100話 『実験結果と考察』
ザクロが消滅してしばらくたったころ、敦は重要なことに気づいてしまった。
「……し……しまったーーーーーー‼‼‼ やつから情報聞き出すの忘れてたーーーーーーーー‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」
敦はそう言って頭を抱えて発狂した。
――名もなき島
プロジェクターにザクロの戦闘を映し出していた‶魔人ラボ〟の社長はなぜか顔を赤らめていた。
「ブワッハッハッハー! 負けてんじゃねえか! は~じゅかち~‼‼」
一人の男が大声を出して笑い始めた。
「ちがう! やつはただの下っ端の捨て駒だ! 俺の自信作はこれの比じゃないくらい強い!」
‶魔人ラボ〟の社長は机をバンッと叩いて反論するのだが、その男にはただの負け惜しみにしか聞こえていなくてバカにし続けた。
しかし映像を見ていた‶クリミナルアカデミー〟の校長は、
「でもあの出来損ないがあそこまで強くなるとはなあ! ‶魔人ラボ〟はとんでもないものを開発してしまったのかもしれないなあ!」
‶クリミナルアカデミー〟は‶魔人ラボ〟に生徒を被検体として提供していたのだ。
そしてザクロもその学校の卒業生で学年で一番成績が悪かったため、捨て駒として‶魔人ラボ〟の被検体に選んだのだ。
「そうだな、‶クリミナルアカデミー〟の言葉が真実であるのであればこの‶魔人〟と言うものはとんでもない兵器になるのかもしれないな! 現に捨て駒として送り込んだ下っ端のザクロが‶王の騎士団〟と言い勝負をしていたのだからな!」
‶闇ギルド〟のボスもこの‶魔人ラボ〟の研究成果を高く評価していた。
「ではボス! わが社、‶魔人ラボ〟の最高傑作をお見せしましょうか?」
「ほーう! 連れてきていたのか! だったら見せてくれ!」
‶闇ギルド〟のボスがそう言ったら、‶魔人ラボ〟の社長はパチンと指を鳴らして一人の男を呼び出した。
そして‶魔人ラボ〟の社長は自分を馬鹿にした男の殺害命令を出した。
「俺を殺すだと? ブワッハッハ-! んなことできるわけねえだろ! 俺は元‶ゴールドランク冒険者〟で‶王の騎士団〟と互角に渡り合ってきた男だぞ! こんなてめえの兵隊なんかに……」
ズドーーーーーーーーーーーーーーーーン‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼
その男は社長の部下によって一撃で瞬殺された。
その光景を見ていた連中は一瞬静まったがその後は歓喜にあふれていた。
この会議に出ている連中たちは死に対する感情や殺すといった感情が特になく、全員が残虐非道な人間なのである。
「では改めてレーフェル王国の侵略の件よろしく頼むぞ! ‶魔人ラボ〟‼‼」
「「は!」」
‶闇ギルド〟のボスの言葉に‶魔人ラボ〟の社長と社長の部下は大きな声で返事をして、敬礼した。