運命
私は、只ひたすら走った。彼の下にたどり着くために。彼と二度と会えなくなる前に。
その日、私は久々の休日で友人の繭とランチの約束をしていた。
女同士のランチだ。ある意味、男の人と食事にいくより気合いを入れて準備をする時間がいる。
この間、買ったレースのカットソーにきれい目のパンツ、同色のサンダルをあわせて髪を巻くと、カバンを手に家をでた。
私は、待ち合わせの時刻より早めに着いた。
しばらく経つと繭が来た。
相変わらず、笑顔が可愛い。グレーのロングワンピースに白いシャツ、スニーカーがよく似合う。
風がふき、彼女の肩までのふわふわカールが揺れた。
私は、背筋がぶるっと震えた。
もしかすると、今後の予感もかねていたのかもしれない。
私は、繭に手を振り声をかけた。
二人で最近、出来たイタリアンでランチをすませ、そのままお茶に突入した。繭は、パンケーキを頼み私は、スムージーを頼んだ。
約6時間話した。
繭は、既婚者なので帰る時間だった。
「またね。」
そう挨拶を交わし、踵を返したその時携帯がなった。
発信者は、浅賀慶助。
この名前、知っている。だけど、実際にかかってくる確率は高くはない男の名前だった。
なぜなら、私の婚約者の友人で用があれば、ほとんど婚約者の彼を通してだった。
疑問に思いながらも電話にでたわたしは、全速力で走ることとなった。
「もしもし、アサさん?どうしたの?アサさんが電話めずらしくない?」
返って来た声は低かった。
「瀬尾、落ち着いてきけ!総吾が事故にあった。」
頭が、真っ白になった。
とりあえず、病院の場所を聞き、タクシーを拾った。
悪い未来が頭をよぎっては、きっと大丈夫と言い聞かせた。
「今から、手術室だから。意識があるかどうかは、わからない。命に別状がないとは言えない。」
そうアサさんは、声を詰まらせ言っていた。
タクシーを降り、走る。
神様、私から彼を取り上げないで。
どうか幸せを奪わないで。
私は、必死に祈りそして、走った。
病院につき、看護師を捕まえた私は
「すみません。先ほど運ばれた村雨総吾は!」
必死の形相の私に目のクリクリした看護師さんは
「村雨さんなら特別室に入られましたよ。」
と、私は、走った。
病院に、つきドアをあけると真っ白いベットに横たわる彼がいた。
私は、彼に近ずき顔を見て、泣きながらうずくまった。
「よかった。生きてるよ。」
嗚咽を漏らし泣く私を見ていた人がいた。