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晴屋~あなたの想い、晴らします~  作者: 晴屋
第一章 嫉妬
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 麗子が帰ってきてから麻友に話を聞く、そう結論をつけて私たちは話を終えた。想思さんは麻友に対してどうするのかと聞いた。ストーカーの男が自殺した話など、実に楽しそうに話していたし、たぶんその表情は自分では気づいてないんだろうなぁ。


 やめさせるために強引なことなんかされたら麻友がどうなっちゃうかわかんない、そう私が言い、我慢すると半ば強引に麗子に納得させたのだ。でも、これから、麻友に会うのが少し怖いな。 


 疑ってるなんて思われたら悲しむだろうし。麻友が犯人じゃないってことにして考えるのはやめよう。と前向きに気持ちを切り替え、麻友との待ち合わせに向かった。


 バイト終わりに、麻友に会うと彼女は何の変化もなく、想思さんの勘違いだったという気持ちが強くなっていった。「バイトお疲れ~。部屋にあがってもいいかな?」という麻友を私は部屋に招き入れた。


 「あれ、なんか部屋の感じが前と違うけど何かあった?」と麻友は不思議そうに聞く。「ちょっといろいろとあってね。気分転換だよ。」とぎこちないながらもなんとかごまかした。


 「最近は上条先輩とどうなの?」麻友は真剣な表情でこちらを見つめ、続けて「告白されてフったとか、デートした、とかなかったの?麗子が気にしちゃうからさー、教えてよー」と笑いながらも話している。


 麗子?なんで麗子が何があったのかを聞いてみようかな。秘密にしていたのは確かなんだし理由があるのかもしれない。


 そう思うと私は気持ちを強く持ち、麻友に「麗子はどうしてるのかな?」と聞いた。すると、笑顔のままで


「麗子は体調が悪いんだってさ。だから、学校にも来てないみたい。なんで巫子に早く教えなかったのかなー」


 といったのであった。うそをついてる。麗子は実家にいるし私に伝えてほしいということを言ってるはずなのに。晴屋でのことがあり、無意識に「麗子は実家にいるはずなのに」とつぶやいてしまった。


 部屋の空気が張り詰めたものになったことを感じ、ふと麻友を見ると無表情にこちらを見つめている。その無機質な瞳には私の姿が映っているのがわかる。


 「どこで知ったの?」


 恐怖で鳥肌が立つのがわかった。唇が震え、うまく言葉として発することができないでいると、麻友はゆっくりとこちらに向かって歩いてきた。


「晴屋かな。失敗だったなー。暴走しちゃったストーカー君が死んだのはよかったんだけど。そこまで、親切に調査しているとは思いもしなかったよ。もう少ししたら、憑屋の人たちの呪いが来るからまぁいいか。でもばれちゃったのは悲しいな。巫子という親友を亡くした女の子ってほうが悲劇のヒロイン感が増すし良かったんだけど。麗子も知ってるなら麗子も殺してもらわないと。」


 私は驚きと恐怖で何も言葉が出ない。なぜ、あんなにも笑顔で麻友は楽しそうに笑っているのか私には理解できなかった。かろうじて私の口から「どうして」という言葉が出た。


 「あんたが邪魔だからだよ。親友としても良い子なのは知ってるけど邪魔になっちゃったんだもん。精神的ストレスでいなくなるかなーと思ったけど意外と耐えるし、さっきも言ったように憑屋なんて胡散臭いのに最後は頼ることになったんだよ。助けを求めても無駄だよ?巫子の友達には悪い噂流したりして私以外は友達じゃなくなるように頑張ったんだから。もう誰も助けてくれないかもね。麗子はここにはいないし。」

 

 もう今までの麻友ではないことがはっきりとわかる。


 すると麻友は、ばれたんだししょうがないとつぶやくと部屋から出ていこうとした。扉まで行くとこちらを振り返り、「巫子、あなたは三日後に死ぬんだよ。」とだけ微笑みながら言い部屋を後にするのであった。巫子の思考はまだ何にも追いついてはいなかった。


 「やっぱりそうだろ。麻友が主犯格だ。厄介なことは麻友が憑屋の連中に手を出したことだな。仕事は確実に行うだろうし、巫子は確実に死ぬな。」

 

 「残念だね。今まで見てきたように、霊障で殺すのかな?それとも、憑かせてころすのかな?」


 「予想だとあのストーカー男の霊を使って霊障&憑りつかせて殺すだろうな。あの男は狂信ってくらいだ想いの強さも強い、その上、死んだばっかだからな、扱いやすいだろ。」

 

 「想思はこの件についてどうするの。」


 俺は巫子の部屋に仕掛けた盗聴器から聞こえていた一連のやり取りを聞き、真魅と考えを話し合っていた。真魅はじっとこちらを見つめどうする気なのか言うまではあきらめないつもりだ。


 「あいつがどうするかだろ。祓屋としての俺らの管轄なんだろうが依頼はされていないからな。」というと真魅は「優しいのか優しくないのかわからないね」と笑い、「何飲む?コーヒー?」と嬉しそうに聞くのだった。

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