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28話 『漆黒の魔獣砲』

「何が俺に任せろだ! 舐めたことを言ってるんじゃねー‼」


 ソウチョーウルフは颯太の取り澄ました表情にいら立って、颯太がいるバスの方へ‶魔獣砲〟を発射した。

 颯太は近づいてくる青白い閃光を手に握っている黒刀で一刀両断した。切り裂かれた青白い閃光は左右に分裂して、バスを避けた。ソウチョーウルフの‶魔獣砲〟はバスを境にしてV字型に地面をえぐっていた。

 颯太はここで戦うのは危険だと思い、


「会長! あんた氷の奇才者なんだろ? リーナとロゼの火傷を冷やしてくれ!」


 とソマリに頼んでから離れた。ソマリも頷いてリーナとロゼを運んだ。


「ゲヘヘヘヘー! 逃がすかよ‼」


 ソウチョーウルフはバスから距離をとろうとしている颯太を超速移動しながら追いかけた。

 しかし、ソウチョーウルフは途中で颯太を見失ってしまった。すると背後から、


「俺はこっちだ!」


 と颯太がソウチョーウルフに呼び掛けてソウチョ―ウルフを蹴り落した。

 ソウチョーウルフは咄嗟にに左の鉤爪で防御をしてダメージを和らげたのだが、ソウチョーウルフの鋭い鉤爪は颯太の蹴りに負けて1本折れてしまったのだ。


「チキショー! 俺の自慢の鉤爪があぁぁぁ‼‼」


「そんなに驚くことかよ? ただお前の爪が柔かっただけだろ?」


 発狂し雄叫びをあげるソウチョーウルフに颯太は右足の‶鋼筋武装〟を解きながら言った。


「てめえ、あんまり舐めたことを言っていると痛い目にあうぞ!」


 ソウチョーウルフはハンターの目をしながら颯太を睨みつけた。この魔獣には颯太が獲物のようにしか見えていないのだろう。

 そしてソウチョーウルフは魔力を上げ、両手の爪の形を変えた。両手の鉤爪は残ったままで手の甲からまたさらに新しい鉤爪が生成された。その新しい爪はもとからある爪よりも長くて硬い。

 さらに颯太が折ったはずの爪が再生していて、片手だけに10本、両手で20本の鉤爪が現れた。


「ゲヘヘヘヘー! どうだ! 俺の強靭な鉤爪は? 10本の鉤爪によって繰り出される俺の最強の技、とくとご覧あれ……。‶キャノンスクラッチ〟‼‼」


 ソウチョーウルフは右手の鉤爪を颯太に向けて振り、巨大な斬撃を飛ばした。

 颯太はその斬撃を冷静に一歩も動かずに首を傾けるだけで簡単にかわした。

 斬撃は崖に直行し衝突した崖は見事に爆砕し、砂利のサイズまでバラバラにされた。


「ひゃー! すげー威力! 恐ろしいなあ!」


 颯太は驚いたフリをし、心にも思っていないことを言った。


「まだまだこれだけじゃないぜ!」


 ソウチョーウルフはそう言って超速移動をした。


「くらえ! ‶クラッシャースクラッチ〟‼‼」


 ソウチョーウルフの鉤爪は激しく輝き、その鉤爪で横から颯太をひっかき飛ばした。幸いにも颯太はソウチョ―ウルフの攻撃を黒刀でガードしていたためダメージは負わなかったもののかなりの速度で吹っ飛ばされた。

 吹っ飛ばされた颯太にめがけてソウチョーウルフは、


「今度こそよけられまい! ‶キャノンスクラッチ〟‼‼」


と言って巨大な斬撃を飛ばした。


「くっ、さすがによけられないなー。しゃーない、‶鎌鼬〟‼‼」


 ズドォーーーーーーーーーーン‼‼‼‼‼


 颯太は飛んでくる斬撃に黒刀から黒風の斬撃を飛ばし、衝突させて相殺した。

 颯太が着地をすると、透かさずソウチョ―ウルフが攻撃を仕掛けた。

 颯太がよける体勢をとろうとすると、上から斬撃が降ってきた。


「なに!?」


 颯太はいきなりのことで反応できずに直撃してしまった。


「‶ドラグーンスクラッチ〟、これは飛ばした斬撃を俺の意のままに操作することができるんだ! これをてめえの気付かないうちに飛ばし、てめえの頭上に配置しておいたのさ! ……これで終わりだ! ‶クラッシャースクラッチ〟‼‼」


 ズドォーーーーーーーーーーーーン‼‼‼


 あたり一面に土煙が舞い上がった。今の一撃を受けて誰もが颯太の敗北を確信した。

 しかし煙の中から何本もの鉤爪の破片が飛んで行った。

 土煙が収まると、颯太が黒刀を振りかざしたまま硬直していた。そしてソウチョーウルフの鉤爪はきれいに切り落とされていた。

 颯太はもとの姿勢に戻ろうとしたら、黒刀の(つか)をソウチョーウルフの長い尻尾に巻き付けられて颯太の動きをしっかりと封じ込めた。そしてその後……


「てめえが俺の攻撃を防ぐことはわかっていた。くらえ! ‶ブレイブクロー〟‼‼‼」


 ソウチョーウルフは折れていない方の鉤爪で颯太の腹部を突き、力づくで空に打ち上げた。それと同時に颯太は黒刀を手放してしまった。

 颯太は幸いにも腹部に‶鋼筋武装〟をしていたため腹を貫かれることは無かった。


「ゲヘヘヘヘー! てめえはこの刀がねぇとその姿を保つことができねぇんだろ? 今度こそ終わりだ! フルパワーの‶魔獣砲〟を食らいやがれ‼‼」


 ソウチョーウルフは口からかつてないほどの大きさの青白い閃光を生成した。


「その刀は俺をこの姿にするためのトリガーであって、手放したところで解けるわけでもない! そして俺がこの姿になっているのは、お前とのくだらない戦いをいち早く終わらせるためだ!」


 颯太はソウチョーウルフに呆れた顔でそう言うと、迫り来る青白い閃光に向けて右手を構えた。そしてその右手からは黒色の閃光が生成されていた。


「これは俺の中での最強の技だ! 

 くらえ……‶漆黒(ベスティア・)(ピストーラ・デル・)魔獣砲(シュヴァルツ)〟‼‼‼」


 颯太はそう叫ぶと同時に彼の右手から黒い閃光が勢いよく発射された。そして黒い閃光は一瞬で青白い閃光とソウチョーウルフを包み込んだ。


「な、何だーーーーーー‼‼‼‼ この‶魔獣砲〟は!?」


 黒い閃光に飲み込まれたソウチョーウルフはそう叫ぶと、自身の体がたちまち消滅していった。


 ズドドドドドドドォーーーーーーーーン‼‼‼‼‼


 漆黒の閃光は地面に直撃すると、巨大な爆風を生み出し辺りの木々をたちまち薙ぎ倒していった。


「く、黒い閃光!?」


 その黒い閃光を遠くから見ていたリーナは声を上げて驚愕した。リーナ以外の者たちも驚きを隠せないでいた。


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