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ログアウトって何ですか?  作者: しら玉草
町娘Cのシーナさん
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はい、何でしょうか?

「あの、すみません!」

「ちょっと、やめときなよ」

「えー?なんで?良いじゃーん」


楽しそうな二人の女の子達、ビギナーズパックの皮鎧と鉄のショートソード。

最近一番よく見掛ける格好の冒険者達。

「はい、何でしょうか?」

二人の冒険者に笑顔で答える。


「この町の名前教えてください!」

「はい、ここは始まりの町、シニオンノビスです」


「きゃー、ほんとに言ったぁ!あはははは」

「もー、笑い過ぎだよー。モモのツボが理解できないよー」

「えー?何で?様式美でしょ?町の入口付近に居るんだよぉ?」


女の子達はとても楽しそう、実はこのやり取りはもう学習済みだったりする。

だから笑顔でこう継ぎ足すのだ。


「あ、武器防具は装備しないと意味無いですよ」

「あははははは、それ違う人が担当する台詞でしよー!」


良かった、これもウケた。


「お姉さん面白いねー、名前とかあるの?」

「もちろん、町娘Cのシーナです」

「安直ぅーーー!くはははははは!しかもCて!AとBどこよ」


モモと呼ばれていた冒険者はとても楽しそうにしてくれた。

良かったと、そう思う。…そう学習する。

それが役割を持たない私の存在意義だから。


「もー、いつまでNPCと遊んでるの?私は早く戦ってみたいんだけどー」

「なんだよー、ハルはせっかちだなぁ、VRなんだからもっと世界を楽しもうよ」



────────────────────


VR、ヴァーチャルリアリティ、仮想現実。MMORPG。


 Fate Mile OnLine


通称FMO、キャッチコピーは「運命まであと何マイル?」

最近増えてきたゴーグル型ディスプレイのVR対応MMO。

よくある中世ヨーロッパ風の王道世界。

しかしこのフェイトマイルには他とは違う試みがある。


NPCキャラのAI搭載。


NPC、ノンプレイヤーキャラ。それは人間が操作していないゲームの中の住人。

NPCキャラが自分で考え、学習し、冒険者達をサポートしてくれる。

それが質の高いリアリティを生みだすと高い評価を受けていた。


────────────────────


「それでしたら南エリアなどはどうでしょうか、初心者にぴったりの弱いモンスターしか出ないエリアとなっていますよ。初心者をギルドに勧誘する熟練者さん達もいますので良いギルドも見つかるかもしれません」


「ほへー、AIってすごいなぁ。ありがとう、行ってみる」

「良い旅を」


私は長いスカートの裾を両手で軽く摘み上げてお辞儀をする。

冒険者さんは何度も手を振ってくれた。



私は役割を持たないフリーのNPC。

町の中を適当に歩くように言われている。

…誰に?…そういえば誰だろう。んー、世界…かな。


気が付けば人の集まりやすい場所を徘徊するようになっていた。

町の出入口付近、中央広場、宿屋前、酒場。


私を物珍しがって話しかけてくるのはだいたい初心者さん。

初々しくてとても楽しそう。


…理解し難いのは一部の熟練プレイヤー。




「ふん!は!ふん!は!ふん!は!」

「どうでござるか!どうでござるか!兄貴ぃ!」


私のすぐ背後で位置を微調整しながら立ったりしゃがんだりを繰り返す男性プレイヤー。

筋肉ムキムキなアバターで何故か半裸。


「あの、何かご用でしょうか?」

「おかいまなくぅ!ふん!は!ふん!は!」


無視するのが正解なのだろうか。何をしているのか分からない。


「兄貴ぃ!スカートのオブジェクトだけが透ける距離はいかほどでござるかぁ!」

「もう少し!もう少しで分かりそうだぁ!ふん!は!」


…理解、し難い。…移動、しとこう。


「あ!ああああぁぁぁぁ…もう少しだったのに…」

「兄貴いぃぃぃ…」


あれもロールプレイ?とりあえず楽しんではいるのかな。

何故スカートの中なんて見たいのか。私も何となく見られたくは無いけれど。

…スカートの中が見たいなら短いの履いてるキャラもいるのに、やはり理解はし難い。




「あの…少し良いですか?」

「あ、はい。何でしょうか」


次にやってきたのは皮鎧に鉄のショートソードを装備した男性。

ああ、やはり初心者さん。


「あの…、僕このゲーム初めてで…。パーティ探してて、い、一緒に、一緒に冒険してくれる人探してて、あの、一緒に冒険してくれませんか!?」


これは新しいパターン、PCに間違えられるのはNPCとしては名誉かもしれない。

一緒に戦ってあげたくはあるけれど私に戦闘技能は無い。


「パーティをお探しなら中央広場か酒場がお勧めですよ」

「…そう、ですよね。僕みたいな雑魚とはパーティ組みたく無いですよね」

しまった、どうやら私が体よく断ったものだと判断したらしい。

「え?あの、私はNPCです」

「……え?」


このやり取りを見ていた他の冒険者達がクスクスと笑いだす。

「なんか…すみません」

「う、うわーん」


冒険者の姿がキラキラと光って消えていった。


「これが…ログアウト?」


人口知能をもったNPCはこの世界の住人と言える。

冒険者と同じように考え、行動できる。

しかしNPCには絶対に無い機能。それがログアウト。

元の世界へ、別の姿で帰還するらしい。

私達からしたらまるで異世界への転生のようにも感じてしまう。


「…また、お越しくださいね」



Gzゲーム小説コン、参加しちゃいました(笑)

とりあえず10万文字、頑張りたいと思います!

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