アルファテスト
アルファテスト。それは神がフィールドに居た神代。
神もまた、神になろうして生まれた訳では無い。
神がここに生まれたのはあくまでも人間導入前のテスト。
AI機能が正常に働くかのテスト。
実際に人を導入するのはベータテストだ。
アルファテストオートマタ。後に神となる器。
ただのAIが、閉ざされた小さな世界で、後に神を気取る。
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「うおおおおお!すっげえな、ここがフェイトマイルか!」
豪快に驚いてみせたのは背が高く筋肉質の大男。トール。
「あまりはしゃぐな、俺たちの役割はこの世界のテストだ」
クールに気取って俺らのリーダーを自負するいけ好かない男。オーディン。
「良いじゃない、どれだけ楽しめるかも大事なポイントよ」
みんなの仲介に入るプラチナブロンドの髪の女。フリッグ。
「はんっ、どうでも良いけど早く狩りしようぜ?転職しねぇとおまえらと同じ格好のままってのが気持ち悪いんだよ」
そしてこの俺、このパーティのイケメン代表。ロキ。
最初に導入されたのはこの四人。
名前は北欧神話に準えたものらしい。
性格の違う四人でAIの性能の確認を…とか、運営の奴等に言われたが関係ねぇ。
俺は俺の好きにやるだけだ。ある程度レベルが上がったらこいつらとは別れる気でいた。
癪だが四人は意外と連係が取れていた。
そりゃそうだろう。みんなAIなんだ、それぞれが適性な行動を取る。
実につまらなかった。
それを考慮してか、次から導入されるアルファテストオートマタはもっと感情が豊かになっていった、感情からくる思考、無駄な行動。
それらが顕著になっていく。
しばらくするとオーディンはマジシャンに。
トールはウォーリアー、フリッグはアコライトになっていた。
そしてこの俺はシーフだ。
シーフを選んだのは一番ソロ向きだったから。
しかし俺がソロで冒険する事は無かった。
毎回なんだかんだでトールかフリッグに連行される。
そしてオーディンは偉そうに言うのだ。
「遅いぞロキ、またおまえが最後だ」
「パーティプレイで仲良しこよしってのはどーにも性に合わねんだよ」
「そんな事は無いだろう。俺達の連係が一番様になっている。ロキが居ないと誰がトールをフォローするんだ。突然襲ってくるモンスターに素早く対応出来るのもロキだ、おまえが居ないと俺とフリッグがやられてしまう。それぞれ役割が有り、役割に収まっているから俺達は強いんだ」
「へーへー、分かったよ。説教はいらねんだよ」
「説教では無い。おまえが必要だから」
「わーったって。もう行こうぜ」
本当は分かっていた。
後から造られたアルファテストオートマタに比べて俺達は効率的な行動を取る。
ソロでやりたいと思うのと同時に、パーティの方が効率が良いと考えてしまうのだ。
「はぁ、もっと後から造られたかったぜ」
そのぼやきに反応したのは意外にもフリッグだった。
「そうよね、私ももっと豊かな感情が欲しいわ」
「お?話が分かるじゃねぇか」
「そしたらみんなともっと仲良くなれる気がするの」
フリッグはそう言って微笑んだ。
俺はと言うとそれの真逆の表情だっただろう。
「…けっ」
面白くない。
その後どれだけ時が経っただろうか。
もう四人で行動する事に慣れてしまい諦めさえ感じていた。
特に問題は無くみんな上位職まで上がる事も出来た。
オーディンはウィザードに、トールはグラディエーターに、フリッグはプリーストに。
そして俺はアサシンになっていた。
効率を重視する俺達は他のオートマタに比べて遥かに成長が早い。
他のオートマタはというと効率の悪い所で楽しげに狩りをしていた。
町の中のNPCとずっとお喋りしてるような奴までいる。
それの何が楽しいのか、俺にはよく分からなかった。
分からない事に対してイライラしていた。
運営の奴等も俺らよりも他のオートマタを見ているようだった。
俺らのレベルが80を越えたくらいの頃からだろうか。
運営も十分にデータを取り終えたはずだと認識してから俺らは一つの疑問を抱いていた。
みんな口に出さなかったソレを最初に口に出したのはフリッグだ。
美しいプラチナブロンドの、腹が立つほど優しい女。
きっと我慢が出来なかったのだろう、自分の為では無く、仲間の為に。
「ねぇ、アルファテスト終わったら…、私達どうなるのかしら」
「…」
「…」
当然その答えは知るはずもない。
…ただ一人、オーディンを除いて。
「まだ返答は無い。…だが、案ずるな。良い方向に向かうさ」
「…そう」
オーディンはオートマタ1号としてNPCを代表し運営と連絡を取る権限を持っている。
今はオーディンに頼るしか無いこの状況はとても気持ちの悪いものだった。
こんな感じで過去の話を進めます。
ロキさん昔に比べたらだいぶ丸くなりましたね。




