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ゴブリンをテイムしてみたがなぜかコイツ繁殖しか興味がないんだか?  作者: GenerativeWorks
第4章:最強のママ友と魔王軍の困惑

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第19話:お遊戯会の邪魔をする奴は、3歳児(チート)でも容赦しない

「――ふぇぇん、お外のおじちゃんたち、まだ寝んねちない(しない)のぉ?」


 要塞託児所『緑のゆりかご』の2階、お遊戯室。オークの血を引く長男(外見3歳、チャームポイントは小さな牙)が、俺が緑のフェルトで作ってやった『小人の帽子』を両手でいじりながら、不満そうにふくれっ面をしていた。


「お兄ちゃん、お外のおじちゃんたちは、次男の睡眠魔法ララバイをちょっとだけ抵抗レジストしてるんだよ。でも、もうすぐみんな、すーすー寝ちゃうから大丈夫だよ?」


 隣では、エルフの血を引く次男(同じく外見3歳、金髪の美少年)が、小さな世界樹の枝(おもちゃの杖)を振りながら、おしゃまに胸を張っていた。防壁の外では、先ほど次男が放った国家戦略級の睡眠結界魔法により、エルフの精霊聖騎士団、魔王軍の粛正部隊、そして人類の国境守備隊の計5千の軍勢が、地響きを立ててばったばったと寝かせられている真っ最中だった。


 だが、さすがは各勢力の精鋭たち。一部の高位魔術師や、強靭な精神力を持つ聖騎士長、魔王軍の副官クラスの数名が、泡を吹き、白目を剥きながらも、ガタガタと震える足でなんとか踏みとどまり、呪文を唱えようとしていた。


「お、おのれ……3歳児の幼児が、無詠唱で神話級の結界術だと……!? どんな悍ましき、洗脳教育(英才教育)を施せば、このようなバケモノが育つというのだ……! レント……血統魔術師レント、やはり貴様は人類の敵だ……!」


 エルフの聖騎士長が、膝を震わせながら防壁の上を見上げて絶叫する。その言葉を、お遊戯室の窓から聞いた長男と次男は、同時に小さな眉をひそめた。


「……あのおじちゃん、パパの悪口言った」


「うん。パパは邪悪じゃないよ。毎日、美味しいトマトリゾット作ってくれる、世界一優しいお父様なのにね」


 子供たちの瞳の奥で、ゴブ次のチート遺伝子と、世界最高峰の母親たち(オーク女王と聖女)から受け継いだ超常の魔力が、パチパチと不穏な音を立てて同期リンクを始めた。子供たちにとって、自分たちを世間の偏見から守り、毎日エプロン姿で愛情を注いでくれるレント(大父)は、神をも超える絶対的な聖域なのである。それを「邪悪」呼ばわりするなど、彼らの純粋な逆鱗に触れる行為に他ならなかった。


「お兄ちゃん、パパはお部屋でおやつ(魔力プリン)の準備をしてるから、今のうちに、あのお外のうるさいおじちゃんたちを、めっ、しちゃおう?」


「うん! お遊戯会のダンスの邪魔、絶対に許さないんだから!」


 長男は、俺が木を削って作ってやった『おもちゃの剣』を握り直すと、2階の窓から庭へと軽やかに飛び降りた。トォッ、という可愛い着地音と共に、地面の石畳がクレーター状に粉砕される。怪力無双のオークゴブリンである。


「な、何だ、あのガキは……っ!? 突撃してきたぞ!」


 生き残っていた魔王軍の副官(大悪魔)が、大鎌を構えて身構えた。


「はぁぁぁぁぁっっっ!!!」


長男が小さな体を目一杯にひねり、おもちゃの剣を横一文字に振るった。


ドバァァァァァンッッッ!!!!!


 ただの木の棒から放たれたのは、空間そのものを圧縮して叩きつけるような、凄まじい『覇気オーク・プレッシャー』の衝撃波だった。防壁の外の平原を烈風が吹き荒れ、生き残っていた魔王軍の重装歩兵数十名が、鎧ごと一瞬で遥か彼方の地平線へと文字通り「消し飛んで」いった。


「ひ、ひぃぃぃぃっ!? 木の枝を振っただけで、我が軍の精鋭悪魔が肉団子のように吹き飛んだぞ!?」


「次は僕の番だよ」


 次男が庭の防壁の上にふわりと舞い降り、小さな世界樹の杖を上空へ掲げた。彼の背後には、エルフの精霊王たちが「聖女様の御子、可愛いよぉ」と、ヨシヨシするような幻影となって無数に群がっている。精霊たちからも狂信的に愛されているのだ。


「精霊さん、お外のおじちゃんたちの武器を、全部『おいしいバナナ』に変えちゃって?」


 次男がパチン、と指を鳴らした瞬間。生き残っていたエルフの聖騎士たちや人類の守備隊が持っていた、国家宝物級の魔導剣、神聖なる弓矢、大斧のすべてが、一瞬にして光に包まれ――完熟した「黄色いバナナ」へと物質変換された。


「な……何だとぉぉぉぉッ!? 我が家系の家宝たる聖剣が……皮の剥きやすいバナナに……!? 物質の根源を書き換える、神の錬金術だと!? 3歳児が平然と使う魔法か、これがァァァッ!!」


聖騎士長がバナナを握りしめながら、絶望に顔を歪めて叫ぶ。


「お兄ちゃん、トドメだよ!」


「おーっ!」


 長男と次男は手をつなぎ、息を合わせて大きく息を吸い込んだ。彼らが放ったのは、レントの作った『お遊戯会の歌(どんぐりころころの替え歌)』をベースにした、精神破壊(超脱力)のデュエットだった。


『♪おじちゃんたち〜、バナナを食べて〜、ねんねしてね〜♪』


ズドォォォォォォォンッッッ!!!!!


 子供たちの可愛い歌声が、ゴブ次のスキル波動と混ざり合い、半径数キロメートルのすべての「戦意」と「魔力」を完全に吸い尽くす、究極の脱力結界へと昇華された。残っていたすべての将校、聖騎士長、大悪魔たちが、「……あ、バナナおいしい……パパ、おやすみなさい……」と、涙を流しながらバナナを口にくわえたまま、その場にバタバタと頽れ、完全に爆睡・戦闘不能となった。


5千の大軍勢、文字通りの【完全消滅(強制お昼寝)】である。


「ふぅ、これで静かになったね、お兄ちゃん」


「うん! ダンスの練習の続き、やろう!」


 二人のチート幼児が、笑顔でハイタッチをして2階へ戻っていく。その直後、キッチンから「おーい、みんなー! 魔力プリンが冷えたぞー!」と、エプロン姿の俺が何も知らずに顔を出した。窓の外を見渡した俺は、平原に転がる5千人の兵士たちと、彼らが一様にバナナを握りしめてスースーと寝ている異常な光景を見て、持っていたおたまを床に落とした。


「……いや、何が起きたら大軍勢がバナナ持って寝るんだよぉぉぉぉぉッッッ!!!」


俺の悲鳴が、世界の勢力図を完全に書き換えた、世界で最も平和な要塞託児所に空しく響き渡るのだった。

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