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晴屋~あなたの想い、晴らします~  作者: 晴屋
第一章 嫉妬
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「これがバレたら、私たちがストーカー扱いで捕まるね。」


 「確かにな。ミイラ捕りがミイラって感じだな。しかし、巫子はミスコンでも出てんのかってくらいによく男に話しかけられるな。長い黒髪に抜群の身体と顔ときたらモテるのは当たり前か」


 二人は雑談をしつつ、ランチを食べている巫子を観察していた。しかし、モテる割には一緒にいる友達が少ないな。探偵連中の調査では社交的で守ってあげたくなる、男女問わず好かれているとあったはずなのにな。


 一日、しかも数時間おきにしか観察してないが巫子には麻友しかいないと言わんばかりに二人きりでしかいない。おかしいな。巫子は声をかけられ挨拶はよくしているんだが……。


ストーカーに付きまとわれているとしたら普通の状態ではいられないからな。気心知れた麻友としか知れないってことなのかもな。ストーカーも視てるだけで気配がないってやつだしな。


 「おい、これからは講義が続くだけだ。バイトの日でもないらしいから、講義終わりにまた観察の続きととしよう。」

 

「なら、お昼にしようよ。」


 と真魅から珍しい提案があったので二人で昼を共にすることにした。料理を食べ終わり、暇つぶしにと今回のことに関して二人で話し始めた。


 「なんで、視てるだけなのか気にならない?」と真魅は俺自身も気にしていた疑問を聞いてきた。


 「さぁな。見てるだけの奴の気持なんかそいつ自身にしか分からんだろ。だが、接触をしていないってところになんかあるんだろうな。見てくる奴の気配もないみたいだしな。」


 「手を出したりはしない。俺は彼女のことを思って手を出したり、姿を現したりはしないんだ―って感じ?」


 確かに真魅の言う通りの所もあるだろう。接触をしないってことは自分の中で満足して完結してるってことだ。住所も特定したくて特定したわけではなく、追っかけていたらたまたま……ってこともあったりするかもしれん。


「もしかしたら、彼女のことを守るのは俺だ。って考えてるのかもしれないぞ?どっちにしろ巫子が怖いと感じて不快になってるのならそいつが悪いってのは変わらない。そいつにとっての正義が巫子をみることでも、その行為は巫子にとっては悪い想いだしな」


 でもさ、と真魅が話しかけた途端、教室から麻友と一緒に出てくる巫子の姿を捉えた。「話はあとだ。行くぞ。」と真魅に声をかけた。真魅は話しを打ち切られ、不服そうではあったが「分かった」とつぶやき後についてきた。


 講義が終わった巫子の姿を見ていたのは想思と真魅の二人だけではなかった。

 

「巫子ちゃん、ちょっと疲れたのかな。あんな格好して変な男がよりついちゃうよ……」




「講義が終わって麻友とショッピング。そして、夕食を食べて解散っと。一応、メモしとくよー。」

 

「悪いな。麻友と本当に二人きりでいるんだな。真魅も女子だから一応聞くが、女子は少数精鋭なもんなのか?」

 

「どうかなー。私は独りが多いから。」


 爆弾に触れたかと思い、しまったと思ったが真魅だから大丈夫かと考えをすぐに変えた。巫子のアパートはもう少し先のとこにあり、その道は暗く人通りは少ない。「真魅、気を付けておけよ。」と一応。心配した。


 視線の先にいる巫子はアパートに入っていった。玄関から住人以外立ち入り禁止ってか、中に行くのはちょっと危険かと判断し、真魅を連れてアパートを通り過ぎ、遠回りして付近をぶらついた。


 「怪しい奴はいなそうだな。また明日でなおすか?」と真魅に声をかけ諦めたその時だった。


 気づけばあいつはさっきもいたな、そう感じるや否やすぐに真魅に聞いた。


「今から通り過ぎる時にスマホをいじっている黒パーカーの男、さっきもここの近くにいた。一回通り過ぎてから、そいつを今度は観察するぞ。」


 人通りの少ない薄暗い道でスマホを使っている男、そんな奴は何処にでもいるだろう。だけど、時折、ちらちらと巫子のアパートに視線を移している。


スマホを見ては巫子の部屋に視線を送るといったようにその行動が繰り返されている。何よりも、巫子の後をつけていた時から何度もこいつの姿を見ていた。俺たちはそいつから少し離れたところで、怪しまれないように立ち話をしているのを装った。


 「想、あいつ笑いながら何かを見てるよ。」気持ち悪、と真魅はつぶやいている。


 「よし、賭けに出よう。巫子に今からベランダに出てもらう。」

 

巫子に、「今すぐ、ベランダに出てくれ。そして少しの間電話しているふりをしてくれ。」とメッセージを送り巫子が行動するのを待った。


 しばらくすると、巫子がベランダへ出てきた。薄着で寒そうに出てきたが少しの我慢はしてもらうしかない。





 想思さんからいきなりメッセージがきて驚いた。それはお願いと書かれてベランダで電話しているふりをしてくれというものだった。今は薄着だからなんか羽織ってと思ったけど、すぐにと書かれていたのでベランダへと急いだ。


 やっパリ寒いなと感じたけど電話してるふりを早く終わらせて戻ればいいやと思ったその時、


     ―あの視線を感じる―


毎日のように感じるその視線に間違いはなかった。恐怖で体が震え、すぐにベランダから部屋へと戻った。なんでここでも……不安になっているとメッセージの受信音が響いた。


 想思さんだ。少し不安に押しつぶされそうになった気持ちが軽くなった。内容は、いつもの視線を感じたか?と書いてあった。え?なんで?と疑問が頭の中でいっぱいになりつつも、そうです。と返事をした。するとすぐに、解決しておきます。ご安心を。と書かれてあった。


 信頼していたが家でも視線を感じた恐怖で頭がいっぱいになり、ベットの中で想思からの解決の報告を待つしか私には選択肢はなかった。



 巫子がベランダから出た瞬間、男の視線は巫子を食い入る様に見つめていた。すると、巫子は身体を震わせながら急いで部屋へと戻っていった。するとどこからか、「薄着だから寒そうに。」とつぶやく声が聞こえた。やはりあいつか?と考え巫子に新たにメッセージを送った。


 真魅が突然、男のもとへと歩みだした。男の前に立ったかと思った瞬間、


「巫子の友達でーす。巫子のお知り合い?風邪ひいちゃってるみたいだから、お見舞いに部屋に一緒に行く?」と声をかけた。


 男は突然のことで驚きに満ちた表情をしている。あいつ何してんだと俺自身も男のように驚きでいっぱいだった。ストーカー疑いの奴を部屋に誘うつもりか!と男と真魅の元へと急いで進んだ。


 「え、突然なんですか?私は部屋には入らないですよ。」と男は真魅に返事をしていた。

 

 「酔ってるからぁ。知り合いと間違えたー。巫子の部屋に用事ないのに何でずっと見てるの?気になるなら、風邪ひいてるんだしお見舞いに行こうよー。」と真魅はいつもの真魅からは信じられない甘い声を出して話しかけている。


 「たまたま通りかかったんですよ。巫子さんの部屋はたまたま見てたら見えたんですよ。巫子さんは元気そうでしたし風邪ひいてないと思いますよ?」


 「すいませんね。連れがご迷惑をかけて。」と謝りに行った。


こいつは何したかったんだと思いながら真魅を見ると真験な表情へといつの間にか戻っていた。さっきのやりとり、なんかひっかかるなと考えていると真魅が


 「たまたま?一時間以上はそこにいたよね?元気ってなんでわかるの?あなたは今日は巫子と話してないよね?しかも、巫子の部屋は一階だけ上に上がったの。最近のことで麻友くらいしか知らないよ」



 その言葉を聞くや否や、男の顔は何も感じさせないほどに無表情へと変わっていた。


今回は少し長くなってしまいすいません。

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