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「なぁ、現さんと他二人、これからどうするんだ?」
「今、話していたところだ。結界とやら消えてしまったようだし、撤退が一番安全ではないだろうか。明日にでも出直すべきだろう。素人の私にも異様さを感じるほどだしな、この先の調査は危険が多そうだ。」
梓は冷静に分析している。しかし、肝試しにやってきた大学生も中におり、ヨリコという怪異も怒り。怪異たちは動き始めた。大学生の身に何かあるかもしれないが、俺らには関係ない。肝試しになんか着やがった連中が悪い。現の奴が変な正義感を振りかざし始めたら困るんだが……
キャー うぁー 来るなぁぁー
階下から悲鳴が聞こえてきた。
「さっきの方々が中に入ってきてしまったのかもしれませんね。襲われているのかもしれません。急いで助けに行きましょう。」
「そうだな、万が一があったら大変だ。危険だが行くしかあるまい。」
現と梓は助けに行く気が満々のようだ。吟子はあまり興味がなさそうである。
「助けに行くとは言うが何かもわからないうえに結界もないんだろ?無謀じゃないか?」と提案した。
実際にヨリコの存在には現は気づいていない。このままではけが人が出るだろうが、よくわからん奴を相手にして他人を助けるために真魅や吟子を危ない目に合わせんのも、何より俺がつかれるのも納得はできない。
「梓さんと僕でいきます!皆さんは外に出て待っていてください。」というと、梓の手を引き廃校の中へ走り進んでいこうとした。
「ちっ、梓、もってけ」と梓に数珠の球のようなものを投げ渡した。
「あの二人は言ってしまったけど私らはどうする?」
吟子は言ってしまった梓を微塵も心配していないようであった。薄情だな、こいつと思っていると吟子は「あんたが何か渡したんだったら死ぬことはないでしょう」と薄く微笑みながら言った。
「じゃ、俺らも怪異の出る肝試しでもするか」と笑いながら言い、廃校の中に進んでいった。
「しかし、物騒な雰囲気になったね。さっきの結果?は巫子ちゃんが破ったものなのかい?だとしたら彼女もかなりの力を持ってることになるねぇ。」
吟子は何を考えているのか読めないことが多い。なので、面倒でもあるので、俺は吟子を無視することにした。よく考えてみると何かおかしいのだ。
確かに、巫子の霊的素質は高いがそれはあくまでも一般人のレベルにおいてのはずだ。拙いとはいっても、祓屋の、しかも弓削の者の結界を破ることはないはずなんだが。
タイミングからすれば巫子で間違いないが決めつけてよいものなのかと悩んでいると二人は俺をおいてさっさと三階に下りていこうとしている。
「待てよ。」俺は慌てて二人の後を追った。
三階に降りるが何かがいるような、こちらを見つめているような感覚が背筋を走る。しかし、辺りは静寂に包まれていた。二階、一階と階段を下りていこうとするが三人はある異変に気づいたのであった。
「ねぇ、想、下に行けないね。」
「さっきから何度も同じ階だねぇ。ここからは出さないつもりかねぇ。」
「だろうな。ヨリコさんの力が強すぎる。そいつが俺らを迷わせてんだろ。ホラー映画とかの定番だな。」
よくあるだろ、楽しんでいこうぜと言い返すと二人は微妙に納得した表情をしていた。しかし、このままでは、無駄な時間しかすぎない。いっぺん試してみるかと思い、廊下を少し進んでいった。
ふたりはどうしたと聞いてきているが説明もめんどくさい。無視して俺らを迷わせる原因を探した。すると、廊下の進んだ先に手洗い場が見えた。
「何かいやな感じがする。」と真魅は顔をしかめてつぶやいた。
確かにここからは強い異圧が感じられた。違和感の正体は鏡にあることが何となくだが感じられる。よくみると俺の後ろにこちらを見る日本人形のように可愛らしい女の子の姿が見えた。
「一緒に遊ぼうよ」
突然、耳元から聞こえた声に反射的に体を翻し、二人の手を取り、走り始めた。「真魅!」と声をかけると笑いながらこちらをみていた。
「あの子、ヨリコさんに呼び寄せられたんだね。あの子が階段で迷わせていたみたい。かわいそうに、遊んで欲しかったんだよ、たぶんね。」
真魅と吟子は同情しているが俺が感じた異圧からするに、あいつはかなりやばい。何人か生者を殺してる。
階段を下へと下るがまたループしてしまう。やるか、と半ば諦めに近い気持ちで見えない壁を壊すかのように、俺は前方の空間を蹴った。ばりーんと砕ける音が鳴り、今まで降りることができなかった二階へと進むことができた。
「このまま、外まで走るからな」
二人はつらそうではあるが、確かに聞こえているようでうなずいていた。背後を振り返ると女の子の姿は見えなくなっていた。
しばらくすると玄関にたどり着く。車が一台止まっていたが中には誰もいない。中に入っていったからなのだろうか。たぶん、大学生の乗ってきた車だろう。
「やっとでれたな。しばらくはここにいるのが安全だろう」と二人に話すと二人は息を切らしながらもうなずいていた。
どこからか女の悲鳴が聞こえた。すると、二人は梓を助けてほしいと言ってきた。
「想、梓を助けてあげてよ。今のうちに借りを作っておきなよ。」
「私からも頼むよ。依頼として受け取ってくれて構わない。どうかお願いだ。」
二人とも珍しく慌てている。先ほどの女の子の異圧を感じたために、それよりも上位であろうヨリコさんに襲われているかもしれないと考え、動揺している。
「わかったよ、お前らの心晴らしてやるよ。」
俺は怪異蠢く廃校の中に入っていくのだった。
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