四人部屋
優秀クラスの授業が終わり、そのまま私たちは荷物をまとめて寮へ向かった。
寮は学園の中でも優秀クラス専用の建物で、外観は白い石造り。
それなのに中に入ると、ふわっと木の匂いがして落ち着いた雰囲気だった。
案内板には、
「301号室:リン・ボイド・セザール / レオナルド・オベール / エミリー・ツイーター / ノナ・ヴァリント」
とすでに書かれていて、私は思わず立ち止まる。
「……ほんとに四人部屋なんだ。」
「そうだよ、私たち同じ部屋。」
エミリーさんがにこっと笑いながら言う。
っと、そんな話をしていたらリンとレオが来た。 ちなみに鍵をもらいに行っていたので凛の手には4地の鍵がある。
リン殿下が鍵を開け、ガチャっと扉を押す。
部屋は思った以上に広かった。
四つ並んだベッド、勉強用の机、窓際には丸いテーブルとふかふかの椅子。生活感があり、どこか温かい。
「ここが僕たちの部屋だよ!」
レオさんが腕を広げて言う。声が明るくて、本当に嬉しそう。
「ねぇノナちゃん、ベッドはどこが良い?」
エミリーが優しく尋ねてくる。
「え、えっと、その……す、好きなところで大丈夫です……」
人の視線が怖くて一瞬たじろぐ。でも、エミリーの笑顔は不思議と怖くない。
「じゃあここなんてどう?」
窓側のベッドをぽん、と叩いてくれる。
「……はい。」
私はそこに荷物を置き、そっと腰を下ろした。
(あれ……?なんか……落ち着く?)
するとリン殿下が椅子を引き寄せ、私の前に座ってきた。
「で、ノナ。聞きたいことがあるんだけど。」
(ひぃっ)
「さっきの自己紹介の時、すごく震えてたでしょ? なんで?」
いきなり核心を突かれて、息が止まりそうになる。
私は言った、そしてしまったと思った。
「……ひ、人が……こ、怖い……から……」
部屋が一瞬静かになった。
空気が揺れるように、3人の視線が私に集まる。
(あぁ……まただ……引かれる……)
そう思った瞬間――
「そっか。」リン殿下が静かに頷いた。
「無理に話さなくていいよ。でも、言ってくれてありがとう。」
レオが床に座り込み、笑顔で言う。
「怖かったら、俺の後ろに隠れてもいいからね! ノナちゃんちっちゃいし!」
「そうだよ、隠れることは悪いことじゃない。」
リン殿下が言い、私がちょっと居た堪れなくて俯いていると、エミリーが私の手をそっと握って言った。
「大丈夫だよ、ノナちゃん。私たち、ぜったい無理に近づいたりしないから。ノナちゃんのペースで、ゆっくりでいいの。」
涙が出そうになった。
こんなふうに受け入れられるなんて思ってなかった。
「……ありが、とう……」
声が震える。
でもその震えは、怖くてじゃなくて――
嬉しくてだった。
エミリーがぱっと笑って言う。
「よし、じゃあ最初の夜だし、4人でお話ししよ? 好きな食べ物とか、趣味とか!」
レオが元気よく手を挙げる。
「俺はみんなでワイワイやるのが趣味!!」
「それ趣味なのか?」とリン殿下。
エミリーは笑いながら自分のベッドに座る。
「私はね、おしゃべりと勉強が好きだよ。あと……お菓子も!」
3人が自然に話し始め、部屋があったかくなっていく。
私は――みんなの話を聞くだけで精一杯だけど、その輪の中にいられることが、なんだかとても嬉しかった。
こうして私たち4人の寮生活は、静かに始まった。




