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03話 『決闘の約束』

「いやぁ、これにはいろいろと深い理由というものがありましてね~」


と颯太が言ってもこの少女は全く聞く耳を持たず……


「この私を誰だと思う? 私はマリアネス王国第三王女、リーナ・マリアネスだ」


「………………………………」


「エーーーーーーーーー‼‼」


 颯太はしばらく状況を呑み込めておらず、沈黙していたのだが、状況を理解したら、目を飛び出すくらい驚いた。


(……どうする、ただでさえ女湯に入った時点で大問題なのに、これが王国の第三王女だぞ。ここで捕まっても、処刑か終身刑だし、逃げても国際指名手配されそうだし……こうなったら、あれを使うしかないか)


 そう思った颯太は大きく息を吸い込んで、


「なんだよ! ただ裸を見てしまっただけだろ!別に減るもんでもないんだし!」


と高らかに笑った。そう、この男はある意味絶体絶命のこの状況で、開き直ってしまったのだ。


「何よ‼ 減るもんじゃないって‼ 見知らぬ男に裸みられて最悪の気分よ‼ そ、それに、む、胸だって揉まれたんだから‼」


とリーナは赤面しながらブチぎれている。


(ここはもう逃げるしか手立てはないか)


 そう思った颯太は、ちょっとずつ後ずさりをしてた。ら……


「止まりなさい! そこまでよ、観念しなさい!」


 颯太の周りをこの学校の生徒らしき女子たちが取り囲んで、一斉に弓矢を向けた。


(う……うそだろぉー!?)


 これ以上問題を起こしたくない颯太は、観念せざるを得なかった。




 翌日、颯太はまた学長室に足を運ぶこととなった。しかし前回と違って颯太は体を縄でぐるぐるに縛られていた。


「ガァッハッハッハー! まさか昨日冗談交じりで言ったことを本当にしでかすとはのう、お前さん、なかなか面白い男じゃのう!」


 レージス学長は大声で笑っていた。しかし隣にいる秘書のルージュは颯太のことを汚物を見るような目で見ていた。


「あなたのことをレージス学長と同類と見なしてよろしいでしょうか?」


(返す言葉もねぇな……)


 ルージュは颯太に皮肉なことを言って罵倒していた。

 覗き魔の隣に立つ被害者のリーナ・マリアネスは学長の机をダンッと叩いて、レージス学長に訴えた。


「学長! さっさとこの男、退学にしてください! こんな男と一緒の空間にいたら私怖くて夜も眠れないわ!」


「だから! あれは不可抗力だって言ってんだろ! 俺は大トリに刀を奪われて、取り返そうとしたらあの銭湯の上に落ちてしまったんだよ!」


「誰があんたの言っていることを信用するっていうのよ!」


 暫く颯太とリーナの口論が続いた。レージス学長は、はぁ~と頭を抱えていたのだが、そのあとにピンと何かをひらめいた。


「そうじゃ! こんなのはどうかのう、おまえさんら二人に決闘をしてもらって、負けた者が勝った者の言うことを聞く、というのはどうじゃろうか!」


 レージス学長の提案に、リーナは賛同した。


「面白い! 私が勝ったらあんたには豚小屋に入ってもらうからね!」


 豚小屋っていうのはつまり、犯罪者たちが収容されている大監獄のことである。


 リーナがこの勝負に自信があるのには理由がある。それはリーナが校内ランキング第5位の実力者だからである。

 校内ランキングというのは、学業の成績と魔導士としての能力を参考にして付けられるランキングのことである。この学校は全校生徒3000人を超えるマンモス校であり、1年生でランキング5位というのは異例のことである。


その事を颯太が知ると、彼はニッと不敵な笑みを浮かべながら……


「俺もその決闘――乗った!」


 颯太がそう言ったら、リーナの口角少し上がって、


「じゃあ明日の正午に大決闘場で決着をつけるぞ!」


と提案すると、颯太も頷いた。しかし……


「ちょっ、ちょっと待って! なんでわざわざ大決闘場で決闘をするの?」


とルージュが質問をしたら、二人揃ってこう言った。


「「そっちの方が面白いじゃないか!」」


 果たしてどちらがこの決闘の勝者となるのか?






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