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ペンダント奪還に向けての、潜入作戦の開始…!

ライアと無事に逃げ切った俺は、その日の夜。シエスタとユキネ。そして、ミリアとソルベの4人と再び集まった。


「よし。じゃあ、作戦通りに動けよ。」


俺は、特に心配なシエスタに対して言う。


「任せなさいな!私が華麗にあんたが失敗した時の尻拭いをしてみせるわ!」


どこからその謎の自信が湧いて来るんだとツッコみたい。

というか、俺が失敗する前提で話を進めないで欲しい。

作戦を伝える前に、この女に一度きつめのお灸を据えてやろうかと考える。


「何だか、想像してたよりも人が多くない?」


ミリアがポツリとつぶやく。

建物の陰に隠れながら、周りを見渡すと、ガラの悪そうな連中に加えて兵士でもしてそうな精悍な顔つきの人達もいた。


「噂は立てておいたからな。話を聞いた王様達がコッソリと兵士とかを動かしているんじゃない?」


俺の見立て通りだ。

これなら、ユキネに暴れてもらう必要はなさそうだ。


「ユキネ。シエスタと一緒に、俺達が戻ってくるまでにすぐに逃げれるルートだけ確保しておいてくれよ。」


俺は、ユキネに言う。

ユキネは、静かに頷いていた。

潜入するのは、俺とミリア。そして、ソルベの3人だ。

シエスタとユキネは、潜入に向かないので何かあって逃げなければならなくなった時の待機組だ。

すでに、シエスタにバフはかけてもらっているのでユキネにはしっかりとシエスタの見張りも兼任してもらおう。

俺は、ミリアとソルベの方を見る。


「よし、じゃあ行くか。」


俺の言葉に、2人は同時に頷いた。-


-シエスタとユキネと別れた俺達は、再び隠れていた。


「この経路でいいんだよな?」


俺は、ミリアに確認する。

すでに、昼間にミリアが事前に最短経路を調べてくれていた。

しかし、オークションが始まる時間が近づいているのもあるからかどうにもガラの悪そうな連中の見張りが多い気がする。


「うん、ちゃんと調べたから大丈夫だよ。でも、ちょっと想定より人が多い気がする…。」


ミリアも俺と同じことを考えていたらしい。

この中をコッソリと歩いていくとして、無事に見つからずに行けるだろうか。

正直、絶対にどこかで見つかる気がして不安でしかない。

一応、俺を含めた3人は潜伏スキルを使っているが人が多ければ多いほど見つかる確率は上がってしまう。


「兄貴。1つ、俺に考えがあります。」


ソルベが、俺に向かって小声で言う。


「単騎で突っ込む、とかそういうのじゃないんだよな?」


一応、俺はソルベに確認をする。


「大丈夫ですよ。ダンカンさんからこういう時はどうすればいいかはちゃんと教えてもらってるんですよ。」


ソルベはそう言うと、隠れていた場所から静かに立ち上がった。

そして、静かに歩いていくと目の前で立っていた2人に飛び掛かった。

そして、そのまま建物の陰に引きずり込むと一瞬にしてボコボコにしてしまった。

声を上げる暇もなく、気絶してしまった2人がそこにはいた。


「よし、これで2人分の服は確保ッと。」


ソルベはそう言うと、早速1人の服を脱がせて着替え始めた。


「俺もこれに着替えればいい、ってこと?」


ソルベに尋ねる。すると、ソルベは俺に向かって頷いた。


「これで、会場内に入りましょう。どこに保管されているかが分からないなら、これが一番手っ取り早いですよ。」


ミリアが、今日の昼までに色々と調べてくれてはいたが結局オークションに出される品がどこに保管されているかまでは分からなかった。

確かに、現状だとこれが一番最適解な気がする。


「俺は着替えれるけど、ミリアの方はどうするんだ?」


ふと、気になって俺はソルベに尋ねる。

すると、ソルベがミリアの方を見た。


「ちょっと待っててください。この2人を隠すついでに、コイツの衣装も持ってきます。」


そう言うと、ソルベは丸裸にされた2人を抱えて走り去った。


「…ごめんなさい。でも、しょうがなかったんだよ。」


ミリアが、ソルベによって抱えられた2人に向かって小声で謝っていた。

ソルベの姿がいなくなったと思うと、すぐに戻って来た。

恐らく、5分も経っていないと思う。

ソルベの手には、先程の丸裸にされた2人に代わって綺麗なドレスとハイヒールが握られていた。


「おら、チビ助。お前の衣装。」


ソルベはそう言うと、持って来たドレスをミリアに投げ捨てた。


「チビ助って言わないで!…って、こんなのどこから持って来たの?」


「あの2人を隠すついでに見つけて来た。多分、オークションの時に使われるだろうからこれを着れば怪しまれずに中に入れるはずだ。」


ソルベが、ミリアに説明をする。

ミリアが一応、自分のサイズに合うかを軽く確かめていた。


「ねえ、これって今ここで着替えないといけないの?」


ミリアが、不安そうに俺達に尋ねる。


「そりゃそうじゃね?更衣室なんてないんだから。俺とソルベだって、ここで着替えてただろ?」


何を当然のことを言ってるんだ、とばかりに俺はミリアに言い返す。


「いや、君達はそれでいいかもしれないけど私って一応女の子だからね?」


ミリアが、恥ずかしそうに俺達に言う。

なるほど、どうやら俺達に見られながら着替えるのが嫌らしい。


「お構いなく。」


俺は、何も気にするなと言わんばかりにミリアに向かって早く着替えろとジェスチャーをする。


「何も良くないよ!とりあえず、君とソルベ君の2人は目を閉じるか後ろを向いてて!絶対にこっち見ないで!」


ミリアが、顔を真っ赤にして言い返す。


「別に俺も兄貴もお前のガキ臭い体に興味なんてないからさっさと着替えろよ。」


呆れたように言う、ソルベ。


「君はそうでも、ヒロト君から何やら不快な視線を受けてるから。早く着替えたいから、言う通りにして!というか、ガキ臭いってどういう意味?一応、これでもソルベ君ともヒロト君ともほとんど年齢は変わらないはずだよ!」


顔をさらに真っ赤にしたミリアが、睨みつけながら俺達に言う。

こちらとしては、これにかこつけてミリアの着替えシーンを合法的に拝んでやろうかと思ったが流石にそれをすると後で何を言われるか分かったモノじゃなさそうなので渋々諦めることにした。

俺とソルベは、やれやれといった様子で後ろを振り向いて目を閉じた。


「私がいいって言うまで、そのままでいてね。」


ミリアの声が聞こえる。

コッソリと後ろでも振り向こうものなら、即座に暴力を振るわれそうな気がする。


「…いいよ。着替え終わったから。」


ミリアの小さな声が聞こえる。

俺達はやっとかと思いながら、ミリアの方を振り向いた。

ミリアが恥ずかしそうにしながら、胸元を隠して立っていた。

意外と、それっぽく似合っていて意外だった。

こういう場にありがちな、割と露出の激しいドレスだったからミリアには似合わないのじゃないかと思っていたからだ。


「…意外とエロい体してるんだな、お前って。」


俺は、思わずミリアに向かって率直な感想を述べた。

すると、ミリアがハイヒールのつま先で俺の足を思いっ切り踏みつけた。


「いたっ!コイツ、何でいきなり踏んでくるんだよ!せっかく褒めてやったのに!」


俺は、痛みのあまり思わずシエスタに向かって怒鳴る。

すると、シエスタが不機嫌そうな顔をしていた。


「君って、ホントにデリカシーがないよね!こういう時は、可愛いねとか綺麗だねって言われた方が女の子は喜ぶんだよ!」


「エロい体も十分に褒め言葉だろうが…。」


俺は、痛みのあまり踏まれた足の部分を擦りながらミリアに言い返す。


「こんな服を着て、その感想を言われたら不快になるに決まってるじゃん!何だか、体を売ってる女の人みたいな言われ方にしか聞こえないし…。」


そう言うと、ミリアはプイッと俺から顔を背けて分かりやすく拗ね始めた。

面倒臭いな、コイツも…。

俺は、痛む足を擦りながらミリアに対してため息を吐く。


「兄貴、ちょっと声が大きいです。」


ソルベが、ポツリと俺に言う。

確かに、少し声が大きかった気がする。


「おい!こんな所で何をしている!」


俺達の言い合いに気づいたのか、ガラの悪そうな大男が声を掛けて来る。

俺は、ミリアを睨む。

コイツが変なことに突っかからなければ見つからなかったのに…。


「いや、すまねえ。ちょっと、着替えに戸惑っただけだ。」


ソルベが、慣れたように大男に近づくと軽い口調で話し始める。


「もう、オークションが始まるまで時間がないんだぞ。さっさと、持ち場に行ってくれ。そこの女も、さっさと裏で待機だ!」


大男は、ソルベに対してムッとしながら言う。


「いや、それがちょっと道が分からなくなってな。俺達3人とも、裏の仕事なんだけどそこに行けばいいか教えてくれないか?」


「…ったく。使えない、連中だ。どこの所属の奴等か分からねえが、裏方はこの通りを真っすぐに歩いて行けばすぐに着く。後は、そこにいる連中から指示でも聞いておけ。」


面倒臭そうに、舌打ちをしながら大男が指を差す。


「いや、悪い。助かったぜ。よし、お前ら行くぞ。」


そう言うと、ソルベは俺達に目配せをする。

俺はミリアと共にソルベの後を歩き始めた。


「ナイス!上手く潜り込めたな!」


俺は、小声でソルベに言う。


「こういうのは慣れてますからね。お手の物ですよ。」


ソルベが、笑顔でグーサイン出しながら俺に言う。


「ソルベ君ってこういう危ない事ばかりしてるの…?」


ミリアが、後ろを歩きながらソルベに心配そうに尋ねる。


「盗みを生業にしてたお前にだけは言われたくねえよ。というか、警察隊に所属してるんだからこの程度よくある話だ。俺に言うなら、ダンカンさん達にも同じこと言えよ。」


「別に、こんな危ない場所にまで盗みに行ったことなんてほとんどないもん…。というか、ダンカンさん達もそんな危ないことしてるの?」


「ナンチャッテ長官のくせに、余計なこと言わなくていいんだよ。別に、この程度よくあるって言ったんだから説教をして来るんじゃねえよ。」


ソルベが面倒くさそうに、ミリアに言い返す。

ミリアの方は、場所が場所だけに不満そうな顔を浮かべて黙っていた。

そんなことを話していると、先程の大男に言われた場所に到着した。

すでに、同じようなガラの悪そうな連中やミリアが来ているようなドレスを着ていた女性が何人もその場にいた。


「オラ!遅いぞ!早く、準備に参加しろ!」


俺達3人を見つけた内の1人が荒い言葉遣いで、命令をして来る。


「悪い、悪い。少し遅れちまった。俺達は何をすればいい?」


「あん?何も聞いてねえのかよ。男の内の1人は俺達と一緒にここで手伝い。そこの女ともう1人はあっちでオークションに出てくる品の整理だ!そこの男の方が力がありそうだから、俺達と一緒に手伝え!」


そう言うと、さっさと別れろとジェスチャーをする。

恐らく、ソルベのことを言っているのだろう。

ソルベが、俺の方を見て来た。


「兄貴。どうやら、俺をご指名みたいですからここに残りますわ。上手い事、やるんでその間にこのガキと一緒に例のモノがあるか調べてください。」


ソルベが小声で俺の耳元で話す。

俺は、その言葉に頷く。

そして、ミリアの方を見る。

ミリアの方も、分かったとばかりに無言で頷いていた。


「おい!いつまで、そこでサボってるんだ!さっさと、来やがれ!」


大声で、先程の男が俺達に向かって怒鳴って来る。

ソルベが、早く行けと言わんばかりに視線を送る。

俺は、ソルベに再び頷くとミリアと共にソルベと別れた。


「大丈夫なのかな…?」


ミリアが不安そうに、俺に尋ねる。


「大丈夫だろ。あいつは、腕は確かなんだから。何かあっても、1人でどうにか出来るはずだよ。それよりも、問題は俺達の方だ。シエスタから全てのバフはかけてもらったんだよな?」


俺は、自分のことより他人の心配をするミリアに対して逆に尋ねる。

ミリアが、コクリと頷いた。

とりあえず、シエスタのバフが効いている内は俺達の行動がバレても何とか逃げれるはずだ。

ソルベも気づけば、すぐにこちらに合流してくれるはずだからそこも特に心配はしていない。

俺とミリアが、さらに奥に行くとそこには大量の品が置かれていた。

そして、それらを数人の男女が順番に並べていた。


「何をしているんだ!早く、手伝ってくれ!もう時間がないんだ!」


先程までの男達よりかはまだ、優しめの言葉で俺達に指示を出してきた。

俺とミリアは、行動を共にする為に同じ場所に向かう。

そして、並べられていた商品を取り出し始める。


「…ここにあるのかな?」


ミリアが小声で尋ねる。


「そんなこと、俺が分かるわけがないだろ。とりあえずは、言われた通りに動くぞ。」


俺はミリアにそう言うと、手を動かし始める。

すると、並べられていた品の中で一際輝いている1つの宝石が目に入った。

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