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プロローグ

 イタリアのシチリア半島に史上最強と呼ばれるマフィアが存在する。


 その名はアントナッツォファミリー。


 ボスのウェルナー・アントナッツォと三人の幹部、そして七人の構成員から成る少数精鋭のイタリアンマフィアだ。


 彼らはマフィアを自称し、世間からもそう認識されているが、その活動内容は異常で他のマフィアとは一線を画している。


 まず、アントナッツォファミリーはマフィアのくせに勧善懲悪と絶対不殺を組織の方針としている。


 普通のマフィアであれば、犯罪等の悪事によって収益を得ていることが多い。麻薬の売買や恐喝、詐欺など、活動内容と犯罪はほぼイコールで結ばれると言って良いだろう。連中は抗争があれば人殺しも辞さない裏の世界の住人だ。


 だが、アントナッツォファミリーは基本的には悪事に手を染めない。逆に依頼人クライアントからの依頼で悪を裁くことを主な活動内容としている。

 麻薬売買の中心地であった街の長に密売組織の壊滅を依頼されたり、マフィアから恐喝を受けている企業に金品の奪還を依頼されたりと、他のマフィアと敵対することも多い。


 この話を聞くと、アントナッツォファミリーは正義の味方のように思えるかもしれないが、実はそうでもない。


 彼らは善悪の基準を、すべて自分たちの独断と偏見で判断し、決定している。

 依頼人が悪だと判断すれば金だけ巻き上げて潰しにかかるし、本来潰すべきはずの目標ターゲット側に寝返ることもある。稀なケースではあるが、他のマフィアと共闘してイタリア警察と衝突することだってあるくらいだ。


 自分たちのやりたいように行動して、金はしっかり手に入れる。それがアントナッツォファミリーの信条となっている。


 では何故このような滅茶苦茶な集団が罷り通るのか。


 それはアントナッツォファミリーが圧倒的な武力を保持しているからであった。


 とにかくハチャメチャな強さで相手を半殺しにする。半殺しにはするけど息の根は止めない。一度戦ったマフィアは恐怖心を植え付けられて、戦う前から戦意を喪失してしまう。


 そんな史上最強の戦闘集団。それがアントナッツォファミリーなのである。


 特にその中でも幹部の一人である狙撃手スナイパーの強さは際立っていた。


 相手と対峙することなく、卓越した技術で遠方から高精度の狙撃を浴びせる。この狙撃手スナイパー一人だけで壊滅させられたファミリーも多い。

 その狙撃手スナイパーは姿を一切現さずに戦闘不能者の山を築くことから「沈黙の死神」と呼ばれ、裏の世界では知らぬものはいないほど、恐怖の存在としてその名を轟かせている。


 この「沈黙の死神」がいる限り、アントナッツォファミリーの時代はしばらく続く。そしてこの少数精鋭の最強集団を倒す存在など、半世紀は出てこないだろう。そう言われていた。


 そう言われていたのだが……。

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