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晴屋~あなたの想い、晴らします~  作者: 晴屋
慈愛と怒り
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 あの騒動があってから、依頼をこなす日々が続いていた。真魅は晴屋の美人アシスタントとして、大学内で有名になっているらしい。そのおかげか最近はずっと機嫌がよさそうである。


今まで変人の巣窟にいたので目立たなかったが、先の巫子の事件によって晴屋の名前が知られるようになってしまった。美人の巫子さんの力は偉大過ぎたということだ。


 今では訪れる客も増え、晴屋の収入も増えていったがその分、面倒な依頼も増えてきた。そのせいか、このところ、俺の機嫌は悪くなる一方だった。


 すると、そんななか、晴屋に吟子と梓がやってきたのだった。


 最近はイライラしっぱなしだ。収入が増えるのはいいが、恋愛関係のが多すぎる。大学生の頭はお花畑にでもなってんのか?それに加えて、心霊関係の相談も多くなっている。

 巫女や麻友、麗子がサークルで話でもしたんだろう。雑魚の相手ばかり、ほとんどは心霊スポットに行って―なんてのが多すぎる。


 想思がイライラしている一方で真魅は吟子と梓に対しコーヒー、菓子などを出しもてなしている。吟子と梓はこの変人の巣窟に住まう美人二人組と噂されるほどの人物である。顔の広さは大学生のそれとは大違いだ。


 

 吟子は『霊的民俗学研究会』の部長であり、霊的な物や民俗信仰については知識が豊富であり、その筋ではゆくゆくは教授だなんて噂されているほどだ。

 梓も負けておらず、探偵として事件などの多くに関わっており情報網の広さは俺でもわからない。


 そんな二人がコンビを組んでやってきているってことは厄介なことなんだろう、と簡単に推測ができ、気分が乗らないが二人の前に座り、早く話をするように促した。


 「なんだい、そんなに嫌がらなくてもいいだろうに。前に依頼してあることの詳細を言いに来たんだよ。探偵研と霊民研の二つに依頼が来たんで、二人で来てるんだよ。同行も二人ともついていくけどねぇ。」


 と、にやにやと笑い吟子はとても楽しそうにしている。この蛇女め、だから苦手なんだと思い、何か言おうとしたが遮るように梓が話し始めた。

 

 「今回の依頼は、探偵研には群馬にあるという廃校の事件の調査という名目だった。霊民研には、その土地にある信仰や伝説の調査が依頼だった。しかしだな、調査と言っても特筆すべきことは特に見当たらない。その結果を伝えると、依頼者は現地調査をプラスにしてきたのだった。どうもおかしいと感じないかい?」


 確かに、それはおかしいな。二人に依頼が来ることは珍しいことではないが、同時でしかも特に何もないのに、現地調査も依頼してくるとは。何かがあるということは知っている。


 しかし、何があるかはわからない。もしくはどうしても二人にはそのげんばにいってほしいということなのか。現状では推測が難しいか……


「依頼者に違和感とかはなかったのか?」


「依頼者は朧教授の知り合いらしい。悪い人物ではないということだったよ。」


 朧教授はまだ三十代くらいの準教授だったはずだ。悪い噂はあまり聞かないが謎な人物とか言われていたかな。依頼者はおかしいやつでもない、依頼元は一応信頼できる教授ということは、その現地になんかあるんだろうな。


 霊的な現象であることは間違いないが、原因がわからないので困っているから何が何でもと思って現地調査まで依頼しているのか。


 「で、俺に依頼ってのはどうしてだ?そしてどんな内容になる?」


 「依頼の内容は、原因解明のために私たちに協力するということ、万が一のために私たちを守ってほしいということだ。君に対しては利益は少ないだろうから、最低限でいい。」


 梓の話を聞くと確かに利は少ないが、恩も売れる上にイライラしていた中で、いい気晴らしになるだろう。受けてやるか。


 「受けるが、条件は真魅もつれていくということと、俺は好きなようにやらせてもらう。簡単に言えば、何かあったときは俺の指示に従えということだけだな」とだけ返した。


 すると二人は安心したような表情を見せた。そして、吟子がすぐさま、意地悪な笑顔を見せて、「祓屋のどこかにも依頼がいっているからくるけどね。」と楽しそうに言った。


 思わず舌打ちが出そうになった。どうやら、大事に巻き込まれているみたいではある。最後の最後まで、祓屋のことを言わなかったのはこういうことだったわけか。一波乱がありそうなメンバー構成になりそうで気が遠くなってきたのであった。


二章の始まりです。よろしくお願いします。評価感想もお願いします。

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