14話 『ヤマネコ団、参上!』
その後も颯太たちは町案内という名のデートをしていた。むろん颯太は本当にただの町案内と思っているのだが、はたから見れば完全にデートである。
「はい! 颯太君! あーん!」
とロゼはパフェをスプーンですくってタキシードに着替えた颯太に差し出した。
そして颯太が何のためらいもなく食べたことに、遠いテーブルでドリンクを飲んでいたリーナと男2人が怒りでコップを握りつぶした。
「くそー! 何でだ! 何であんな虫けらにロゼさんは惹かれたんだ。この僕はいつも彼女にうっとうしいハエ呼ばわりされていたのに!」
「そうでフ! そうでフ!」
「トム~、あんたはロゼに散々付きまとっているからハエ呼ばわりされるんだよ~。そしてポトフ、あんたはきもいからそれ以下だと思うよ~」
「「そんな~‼」」
怒り狂った2人をミーアは論破した。
ロゼと颯太が店を出たので、5人は慌てて店を出て尾行を再開した。
ロゼは颯太に、
「今日はとっても楽しかった! ありがとう!」
と言った。颯太もロゼに、
「ああ! 俺もだ! 町案内してくれてありがとな!」
と言った。ロゼは颯太の言葉に疑問を抱いた。
「ねぇ、颯太君? 私たち今日、何をした?」
「ん? だから、町案内だろ?」
颯太の一言にロゼはショックを受けた。無理もない。なぜならこの男にはロゼの気持ちや振る舞いが何一つ伝わっていなかったからだ。
ショックを受けたロゼは、颯太に思いっきり平手打ちをした。平手打ちを受けた颯太は10メートルほど吹っ飛ばされて、ごみ箱に顔を突っ込んだ。タキシードも一瞬で汚れまみれになった。
「最低! 二度と話しかけてこないで!」
颯太はごみ箱をかぶったままポカーンと口を開いていた。
その後に100メートルほど離れた距離から、10数人の男たちが走ってきて、ロゼの首に剣を突き付けて叫んだ。
「動くなー! この女をもらっていく! 一歩でも動いたらこの女の首を斬る!」
「お前らこの前の奴らの仲間か!?」
「俺たちは〝ヤマネコ団〟! この女を返してほしければ、金貨100枚持ってきな!」
〝ヤマネコ団〟を名乗る男たちは、ロゼを人質にとって金貨100枚を請求してきた。
この世界の貨幣は、銅貨、銀貨、金貨、白金貨となっている。銅貨1000枚で銀貨、銀貨1000枚で金貨、金貨1000枚で白金貨という価値である。
金貨100枚もあれば、店で売ってある最高級の剣や盾くらいなら、簡単に購入することができる。
「そんな大金、用意することなんてできないだろ!」
と颯太が言うと、尾行していた5人が現れた。
「うお!? リーナぁ? いつからここに!?」
颯太は突然現れたリーナたちに驚いていたが、リーナはそのまま話を始めた。
「ロゼはサンパリア家という貴族の娘。誘拐犯は私みたいな王族を攫わず、貴族の娘を攫う方が都合がいいと考えているのだ」
リーナがそう言うと、
(そうか、だから昨日もルリちゃんを……)
と颯太は昨日の出来事思い出してこの状況を察した。
「それじゃあみんな! 力を貸してくれ! 仲間を攫われるのは気分がよくないからなあ‼」
と颯太はタキシードのジャケットを脱いでリーナたちに頼むとリーナたちは、
「「「「おう!」」」」
と返した。
ルリも、
「おねーちゃんを助けて!」
と言って泣いていた。
「仲……間!?」
ロゼは颯太の言葉に嬉しくて口を押えて涙を流していた。
この世界の貨幣の1枚当たりの価値を君達の世界のお金に換算すると.........
銅貨が1円、銀貨がその1000倍で1000円、金貨がさらにその1000倍で100万円! 白金貨はそのさらに1000倍でなんと10億円!
10億円の価値がある硬貨なんて一体どんなものなのかΣ(゜д゜;)