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僕には君だけだった

 僕が本当に守りたかったものは、君の心のそこからの笑顔。


 僕が望んだのは、君の明るい未来と優しい世界。


 だけれども、現実に生きるものにそんなものは手に入れられないし、この世に存在すらありはしないと思っている。


 それでも、願った。


 必死に探し求めた。


 ただひとりのために、その願いを叶えられる力が欲しかったのだ。


 たとえその願いが浅はかだと笑われようとも、世間に間違っていると言われようとも僕は構わなかった。


 君が安らいで生きることの出来る世界を、君に与えてあげたかった。


 僕の世界は君中心で、君だけが全てだったのに、一体いつ僕はそれを忘れて大切な人を見失ってしまっていたのだろう。


 今更後悔をしても、時間は戻らない。


 この声は届かない。


 その声が聞こえない。


 いくら懸命に腕を伸ばしても、決して届くことはない。


 だって、君はもう過ぎた時間と同じで二度とこの腕には戻っては来ない存在。


 喪う瞬間にどうして人は目を覚まして、気づく?


 知らぬうちに大切な人を傷つけて、泣かせて、遠ざけて…終わりはいつも唐突にやってくる。


 本当に護りたかったものを一度喪うことで、どうして気づくことがあるのだろう。


 残してくれた想いは、壊れかけた僕を甘く包み込む。


 そっと、優しく暖かかった日々を思い出させる。


 僕の意思に反して溢れ出した涙は、何も言わない僕の代わりに何を語っているのだろう。


 僕はただ君の傍に居たかったんだ。


 君の笑顔を一番近くでずっと見ていたかったんだ。


 ああ、もう嫌だなぁ…。


 僕は弱い。


 その心はとても脆かった。


 否、君と出会ってから脆くなってしまった。


 君が居なくなった世界はとても広くて、だけど手が伸ばせる範囲は狭くて、虚しくて、とてもとても淋しい。


 汚れた両手は空っぽで、冷たくて…君の両手が僕の両手を暖めていてくれたんだと知った。


 だから、僕は自分を嘲笑う。


 生意気に独りで立っているつもりでいて、その実君に支えられていたことに気づけなかった。


 本当に馬鹿だなぁ…。


 生きているのに、死んでいるような不思議な世界の感覚。


 この手が届く範囲の人くらいは、守れると思っていた。


 せめて特別な人だけは守りたかった。


 だけれども、過信した力は実際何の役にも立たなくて。


 悔しささえ感じられず、かけがえのない人を喪った喪失感しか感じられない。


 君が居なくなったことで、僕の世界は音を立てて崩れだす。


 なんて悲しくて、苦しくて、空っぽな世界なのだろう。


 僕は愚かな人間だ。


 僕はただ君が望む優しい世界を、作ってあげたかっただけなのに。


 護りたかったその全てを、儚い存在を鮮明に変えたかった。


 君の最後の想いは絶対に守ると、消え逝く君と約束した。


 その言葉が膝を地につけてしまった僕をこの世界にきつく縛り付ける。


 僕の想いは結局最後まで君に伝えられなかったけれど、ねぇ…君は本当は気づいていたんじゃないかな?


 この想いはもう永遠だ。


 もう二度と胸に響くことはないけれど、心の奥にしまっておこう。


 大切な思い出として、僕を癒してくれた優しい想いとして誰に告げることもなかったけれど、心の引き出しにでもしまっておこう。


 君との約束は、真っ暗になった僕の道に光を与えてくれた。


 それは、弱い僕を生きるよう促す言葉だ。


 これでもう、迷わずに歩いていけるよ。


 君は僕の一部として、一緒に笑ってくれるだろうか。


 『私を忘れないで…。ずっと傍にいさせて。どうか私がいなくなっても笑っていて』


 その約束に支えられ、僕は今日も暖かい太陽の下で生きています。


 ありがとう。


 僕の愛した優しい人。


 君は今も僕の傍で笑っていてくれると思ってもいいかな?


 また、いつか君の望んだ優しい世界で君と出会えますように。


 だから、それまではお休み。

 『僕』は軍隊か何か特殊な環境にあって、人の命を奪うのが常で、それは『僕』の絶対の任務です。 


 少し感情が欠落していました(喜怒哀楽のうち、怒は特に)。


 『君』はそれに巻き込まれて、敵に殺されたという感じですかね?

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