5.少年との出会い(改)
突然のエンカウント。正直びっくりした。
私は声の主の顔を見るべく、うしろを振り返った。
そこにいたのは、10歳くらいの男の子だった。
綺麗な銀髪に、くりっとした目。
……正直に言おう。
めっちゃ可愛い。
いいんですか?こんなにかわいい男の子がいて!
だってショタだよ?ショタ!
ショタで可愛いとかチートだろ!どうなってるんだ!!
はやる気持ちを必死に抑えて、平静を装いながら質問に答える。
「え、えっと……どうしたの?」
「ん~と、さっきこっちの方で人の叫び声が聞こえてきたんだけど……どこから聞こえてきたかわかるかなって」
叫び声?
そんなの聞こえなかったけど……
……ってもしかしてさっきの私じゃね?
やっべぇ……そんなに大きな声だったのか……
「あ~……たぶんそれ私だと思う……」
「そうなの?!何かあったの?!」
そう言いながら純粋なまなざしでこちらを見てくる男の子。
……言えない。
間違えて服脱いじゃって恥ずかしさのあまり叫んじゃったとか口が裂けても言えない。
私がこの子の心を汚してしまうのだけはぜっっっったいにダメ!
……そうだ!さっきのスライム!!
「実は……さっき急にスライムが襲ってきて……突然の出来事だったから驚いて大声上げちゃったんだよね……」
「スライムに襲われたの?そのスライムはどこ行ったの?」
「何とか倒したよ。さすがにスライム相手にやられるわけにはいかないからね……戦ったことなかったからギリギリだったけど……」
嘘は言ってない。
……でもなんだろうこの罪悪感……
なんか騙してるみたいですごい申し訳ないっていうか……
「そうなんだ……」
少し考えこむ男の子。
「スライムと戦ったこともないのに、なんでこんな草原のど真ん中にいたの?」
グサッ……
純粋なショタからの正論パンチ!
やめて!私の精神力はもう0よ!
「あ、あはは……」
笑うしかできないよね、もう。
だって正論なんだもん!
反論できないんだもん!!
「……もしかしてお姉さん、貴族の人?」
……はい?
いやいや、貴族超えて平民どころかこの世界の人間じゃないんですけど。
……いや待てよ、これはもしかしてチャンスなのでは?
嘘をつくのは心苦しいが……許せショタよ!
「え~っと……貴族”だった”って言うべきかな……」
「だった……?何かあったの?」
「いやそれがね……実は家から追い出されちゃって。当てもないから彷徨ってたらスライムに襲われて……」
「そうだったんだ……」
そう言って俯く男の子。
ショタよ、そう嘆くでない。
今言ったことは純度100%の嘘であるぞ。
嘘つきの私を許しておくれ……
「……まぁ私としては追い出してくれてありがとうって感じなんだけどね!嫌味を言われ続けるのはもう嫌なのよ!」
嘘で嘘を塗り固めていく私。
本当は全て打ち明けたいところではあるけど、情報が少ない以上、私がこの世界の人間じゃないってことはなるべく隠しておいた方がいいと思うの。
時が来たら打ち明けなきゃね……
「え、えっと……もしかして敬語使った方がいい……ですか?」
きょどきょどしながらそう言う男の子。
……やっちまったぁ……
めっちゃビビってるじゃん!なんで貴族って嘘ついたんだよ私!!
貴族なんてまともな奴の方が少ないやべー集団じゃないか!なんでよりにもよって!!
「い、いいのいいの!敬語とか苦手だからさ!さっきみたいに話してくれた方がありがたいんだよね!」
必死に取り繕う私。
「そ、そう……なの?……ならよかったぁ……貴族様って怖い人が多いからてっきり……」
DE・SU・YO・NE!
ごめんよ怖がらせて!!
怖がらせるつもりはなかったんだ!!
嘘はほどほどにしようと誓った。
最近体調崩し気味で、更新遅くなりそうです。
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12/25 加筆修正