太の顔は笑っているようにも見えた。