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21話 『特等席の取り合い』

「はぁ~、なんでこうなったんだぁ?」


 颯太はバスの中で一人嘆いていた。そしてその隣には何と、マリアネス第一魔法学院の生徒会長、ソマリ・アンタレスが座っていた。




 ――1時間前


 颯太は疲れ切った状態で遅刻してきた。

 そもそもこの学校には男子寮がないため颯太は学校から10キロメートル以上離れた山小屋から毎日登校をしている。


「ハァ……ハァ……。間に合った~」


と颯太が言うと、


「全然間に合っていないぞ」


とリーナが呆れた顔で言った。


「早く乗れ、お前の席は私の隣だからな」


 颯太はリーナに言われて座席に座ろうとしたら、ロゼがやってきた。


「リーナさん、あなた颯太君と一緒に座りたくないのだったら代わりに私が彼の隣に座ってあげたもいいわよ!」


「そんなことしていいわけないだろ!」


「私は彼と一緒に座りたいの! あんな豚野郎とは座りたくないの!」


 ロゼは駄々をこねながら、ポトフの方を指さしていた。


「わがまま言うな! きまりなんだから仕方ないだろ!」


「そう言いつつあなた、本当は颯太君と一緒に座れてうれしいんでしょ?」


「ばっ、ばかを言うな! そんなことわけないだろ!」


 このような言い合いを数分にわたって行っていた。これには担任のフリックも頭を抱えていた。


「では、(あいだ)をとって私が雨宮君の隣に座りましょう」


 後ろから誰かが割って入ってきた。


「「ダメに決まっているでしょ!」」


 リーナとロゼが声をそろえて否定したが、すぐに2人は固まってしまった。

 何とそこにはソマリがいたのである。


「か、会長!? なぜここに?」


 リーナが恐る恐る聞いてみると、


「あなたたちのクラスがいつまでたっても出発しないから様子を見に来たの」


 ソマリはにっこりとほほ笑んでいたが目はかなり怒っていた。


「私が隣に座ってもよろしいでしょうか?」


とソマリが魔力の圧力をかけると、2人は「「はい……」」と声を小さくして答えた。




 ――現在


「あの~、先輩2年生だよな? なぜ俺たちのバスに乗っているんだ?」


 颯太の無礼な態度にクラスの全員が凍り付いた。

 ソマリはにっこりとした顔で、


「まだ1年生は魔術を上手く使えないからね。だから私が引率者として同行しに来たの」


と返事をした。


 颯太は「フーン」と言いながらお茶を飲み始めた。クラスのみんなは何事もなく良かったと肩をなでおろした。

 颯太はお茶を飲みながら、バスが走っている場所に違和感を覚えた。


「なあ会長、ここら辺ってかなり凶暴な魔獣とか出てきたりするんじゃねーの?」


と颯太がソマリに聞いた。クラスのみんなもドキドキしながら耳を傾けていた。


「ピンポンピンポーン‼‼ せいかーい! だって強い魔獣と戦わないとわざわざ合宿する意味がないからね! もうすぐそこにいるんじゃないの?」


とソマリが窓に指をさすと、


 ドシーーーーーーーーーン‼‼


と大きな物音が聞こえた。









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