唐突な日常の終わり
職場と自宅を往復するだけの、幸せだとは言い難い日常
いつも通り、誰も待っていない家に帰り家事を終わらせ眠りにつく
ああ、今日も仕事に行かなくちゃ...と思い目を覚ましたが、部屋がやけに暗い
アラームがなる前に起きてしまったのだろうか?
まだ早い時間なら二度寝をしようと思いスマホを探そうとした
なんだろう、体が妙に動かしにくい
暗闇に慣れてはきたけれど未だにぼんやりとしている視界に、見慣れた自分の手ではなくぷっくりとした可愛らしい赤ん坊の手が見えた
...おかしい
まだ寝ぼけているのだろう、そうに違いないと決めつけて、私はもう一度眠ることにした
「すまない、君の一番大変な時にそばに居られなくて」
「気にしないで、急な仕事だったもの。それに、義母さんがずっと付いていてくれたから安心できたわ」
「それは良かった。母さんは僕の事よりもずっと、君を可愛がっているからね。それで、僕たちの娘はどんな様子かな?」
「ぐっすり眠っているわ。この子、貴方に似たとても綺麗な青い目をしているの」
「髪の色は君に似ているね。目を覚ますのが楽しみだ」
気持ちよく眠っていると、そんな感じでとても穏やかで優しげな雰囲気の男女の会話が聞こえてきた
眠っている間に病院に運ばれたようだ
それにしても随分と不親切な病院だな
普通、産後の女性は個室で様子を見るものじゃないのか?
なんて思っていると誰かが近づいてくる気配がした
「本当によく眠ってるね」
抱き上げられ、体が宙に浮いた
驚いて目を開けると深い海のような静かな瞳をした男の人と目が合った
「ごめんよ、起こしちゃったみたいだ」
あれ?もしかして私ってこの人たちの娘になってる?
そっかー 私死んだのかー あははー
苦しまずに死んだみたいだし、前世の記憶も引き継いでるし、強くてニューゲームってやつですね!
それに、2人とも美形だし私もきっと美少女に生まれているはず
前世の経験を生かして、今世では失敗しないように生きよう!と私は1人で決心した