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私たちの監督は14歳で、かなりヤバいっ!!  作者: フムフム竜
小学生編
50/61

第50話 卑劣な野球対決

1塁側のベンチから現れた2人の外国人は高笑いしながらアスラたちのところにやってきた。


2人共190㎝近くある大柄で、近くで見るとその威圧感がさらに際立つ。


マリー「ふっふっふ、この2人が一体誰なのかは知ってるでしょう?」


アスラ「知らん」


風谷「一体誰なんだ?」


モニカ「ワォッ!!これは意外デ~ス」


マリー「アンタたち本当に野球やってんの?」


森「人を知らなくても野球はできるで」


三崎「あの2人はメジャーリーグでも最強と言われている投手の『ガリッチ・ケール』と外野手の『ヘイター・ナカ』よ」


マリー「そうよ。彼らは昨シーズンのMVPにも選ばれた現役最強の2人よ」


ケール・ナカ「ハ~イ、今日はお手柔らかにお願いしマ~ス」


モニカ「この2人を相手に勝てる可能性は0デ~ス。今の内にギブアップを勧めマ~ス」


アスラ「ギブアップ?」


風谷「降参するって意味」


アスラ「このオレに降参しろとはな。そんなことを言うヤツは向こうの世界でもいなかったぞ」


マリー「向こうの世界?」


モニカ「ワォッ!!ファンタジー」


マリー「あはははは、とんだクレイジーがいたものね。向こうの世界ですって?アンタ、アニメの見過ぎじゃないの?笑いが止まらないわ」


アスラ「笑ってないでさっさと始めるぞ」


マリー「ふんっ、いい度胸ね。お望み通りさっさと始めるわよ」


マリーが指をパチンと鳴らすとベンチからゾロゾロと外国人選手が出て来て守備位置につく。


マリー「まずはケールが投げる球をアンタが打つのよ。3球投げて1球でもヒットを打てればアンタの勝ちよ」


アスラ「わかった」


マリー「(ふふふ、ピッチャーのケールもそうだけど守備陣も超一流が揃っているわ。どう転んでもヒットになることなんて有り得な・・・)」


その時、カーンという音がスタジアム内に響いた。


マリー「え?」


ケール「ノォォォォ!!そ、そんなミーの・・・ミーのフォーシームが!!」


※フォーシームとは、直球ストレートのことである。


打球はセンター上段に突き刺さる大ホームランだった。


あまりに衝撃的な出来事に全員が口をあんぐりと開けていた。


外人A「そ、そんな・・・」


外人B「こんなこと有り得まセ~ン・・・」


マリー「は、は、はぁぁぁぁぁ!?な、なに!?一体何が起きたのよ!!」


モニカ「あ、あ、あ、アンビリーバボー!!」


アスラ「見てわからないか?ホームランというやつだ。次は投げる方の勝負だな。ほら、早く打席に立て」


ルールの説明も聞かずに打者のナカに対してバッターボックスに入るようにアスラは指示する。


対するバッターのナカは、信じられないといった表情のまま打席に立った。


ナカ「こ、こ、これは夢デ~ス・・・悪い夢に決まっていマ~ス」


アスラ「それじゃ、行くぞ」


アスラがヒョイと軽くボールを投げるとボールはものすごい速度で飛んでくる。


ナカ「(こ、これはかなり速いデ~ス。ですが決して当てられない速度ではありまセ~ン)」


ナカの振ったバットはアスラの速球を捉える。


ナカ「手応えあり!!このままスタンドインデ~ス!!」


しかし、バットはバキッバキッと音を立て、へし折られる。


さらにへし折られたのはバットだけではなかった。


ナカ「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」


ナカは手を押さえながらその場にゴロゴロと転がり回った。


外人たちが心配になってナカに駆け寄ると、悲鳴をあげる者や目を手で塞ぐ仕草をする者。


慌てて救急車を呼ぶ者とそれぞれだ。


その只ならぬ状況からマリーとモニカは察し、ナカには近寄らなかった。


なんとナカの手首があらぬ方向へ曲がっており、手首の骨が折れ皮膚から飛び出していたのだ。


その場にいる全員がアスラの方を向き、青ざめた顔でジッと見る。


中にはバケモノと叫んで逃げ出す者もいた。


マリー「ほ、本当に何なのよ・・・何なのよあのバケモノは・・・」


モニカ「わ、私たち、とんでもないモンスターを敵にしてしまったようデス」


当のアスラは、ナカのことなど全く気にも留めず、ボールを(もてあそ)びながら言った。


アスラ「どうだ?まだ続けるか?コイツの代わりに別の人間を用意してもいいぞ?」


マリー「くっ!!・・・と、とりあえずこの勝負は私たちの負けでいいわ」


風谷「よっしゃ~、まずは1勝だ!!」


森「次の勝負でウチらの勝ちやで!!」


マリー「ふ、ふふふ。そうやって喜ぶのはまだ早いわよ。喜ぶのは次の勝負に勝ってからにしなさい」


真野「そうですね。まだ勝負は終わってないです」


アスラ「オレがいる時点で勝負は終わったようなものだがな」


マリー「最後は野球の試合で勝負よ」


中山「野球の試合か・・・」


マリー「互いに10人対10人で試合をやってもらうわ。ただし、洩矢アスラ。アンタの出場は認めないわ」


森「な、なんやて!?」


アスラ「いいだろう。それで終わりか?」


マリー「まだあるわ。アンタたちの方は12歳以上の出場は認めないわ」


風谷「ちょっと待てよ!!だったら、そっちも当然12歳以上の選手は出て来ないよな?こっちだって12歳以下でやるんだからよ」


マリー「何言ってんのよ?こっちは、年齢制限なんて存在しないわ」


森「そんなアホなことがあるかいな!!そんなことしたらそっちは絶対に現役メジャーリーガーを揃えてくるやろ!!」


中山「そんなの絶対勝てっこないよ!!」


マリー「だって『アタシの提案する勝負に勝てれば』ってルールだったでしょ?つまりこの勝負はアタシがルールなのよ。わかる?」


アスラ「それに関しては別にいい。だが勝負が始まってからの急なルール変更は認めないぞ。それはいいな」


マリー「ええ。もちろんよ」


アスラ「だったらこっちもその勝負にルールを付け加えさせてもらう」


マリー「なによ?言っとくけどアンタみたいな規格外のバケモノを連れて来るのはダメよ」


アスラ「そんなことはわかっている。オレが付け加えるのは戦う人数のことだ」


マリー「人数?」


アスラ「こっちは『6人』でやる。選手の交代も一切行わない」


全員「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


マリー「へ、へぇ・・・いいわ。認めてあげる」


アスラ「ただし、逆にお前らは10人で必ずやらなければならない。選手を交代できるのは2人までだ」


マリー「つまり指名打者は消せないってわけね。別にそれぐらい構わないわよ」


※指名打者とは攻撃時に投手に代わって打席に立つ、攻撃専門の選手のことをいう。DHと表記される場合が多い。


アスラ「後は普通通りのルールでいい。それとスタジアムの塁間距離と外野の距離、それからマウンドの距離を含めたスタジアム全体を小学生の基準に合わせてもらう。それと戦うのは7回までだ」


マリー「それはオーケーよ。でもそれはかえってアンタ達が不利になることになるわよ?」


アスラ「オレの提案は以上だ」


マリー「それじゃあ、始めましょうか。でもその前にこっちは選手を選別しなくちゃならないからもう少し待ってちょうだい」


アスラ「いいだろう。オレも試合をする前にやらなければならないことがある」


マリー「それじゃあ、勝負は今から30分後ってことでどう?」


アスラ「ああ」


アスラがスタジアムから出ようとすると5人はアスラの前に立ち塞がり、猛抗議をした。


風谷「おい、どうすんだよ!!なんでわざわざこっちに不利な条件を付け加えたんだよ!!」


森「ただでさえ向こうは現役のメジャーリーガーを揃えて来るんやで!!しかもアスラ兄ちゃんだって出られへん。どう考えてもこっちに勝ち目なんかないやんか!!」


アスラ「戦力差のことなら心配いらん。それにオレはお前ら以外は信用してない。その辺のヤツらを呼んで人数合わせをするぐらいなら信用しているお前らだけでやった方がマシだ」


その言葉を受けて5人は、顔を少し赤くして恥ずかしそうになる。


風谷「う、う~ん・・・そ、そう言われるとなぁ・・・」


森「そんなん言われたら・・・こっちも何も言われへんやん」


真野「それより6人って言ってましたけど、あと1人ってやっぱり・・・」


アスラ「ああ。お前の想像通りのヤツだ」


アスラの言葉と同時にベンチから黒崎がヌッと顔を出した。


全員「く、黒崎イリーナ!!」


黒崎は気まずそうに5人のもとに来る。


黒崎「こ、この前は失礼なこと言って悪かったわ。野球は男子がやるスポーツとか認知度が低いとか言ってバカにしたりして・・・」


そう言って黒崎は頭を下げた。


すると三崎が黒崎に歩み寄った。


三崎「あなたの言ったことは、失礼だったけど多分そう思ってる人もいると思う。私のお母さんもそうだったから・・・でも私たちが最強の野球選手になってそういった偏見を変えてみせる。あなたもそれに協力して」


黒崎「ええ。初めからそのつもりよ。みんなへのお詫びはこの勝負の結果で示してみせるわ」


風谷「そうは言うけど、腰の方は大丈夫なのかよ。まだ完治してないんだろ?」


黒崎「まだ痛むけど、まるっきり野球ができないってわけじゃないわ。その辺の人数合わせよりは絶対に役に立つはずよ」


真野「それじゃあ、一緒に頑張ろう!!黒崎・・・さん?」


黒崎「イリーナでいいわ」


アスラ「それじゃあ、お前らは試合に向けて身体でも動かしていろ。オレは行くところがある」


中山「行くところ?」


アスラ「ちょっとある物を取って来る。それと『神』にも会わないといけないしな」


全員「か、神さまぁぁぁぁっ!?」


モニカ「あの人、神様に会うって言ってマ~ス」


マリー「ここまで来ると呆れて何も言えないわね。どうせ、どっかの神社にでも行って神様と対話でもするんじゃないの?」


アスラは、マリーの言葉を無視してスタジアムを後にした。



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