理事長に挨拶
歩くこと30分
ついに学校に来てしまった
「とりあえず、理事長の所へ行こう」
「どんな人なの?」
「色々すごい人」
なるほど分からん
まあ理事長なんだし、立派な人物ではあるんだろうな
正面の門をくぐり、噴水や整えられた花壇の並ぶ中庭を通り抜ける
やけに豪華な学校だな
学費が高そうだ
「特待生になれば授業料免除だって」
「おべんきょうにがてなのでむりです」
「え、意味分かってるの?」
「? うん。成績が良ければ、無料で勉強を教えて貰えるってことでしょ?」
「...サフィラは賢いな。特待生にもなれそうだ」
「そうだろう!」
私が褒められているのに、グリムが嬉しそうに返事をする
...しまった!
前世では22歳だったからうっかりしていた
5歳があんな言葉の意味分かるわけないじゃん!!
それとなんでグリムがドヤ顔してるんだ!
「自慢の嫁だからな!」
私の肩に飛び乗り、また頬ずりをしてきた
人前ではやめてください、恥ずかしいです
「2人きりならいいのかー?」
嫌じゃないしね
「じゃあ帰ったら続き!」
続きって、何をする気だろう...
頬ずりはやめてくれたが、降りる気は無いらしい
首回りがもふもふして安心するのでこのままでいいか
「着いたよ」
結構遠かったな
学校自体がかなり広い
マルクスは緊張した様子で理事長室の大きな扉をノックする
「「失礼します!」」
一礼して、部屋に入る
「おはよう、君がサフィラだね?」
40代半ばのスーツがよく似合う精悍な顔の男性だ
当然か、私のことはすでに伝わっている
「そうです。本日よりこちらの学校でお世話になります。初めてのことばかりで拙いところもありますが、何卒よろしくお願いします。」
「聞いていたよりも、ずいぶんとしっかりしているね。私はグレゴール。この学校の理事長だ」
そう言って握手をする
「君の肩に乗っているのは、ドラゴンかな?」
あまりに自然について来たので忘れていた
学校ってペットとか連れてくるのって普通ダメだよね
1人で学校生活なんて心細いし、グリムと一緒に通えるように話をしてみよう
「そうです!もしも私にテイマーの素質があるのでしたら、彼にパートナーとして共に教育を受けてもらおうと思い、こちらに連れてまいりました」
口から出まかせだ
「なるほど。子どもとはいえ、ドラゴンは非常に気性が荒い。君にずいぶん心を許しているようだし、才能はありそうだ」
ラッキー!適当だったけどなんとかなりそう
「後日、素質を見極めるための試験を設けよう。それに合格すれば、ライセンスと同行許可証を君に渡す。それまでは、君のパートナーと共にテイマーの基礎教育を受けてもらう。それで良いかな?」
「はい!ありがとうございます!」
話を終えて理事長室から出る
なかなか話の通じる人だったなぁ
「理事長に気に入られるなんて、羨ましい」
「気に入られてたの?」
「そうだよ。テイマーでもないのに、基礎教育を受けさせるなんてありえない。普通はライセンスを取ってからだ」
「へえー」
とにかく、グリムと一緒学校に通えるように何がなんでも試験に合格しよう




