27話 『ヒーローは遅れてやってくる』
「‶アクアランチャー〟‼‼‼」
ロゼはソウチョ―ウルフに水の塊を飛ばし続けた。ロゼが飛ばしている水の塊は、水圧によって大砲よりも威力が高い。
しかしソウチョ―ウルフは鋭い鉤爪で水の塊を切り裂いていた。
その隙にリーナがソウチョ―ウルフに近づいて攻撃を仕掛けた。
「これでもくらえ! ‶サンダーポーク〟‼‼」
リーナのレイピアはソウチョ―ウルフの肩に突き刺さった。ソウチョ―ウルフはレイピアで刺されたことには全く動じていなかったのだが、その後の電撃の攻撃で苦しんだ。
「な、何だ!? グアァァァァー‼」
前に颯太と戦っていたときに使用した‶サンダーポーク〟とはけた違いの威力の電撃にソウチョ―ウルフは感電し暴れまわった。リーナは暴れまわるソウチョ―ウルフに必死にしがみついた。
「ロゼの‶アクアランチャー〟はただ無駄に発射していたわけじゃない! あんたの体を濡らすためだったんだ! そしてびしょぬれになったあんたの体に私の電撃攻撃がよく効く‼」
「ゲヘヘヘヘー! よく考えたな! だが、こんなので倒せるのは俺より弱い魔獣だけだ!」
そう言ったソウチョ―ウルフはリーナを振りほどき、高く飛びあがった。そしてしりもちをついたリーナにめがけて鋭い鉤爪を振り下ろした。
「ぶっ潰してやる‼‼ ‶クラッシャースクラッチ〟‼‼‼」
ソウチョ―ウルフの鉤爪は光り輝き、リーナを切り裂こうとしたが、リーナを切り裂く瞬間にロゼがリーナを抱きかかえて空に避難してリーナに攻撃をすることができなかった。
ソウチョ―ウルフの攻撃は地面に直撃し、周囲に地割れを起こした。
ソウチョ―ウルフの攻撃によってあたり一面に砂ぼこりが舞い上がってソウチョ―ウルフはリーナたちを視認できない状態になっていた。その間にリーナとロゼは空中で魔力をためていた。
ソウチョ―ウルフが2人を視認した時にはもうすでに魔力を溜まりきった状態でいて、武器をソウチョ―ウルフに向けていた。
「これで終わりだー! ‶ビッグ・サンダーボルト〟‼‼‼」
「‶ギガ・マリンカノン〟‼‼‼」
2人の渾身の力を込めた一撃は合体して1つの攻撃になった。
ソウチョ―ウルフよけられないと思い、口から青白い閃光を生成した。
「その程度の技で俺を倒せると思うなよ‼‼ ‶魔獣砲〟‼‼‼」
そう言ってソウチョ―ウルフは口から青白い閃光を発射した。
ズドォーーーーーーーーン‼‼‼
リーナとロゼの合体わざと‶魔獣砲〟が激突したリーナとロゼは魔力を最大限に溜めた技に対して、ソウチョ―ウルフはとっさに発射したものだからリーナとロゼが押し切ったかのように見えたなだが、押されていると思ったソウチョ―ウルフは‶魔獣砲〟の出力を上げた。出力を上げた‶魔獣砲〟はどんどんリーナとロゼの攻撃を押し返していっった。
最終的にはソウチョ―ウルフの‶魔獣砲〟が勝って2人は青白い光に包まれた。
「「うわぁぁぁぁぁぁぁ‼‼」」
ズドーーーン‼‼
‶魔獣砲〟を受けた2人は地面に墜落していった。幸い2人は自分たちの攻撃である程度相殺することができたので、軽いやけどで済んでいた。
しかし、2人はもう魔力が残っておらず、‶魔導神装〟も解けていた。
そこにまだまだ全然戦えるソウチョ―ウルフがやってきて、
「ゲヘヘヘヘー! まずは2匹‼‼」
と愉悦に浸っていた。
「万事休すか……」
とロゼは膝をついて、戦意を喪失していた。
リーナは悔しさで涙を我慢できないでいた。そして、
「助けてーーーーーーー‼‼‼‼ 颯太ぁ―――――――‼‼‼」
と泣き叫んだ。
「いいてえことは終わりか? じゃあサヨウナラー!」
ソウチョ―ウルフは狂喜しながら鉤爪を振りかざした。
ズドォーーーーーーーーーーン‼‼‼‼
しかしソウチョ―ウルフには2人を切り裂く感触がなかった。腕を上げると誰もいなくて、血も付いていなかった。
「残念だったなぁ‼‼」
と一人の男の声が聞こえたので声のした方へ振り向くと、横転したバスの上にリーナとロゼと黒いオーラを放った男がいた。
「待たせたな、リーナ!」
「ほんと、いつもいつも遅いぞ‼‼‼」
「悪かったな、なんせヒーローはいつも遅れて登場するもんだからな‼‼‼」
と泣きわめくリーナに男はにっこりと笑った。
ロゼもほっとしたのか涙が出始めた。
「てめえ……誰だ!?」
ソウチョ―ウルフは男に大声で叫んだ。
男は大声で叫ぶソウチョ―ウルフを睨みつけて言った。
「俺の名は雨宮颯太‼‼‼ 先ほどお前のボスを叩きのめした男だ‼‼‼」
颯太はリーナとロゼの頭をポンと撫でて言った。
「よく頑張ったな! あとは俺に任せろ‼‼」