35話 『2体の化け物』
空間の割れ目から鳥の足が飛び出てきた。そして羽やくちばしも見えた。空間の割れ目が広がっていくと、一見鶏に見えそうな化け物が飛び出してきた。
――クックドゥードゥルドゥーーーーーー‼‼‼‼
鶏のように甲高い鳴き声と、肉食動物のような迫力のある雄叫びが混ざった感じの鼓膜が破れそうな不協和音が合宿場全体に響き渡る。
この化け物の姿はさすがの颯太も初めて見たのか口を開けて驚いていた。
颯太はすぐに我に返って‶危険レベルチェッカー〟を起動させてこの魔獣について調べた。
魔獣名: コカトリス
特徴 : 蛇と鶏が合わさった魔獣。
鶏の体を基に羽に爬虫類の強靭な爪が備わっている。
くちばしに肉食動物の鋭い歯が並んでいる。
尾には大蛇の尻尾が生えている。
全長 : 12~14メートル
危険度: 23
(とんでもねぇバケモンが現れたな! 前にフリックから聞いたことがあったけど、魔獣の危険度は1と2の魔獣の戦闘力の差はほとんどないが、20と21では戦闘力は倍近く変わるとな。その話がもしも本当ならば、ソウチョ―ウルフよりもだいぶ強いぞ‼‼ あれは……)
颯太は苦虫をかみつぶしたような顔をしながら、‶危険レベルチェッカー〟を見ていた。
「何怖気ついてんだ? だったら俺があいつを焼き鳥にしてもいいんだな?」
と敦が炎をまとった拳でコカトリスを殴ろうとしたら、
バキッ‼‼‼‼
とコカトリスとは別の魔獣の蛇の尻尾で叩き飛ばされた。叩き飛ばされた敦は何が起きたか分かっていないような顔をしていた。
そしてもう一つ出現していた空間の割れ目から、にょろにょろと姿を現した。
颯太は姿を現した魔獣がコカトリスと同じくらい高い魔力だったことに驚愕していた。
敦は瓦礫から顔を出して危険‶レベルチェッカー〟で蛇型の化け物の危険度を調べた。
魔獣名: バジリスク
特徴 : 蛇と鶏が合わさった魔獣
蛇の体に鶏の羽毛と鶏冠がついている
体全身に鋭いとげがついている
全長 : 22~25メートル
危険度: 22
敦はバジリスクに叩き飛ばされた瞬間にこの魔獣の強さはわかっていたが、‶危険レベルチェッカー〟に書かれていた内容にいら立っていた。
「敦、ここはひとまず休戦だ。 お前はあの大蛇を相手してくれ! 俺はあの鶏をぶっ倒す!」
颯太はそう言うと、コカトリスに攻撃を仕掛けた。
敦もチッと舌打ちをして渋々承諾した。
「くらえ! 鶏やろう! ‶鎌鼬〟‼‼」
颯太は足から風の斬撃を飛ばして、鶏の羽を切り落とそうとした。
しかしコカトリスは強靭な爪で斬撃を切り裂いた。
「コケケケケー‼ その程度か? ‶龍斬り〟の実力は」
とコカトリスは不気味な笑い方をして颯太を馬鹿にしていた。
「今度はこっちの番だぜー‼‼」
コカトリスはそう言うと、ものすごい速度で颯太に近づいてきて、颯太を蹴り飛ばそうとした。
「!? ‶鋼筋武装〟‼‼」
颯太はコカトリスの移動速度の速さに驚いて防御が遅れて、生身の体の部分にコカトリスの蹴りが命中した。
「ガハッ!?」
颯太はコカトリスに蹴られると、血反吐を吐きながらぶっ飛ばされた。
「何だよ? たいしたことないなぁ! コケケケケー‼」
颯太はコカトリスが予想以上に強かったから黒色の力を使おうと思って背中の刀を抜こうとしたのだが、刀を旅館の自分の部屋に置きっぱなしにしていたことに気づいた。
「やべー! 今回ばかりはマジでやべーわ!」