学校へ行こう 前編
「サフィラー!部屋にいるー?」
「いるよー!」
いつのまにか帰っていた父が、私を呼んだ
「降りておいでー!」
「はーい!」
父の声に応え、リビングへと降りる
マルクスはずっと勉強をしていたらしい
真面目だなぁ
「どうしたの?」
「学校の話をしようと思ってね」
グリムが言ってた事かな
「明日から私も行くんだよね」
「マルクスから聞いたのかい?」
「グリムから聞いたよ」
「おかしいな、彼には伝えてないはずだけど...」
「一階の話し声くらい、寝室にいても聞こえる。昨日の夜3人で話してただろう」
ドラゴンって耳も良いんだ
どのくらい五感が発達してるんだろう?超能力とかもあったりするのかな?
なんだかワクワクしてきた
「サイコキネシスは無理だけど、占星術なら得意だぞ!」
ドラゴンの占いなんて、的中率が高そうだ
「9割ぐらい」
パネェ!
私も占って欲しい!
「道具が無いから、また今度な」
父が不思議そうな顔でグリムを見ている
普通のドラゴンはあまり耳が良くないんだろうか?
「ええと、とにかく教科書は明日学校で貰えるから、大きいリュックを用意しておいてね」
「はーい!」
返事したのはいいものの、荷物多いの面倒だな
グリムは付いてきてくれるって言ってたし、魔法で運んでもらえないかな
「使い方を覚えた方がいいんじゃないか?」
確かに、グリムに頼りっぱなしじゃこの先自力で生きていけなくなりそうだ
出会って数日で、すでに負んぶに抱っこされている私が言えたことじゃ無いけど...
「頼ってくれていいぞ!その方がオレも嬉しいし」
許可をもらったので存分に甘えさせていただこう
「じゃあ一緒にお風呂入ろ!」
「関係無くね!?」
「1人で入るの怖いし...」
「今までどうしてたんだ...」
呆れられたが、それはそれ!
番なんだし、いいじゃんと言い訳をしておく
今日もグリムを枕にしてベッドに潜る
ふふふ、相変わらずいい毛並みですね旦那
こんなに素晴らしい枕なのに、どうしてあんなに嫌な夢をみたんだろう?
「トラウマになってるんだろう。怖い思いさせちゃってごめん」
別にグリムのせいじゃないのに
「オレのせいだよ。サフィラに会う前に、仕留め損ねたんだ」
大きな傷があったのはそれだったのか...
納得はしたが、それでもグリムが悪いとは思えない
「サフィラは優しいな」
グリムは私のことを勘違いしている
優しいんじゃなくて、他人を怒れないだけの情けない人間だ
「夜も遅いし、そろそろ寝よっか」
「明日は昼まで寝てちゃダメだもんな」
「今日はたまたまだもん!明日は起きれるし!」
「はいはい、おやすみサフィラ」
「おやすみグリム」
馬鹿にされてる気がするけど、まあいいか
明日からは学校だ
行きたくないなぁ...




