34話 『圧倒的な強さ』
「くらいやがれー!」
敦の炎をまとった拳が魔獣の腹部をぶち抜いた。
「負けるかー!」
颯太も鎌鼬を使って魔獣たちを切り裂いていた。
魔獣達の中には嬉嬉として討伐していく颯太と敦に恐怖を感じて逃げ出したりする者もいた。
「おい! お前ら、どこへ行く?」
逃げ出す魔獣達に1体の体の大きい魔獣が声をかけた!
「ビ、Bゴリ様!!」
逃げ出した魔獣達はBゴリと呼んでいた魔獣に怯えて腰を抜かしていた。
「Bゴリ?」
颯太は他の魔獣とは少し違うと思って‶危険レベルチェッカー〟を起動させてBゴリについて調べた。
魔獣名: Bゴリ
体調 : 4~5メートル
危険度: 13
「なるほど、クミチョーウルフよりは少し弱いやつか」
颯太は‶危険レベルチェッカー〟に表示された数値を見てBゴリを分析して、敦よりも先に動き出した。
Bゴリは逃げ出した魔獣に、
「腰抜けなんか魔獣軍にはいらん!」
と言って大きな拳で逃げ出した魔獣達を高く殴り飛ばした。
その様子を見ていた敦はニヤッと笑って、
「へー、ちったぁマシな魔獣がやってきたな!」
と言ってBゴリに向かって走っていった。
しかし敦より先に颯太がBゴリに勝負を仕掛けていた。
Bゴリは向かってくる颯太に大きな拳を振りかざした。
颯太は反応が少し遅れてBゴリの攻撃を避けきれず、
「やべぇ! 油断した! ‶ハードボディ〟!!」
と言って見えない鎧をまとってBゴリの攻撃を防いだ。
颯太が焦ったのはBゴリの攻撃を受けることではなくて、一瞬で仕留めることが出来なかったことである。
すると後ろから足を炎でまとった敦が凄まじい速度でBゴリに向かって走っていった。
「くらいやがれ! ‶炎天暴流脚〟‼」
敦はBゴリの攻撃を抑えている颯太を飛び越えてBゴリの顎に炎をまとった足で重い飛び蹴りを食らわせた。Bゴリの顎の骨は砕けて、50メートルほど離れたところまでぶっ飛ばされた。
「おい! 人の獲物に手を出すな‼」
「何言ってんだ? 早い者勝ちだろ!」
横取りされて怒る颯太に敦は笑いながら煽っていた。
怒り狂った颯太は手から‶魔獣砲〟を発射して周囲にいた魔獣を一掃していった。雑魚の魔獣だけではなく、Bゴリレベルの魔獣もどんどん討伐していった。
敦も負けていられないと思い、
「‶炎天鳳凰拳〟‼‼」
と言って拳から大きな火の鳥を飛ばした。
火の鳥は意思があるかのように魔獣たちを追いかけて呑み込んだ。火の鳥の温度は‶炎天滅却砲〟よりもはるかに高く、飲み込まれた魔獣は消し炭にされた。
「ギャーーーー‼‼‼」
「あつーーーい‼‼‼」
「助けてーー‼‼‼」
などと叫びながら、魔獣たちはやられていった。
そして颯太と敦が暴れだして2時間もかからないうちに数千もいた魔獣の集団は残骸一つ残さず全滅していた。
「おい敦! お前何匹倒した?」
「俺は350匹倒した」
「嘘つけ! お前そんなに倒していないだろ! 俺だって351匹だぞ!」
「てめえこそそんなに倒していないだろ! 俺はてめえの数を数えていたぞ。てめえは342匹だ!」
「それだったらお前の方がもっと少ないはずだぞ! 俺は確実にお前よりも多く倒した」
「俺の方が多く倒した!」
「いいや、俺の方が多い!」
2人がどちらの方が多くの魔獣を倒したか言い合いをしている時、新たな空間の割れ目ができてそこから巨大な魔力を感じた。
今まで感じてきた魔力よりも大きくて邪悪な魔力だと思った2人は不敵な笑みを浮かべていた。
「おい、こいつを倒した方が勝ちってことでいいか?」
「おもしれー、どっちがつえーか白黒はっきりとつけよーぜ‼」