25話 『合体』
――ズドォーーーーーーン‼‼
サンボーウルフたちが放った青白い閃光はバスに直撃したかと思えば、バスの前に巨大な氷の壁がそびえたっていて、青白い閃光を防いでいた。
「何だ!? あのデカい氷の壁は?」
3頭のサンボーウルフのうちの1頭が驚いていた。
「‶アイスウォール〟‼‼」
ソマリは‶魔獣砲〟が直撃する直前に巨大な氷の壁を生成して攻撃を未然に防いだのだ。
「カイチョ~やる~‼」
ミーアがソマリに親指を立てて喜んでいた。
「でももう私は手伝わないわよ。あとは自分たちで切り抜けなさい!」
ソマリの一言によってクラス全員が固まった。
「でも会長? この前のギガンテスと同じくらいのレベルだし一瞬で片づけられるんじゃないですか?」
とエリーサが震えながらソマリに尋ねると、
「甘えたことを言うのではありませんよ。私は決してあなたたちに無理なことを言っているわけではありませんのよ! 最初は自分で戦ってみて、それでもだめだったら私や先生、雨宮君を頼りなさい!」
とソマリはにっこりとした顔で厳しい言葉で返した。
クラスのみんなはなぜ颯太を頼れと言われたのか疑問に思っていたのに対して、リーナはソマリが颯太の実力を見極めているのだと察した。
「やはりまずは私達でなんとかするしかないのだな!」
ロゼがそう言うと、トムもポトフもうなずいた。しかしリーナが、
「最初は私にやらせてくれ! 私にも魔獣界の魔獣を倒せるかどうかを確かめたいんだ!」
と言ってバスのサンリーフを開けて、バスの上に立った。
バスの後ろから足止めされていたサンボーウルフたちが近づいてきた。
リーナは風で飛ばされそうになるのを踏ん張りながら、槍を構えて叫んだ。
「雷鳴よ鳴り響け‼ ‶魔導神装〟‼‼」
バスの上でリーナは姿を変えて、魔力を上げ始めた。バスの上には巨大な黒い雲が出現した。
「あれは決闘の時に使った技!?」
とエリーサはリーナが生成した巨大な雷雲を見て驚いた。
(これは威力が高い分、かなり広範囲に被害を及ぼす攻撃魔法だ。下手をすれば、私達の乗っているバスまで被害を被るかもしれない)
リーナはバスが被害を受けないように魔獣がバスと離れるタイミングを見計らいながら魔力を上げていた。
(魔獣たちの呼吸を感じろ! このタイミングを逃すな……。今だ!)
リーナはレイピアを上に上げて雷をレイピアにあててレイピアに全エネルギーを送った。
「‶ビッグ・サンダーボルト〟‼‼‼‼」
リーナはレイピアから巨大な雷をサンボーウルフに向けて発射した。
バリバリバリバリーーーーーーーー‼‼‼‼
リーナの雷によってサンボーウルフと、その周囲の木々たちが全焼した。
サンボーウルフたちは絶命まではしなかったもののかなりの致命傷だった。
リーナは疲れ切ったのか、ペタッと座ってため息をついた。
バスはその隙に全速力で走った。
バスが見えなくなった後、サンボーウルフの1頭がある提案をした。
「あれを使うしかないか」
その1頭の発言によって他のサンボーウルフも頷いた。
「いくぞ、‶合体〟‼‼」
3頭の魔獣は体を光に変え3つの光が1つになった。その光の中から剣よりも硬く鋭い鉤爪と鉄をもかみ砕けそうな強靭な牙を持つ6メートルを超える巨大な狼が姿を現した。
巨大な狼はクミチョーウルフと同じように二足歩行をしているが、体の大きさや作りが全く異なっていて明らかにクミチョーウルフよりも強い。
颯太は落雷音と巨大な魔力を感じ取って急がねばと思い、走る速度を上げた。
「ゲヘヘヘヘー! 今すぐあのガキどもを八つ裂きにしてくれる‼」
巨大な狼はそう言うと、大きく雄叫びを上げてから超速移動をしてバスを追いかけた。