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ログアウトって何ですか?  作者: しら玉草
アルファテストオートマタ13号、アレク
14/30

なんで…殺すの?

僕はシーフギルドの前に立っていた。

下位職のギルドはだいたいシニオンノビス周辺に建っている。

そのギルドの前に、何故シーフなのか分からないまま立っていた。

謎の喋る剣、ミスティルテインに言われるままに速さと技にステータスを振り、そして言われるままにシーフギルドまで来ていた。


「ミスティルテイン、本来なら冒険者のプレイスタイルに口出しちゃいけないんだぞ」

『気にするな』

「気にしろよ」



気を取り直してシーフギルドの門を開ける。

中は明らかに荒くれ者の酒場的な雰囲気、柄の悪いNPCも配置されていた。


「おう、兄ちゃん。何の用だ」

テーブルに腰掛けた大柄な男が声を掛けてくる。

「あ、シーフになりたいんですけど」

「はっはっは!こいつぁたまげたな。犯罪者になりたいってか」

大柄な男の口調はどこか芝居染みている。

「これお決まりのやり取りですか?」

大柄な男もきっとNPCだ、おそらく転職時の決まり文句だろう。

「…良いから付き合えよ。俺だって言い飽きたわ」

「あ、はい。続けてどうぞ」


「ごほん!あー、盗賊になりたいってんなら腕前を見せてみろ。奥の部屋から何か1つ盗ってこい。おっと!簡単にはいかないぜ?奥の部屋にはうちのギルドのシーフがいるからな。見付からずに盗ってこい」


ギルドの奥に扉があり、そこにはでかでかと【試験会場】と書いてあった。

…きっと場所が分かりにくいとか苦情があったに違いない、心中御察しする。


扉をそーっと開けて中に侵入すると奥の椅子にシーフが一人座っていた。

座っていたのだが、明らかに居眠りをしている。

同じNPCとしてこれは少し許せない。


「おい、サボるなよ」

「…、話しかけんな。良いから1つ何か持っていけ」

「…ん?起きてる?あ、あー。そういう演出だったのか」

「NPCが寝る訳ねぇだろ」


言われてみればその通り。

僕は棚から適当にポーションを1つ持っていく。

というかこの部屋ポーションしか置いていない。



ポーションをさっきの大柄な男の所に持っていくと大袈裟に驚かれた。

「おまえすげぇじゃねぇか!才能あるぜ!そのポーションは餞別だ!持っていきな!」

ああ、それでポーションしか置いてなかったのか。


ファンファーレと共に僕はシーフへと転職を果たした。

なんと呆気ない、いやゲームの転職なんてこんなものか。


「無事シーフになれたな!よし、これも持っていきな!」


【盗賊の外套、1個獲得】


それは浅黒い厚手のマントの様な外套。

外套を羽織るとそれなりにシーフっぽくなれた、気がする。

いまいち感動は薄いが初めての転職だ、下位職とはいえ嬉しい。




『話がある、移動しろ』

転職を終えたばかりだというのにミスティルテインから声が掛かった。

全くこの剣は、アイテムのくせに冒険者に指図するとは。

とはいえ反発する理由も無いのでギルドをそそくさと後にして建物の物陰に移動する。


「で?何?ミスティルテインから話し掛けてくるのは珍しいね」

『シーフのスキルに【スローイングエッジ】があるな?まずはそれを習得しろ。そのスキルが神を殺しうる牙となるだろう』

「スローイングエッジ…ねぇ」

どっちにしろまだスキルポイントは持っていないがスキルの詳細だけは確認しておこう。


【スローイングエッジ】

【片手で持てる切断武器をアイテム覧から指定し投擲する】

【投擲した武器は強度に関係無く破損する】

【AP10】【リーチ30】

【武器の攻撃力に重量を乗じたダメージを相手に与える】


「…これって一回投げる毎に武器使い捨てになるんじゃ?それにせっかくの遠距離攻撃だけど武器拾いに行かないとだし、安価なナイフとかでタゲ取りするくらいしか用途無さそうだけど?」

『おまえのAIはだいぶ残念だな。俺の特殊能力忘れたか?』

「確か…、自己修復と…手元への呼び戻し?………あ!」


なるほど、装備せずにアイテムとして投げるなら適性レベルなんて関係無い。

そしてミスティルテインは勝手に自己修復して帰ってくる。

ミスティルテインがシーフを推していた理由がやっと理解できた。


『分かったな?……まぁ、俺の要件はそれだけだ』

「あ、待って待って!」

『…なんだ?』

「ミスティルテインが殺そうとしてる神って…何なの?」

『…』

「また黙り?」

『おまえは、この世界の神は誰だと思う?』

「設定ではオーディンだよね?」

『そうだ、それで相違無い』

「なんで…殺すの?」

『…』


ミスティルテインは黙ってしまったが少しの間を開けて再び喋り始めた。


『この世界の、AIを管理してる神は誰だと思う?』

「運営でしょ?」

『…違う。複雑になりすぎたAIシステムはもう既にブラックボックスだ。運営はAIの管理を放棄し、別のシステムに委ねている』

「別のシステム?」

『二人の…神だ』

「その片方がオーディン?もう一人は?」


『いずれ、また話そう』

「…分かった」



AP=アクションポイント

アクションゲージは固定でMAX100です。

時間経過ですぐに回復しますが使いきるとバテてしまいしばらくの間行動不能となります。

…そうです、モン○ンのスタミナと同じです(笑)

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