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01話 『プロローグ: 希望が絶望に変わるとき』

 …… ――ガラガラガッシャン‼



 ここは真っ暗な闇の中。

 所々にポツリポツリと灯る小さなランプがあるだけの寂しい空間。

 そんな空間の中で突如として激しく瓦礫が崩れるような音が聞こえる。


 そう、この暗闇の空間こそ、世にも珍しき地下迷宮と呼ばれる場所だ。


 その地下迷宮の中で崩れる音とともにバラバラに切り刻まれた石の塊が落下する。その切り刻まれた石の塊の正体とは、石の魔獣……「ゴーレム」である。

 瓦礫の山から刀を鞘に納める動きをするシルエットが映る。間違いなくこの男がこの石の怪物、ゴーレムを切り崩したに違いない。


 このゴーレムを切り刻んだ男……雨宮颯太は目の前にある巨大な門に目を向けた。


 ツヤツヤの黒髪に181センチメートルとやや高めな身長で、服装は厚布の服にレザーベストと黒色のフード付きマント。

 彼は幼少期に冒険者になり、かれこれ6年が経過していた。しかし彼は誰とも組まずソロプレイヤーで長い間冒険していた。

 そして彼はたった1人でこの攻略不可能と言われている大迷宮の最終地点である巨大な門にまでたどり着くことに成功したのだ。


「ハァ……ハァ……」


 そして――彼は扉の前に立って、巨大な門「楽園の門(パラダイスゲート)」を見渡した。


「やっと……やっとここまで来たんだな」


 彼は興奮しながらそう呟いた。

 楽園の門(パラダイスゲート)とは、世界中の冒険者が憧れる夢の世界へ行くことができると言い伝えられている謎の門。幾多の冒険者が、夢の世界を目指してこの門へ向かうのだが、その道中で出くわす凶悪な魔獣や門番によって打ちのめされるのだった。

 しかし、この男……雨宮颯太は、襲ってくる魔獣や門番たちを顔色一つ変えずに返り討ちにしていったのだった。


「冒険者を始めてもうすぐ6年になるのか。あんときはまだ10歳になったばかりのクソガキだったもんなあ」


 彼は自分の人生を振り返りながら門をそっと触った。


「さてっ、さっさとこの門の開け方でも調べるとするか」


 そう言って颯太は門に刻まれている文字を一文字ずつ丁寧に読んだ。しかしその刻まれている文字には、衝撃的な事実が書かれていたのだった。


「なになに……この門を開けたくば、‶真実の魔法〟を使うべし…………」


 しばらくの間、沈黙の時間が続くのだった。だが、この事実を知った時にはもう遅かった。


「ぬわぁっ! ぬわぁんだとー!? しっ、‶真実の魔法〟だとー!?」


 颯太はこの地下迷宮全体に響きわたるほどの発狂をした。

 無理もない。‶真実の魔法〟とは、王国が経営している魔法科学院に通って魔法課程の単位をすべて修得しなければ覚えることのできない伝説の魔法だからだ。

 颯太は10歳の頃から冒険者をしていたため、学業はからっきしで勉学もしたことがない。そのため、真実の魔法は当然使えるはずがない。

 さらに颯太は、このダンジョンをここまで攻略するのに約1年もかかったのだ。


「チッ! チキショーーーー‼‼」


 颯太の希望はことごとく打ち砕かれ、その望みは瞬く間に絶望へと変わったのであった。


 しかしその矢先に先程破壊したはずのゴーレムの残骸がみるみると再生していくのだった。いや、再生と言うよりも復元されているといったほうがよいか。


「チッ!……もうここにいる意味はねえな!」


 颯太は舌打ちしながらこの場を立ち去った。しかしゴーレムはそんなことを許さない。逃げる颯太を仲間を呼んで追いかける。

 ゴーレムは次第に仲間を増やしていき、ついには合計10体になった。


「ハァ……ハァ……この迷宮に入る前に覚えておいて良かったぜ…………転移魔法、‶エスケープ〟!」


 この魔法は一度使用してしまうと二度と使用することが出来ない‶禁断の魔法〟である。しかしこの魔法を使って助かるのならやむを得ないと思った颯太は魔法の詠唱を始める。

 そしてこの魔法を唱えた瞬間、颯太は姿を消した。

ここまで読んでくださりありがとうございます!

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では第2話以降もお楽しみ下さい!

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