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私たちの監督は14歳で、かなりヤバいっ!!  作者: フムフム竜
小学生編
48/61

第48話 ニューオールズコーポレーション

【アメリカのヒューストン】


ここでは現在、愛比売(えひめ)山の土地を買収しようと動いている会社があった。


その会社の名は『ニューオールズコーポレーション』通称NOC。


NOCは、ここ数年で一気に業績を上げている宇宙産業を主流としている企業でアメリカの宇宙産業界での年間売上高が3年連続でトップである。


このNOCの社長である『ジェイコブ・ベルウィック』と株の7割以上を所有している主要株主の『アーロン・メイブリー』の2人は、世界進出に向けての最初の拠点として日本に目を付けていた。


日本を選んだ理由は宇宙産業の開発に日本の技術力がもっとも重要であるということが理由だ。


その中でも彼らは愛媛県に自社の支店を数店作っていた。


それは比較的自然豊かな愛媛県に自社の宇宙開発研究施設を構えようとする考えがあったからだ。


だが、そんなものは表向きの理由。


本当の理由は同じ宇宙産業の中国企業『大凛(だいりん)(りょう)』が、この愛媛県に目を付けていたことが理由だ。


そして比較的に謎が多いとされている愛比売山にも個人的に大きな関心を持っていたことも理由のひとつだ。


2人は今後の愛比売山の件について話し合っていた。


ジェイコブ「アーロンさん。愛比売山の件はまだですが、大凛梁よりも早く支店を設けることができました。比較的主要な箇所に設けることができましたのでかなり有利になるかと」


アーロン「それは結構だが安心するのはまだ早い。私たちは一刻も早くあの愛比売山を買収しなければならないんだ。ヤツらの・・・いや『ヤツ』の目的も当然、あの愛比売山だろうからな」


ジェイコブ「しかし、あの山は地元の噂だと有名な自殺スポットと聞いてますが」


アーロン「いや、あの山にはもう一つの逸話がある。あの山から生きて帰ったヤツはその山の恩恵を受け、まるで別人のように優秀な生命体として生まれ変わるという話だ」


ジェイコブ「そんな都市伝説みたいな話を信じているのですか?」


アーロン「まぁな。私は、これでも宇宙生命体を研究していた科学者の1人だ。これは私の推測だが、あの山には我々の知らない未知の何かがあると考えているんだ。もしあの山に地球外のエネルギーがあるとすれば宇宙産業に革命をもたらすことになるぞ」


ジェイコブ「しかし、証拠も何もなしの逸話や大凛梁が狙っているというだけで愛媛に支店を複数作ることもないと思いますが・・・」


アーロン「金のことなら心配いらない。損失分は私が支払おう。それに研究施設の建設のために森林が高めの地であればどこでも構わないと言っていたのはお前だ。その点、愛媛は申し分ない」


ジェイコブ「それはそうですが・・・」


アーロン「それより愛比売山はいつ買収できるんだ?時間はもうない。モタモタしていると間に合わなくなるぞ」


ジェイコブ「わかっています。ですが、愛比売山の持ち主である住職が大金をいくら積んでも手放さないそうで・・・」


アーロン「仕方がない。少々荒っぽいが手段は選んでられんな」


ジェイコブ「それとは別件ですが、娘さんを愛媛の学校に通わせるっていうのは本当なんですか?しかも私の娘まで」


アーロン「ああ。もうすでに日本へ行かせてある。アイツらには将来、私たちの後を継いでもらわなきゃならんからな。今後の重要な取引相手になるであろう日本の環境に早めに慣れさせておくのも悪くない」


NOCの魔の手が忍び寄ってる中、いつものように河川敷で待つ5人。


しかし、今日の特訓は河川敷でやることになっていた。


中山「今日の特訓は山登りじゃないんだってさ」


風谷「変な特訓じゃなきゃいいけどな」


森「新体操みたいなことやらされるんは、ホンマに勘弁やで」


真野「あっ、来ましたよ」


三崎「何・・・あれ」


アスラは、巨大な風呂敷を抱えてやってきた。


森「な、な、なんやその風呂敷は!?」


風谷「メチャクチャ嫌な予感しかしないぞ!!」


アスラ「お前らにはこれをやる」


アスラは、風呂敷からグローブを取り出すと一人一人に渡した。


風谷「こ、これって・・・もしかして」


森「と、とうとう野球の特訓をするんやな!!」


アスラ「一通り、野球のルールと言語と仕組みは理解した。その上で早い段階からやっておかなければならない特訓がある」


真野「守備の基礎的な練習ですか?」


アスラ「そんな野球の技術など空いた時間にでもやっていろ。これは急を要する特訓なんだ」


風谷「急を要するなんて随分オーバーだな」


森「せやで。時間はいっぱいあるんや。今から慌てて始めることなんか何にもあらへんで」


アスラ「つべこべ言ってないで、早くそれを付けて並べ。オレが打った球を捕る。それだけだ」


森「それは、ただのノックやん。一体何をそんなに急いでるんや?」


全員がアスラの言われた通りグラブをはめると違和感を覚えた。


風谷「おい、これ右利き用のグローブだぞ」


森「ウチのは左利き用や。アスラ兄ちゃん、これ全部反対やで」


アスラ「いや、それでいいんだ」


中山「ま、まさか・・・」


アスラ「そうだ。これから、お前らは利き腕とは反対の方でボールを捕ってもらう」


全員「えぇぇぇぇっ!?」


真野「な、何でそんなことするんですか!?」


森「こんなことするなら普通に守備練習してた方がマシや!!時間の無駄やで!!」


風谷「利き腕じゃない方の技術を磨いて一体どうするんだよ!!」


アスラ「目標は利き腕と同じように反対の方も使いこなすことだ。お前らはもう少し自分たちの置かれた立場を考えた方がいいぞ」


全員「は?」


アスラ「オレが配下として選ぶのは9人だ。それ以上は増やすつもりはない」


森「だ、だから何だって言うんや?」


アスラ「もし利き腕が試合中、もしくは大会間際に負傷したらどうなる?利き腕しか使えないヤツは致命的な守備の穴になるだろ」


風谷「その前に試合に出ること自体不可能だと思うけどな・・・」


アスラ「だが利き腕と同じように反対の腕も使うことができれば、守備の穴になることはない。いや考えようによってはそれ以上の成果を出す可能性もある」


中山「それ以上?」


アスラ「それは、試合で使う時が来れば説明する。それから当然バッティングも右と左の両方打てるようになってもらう」


風谷「ば、バッティングもか・・・」


アスラ「それから守備についても全員がすべての位置を守れるようになってもらう」


全員「えぇぇぇぇっ!?ぜ、全部!?」


アスラ「これで今後の特訓の説明は終わりだ。それからお前らは、利き腕とは反対で生活してもらう」


全員「は?」


風谷「今、なんて言った?」


中山「今、生活って聞こえたけど・・・」


森「特訓の時だけやないの?」


アスラ「当たり前だ」


風谷「ま、マジかよ・・・食生活に始まりついに私生活にまで特訓要素を盛り込んでくるとは・・・」


森「まぁ、利き腕使わないように意識するのは大変やけど、頑張るしかあらへんな」


アスラ「意識する必要はない。お前らは、ほぼ強制的に利き腕が使えなくなるんだからな」


真野「えぇっ!?きょ、強制的にって一体何をするつもりなんですか!?」


風谷「まさか、腕をへし折るとか言うんじゃないだろうな」


アスラ「折るつもりはないが、半分は当たっている」


全員「えぇぇぇぇっ!?半分は当たっているの!?」


アスラ「これを使えば、お前らは自由に利き腕が使えなくなる。それに周りが不審に思うこともなく特訓に専念できる」


アスラは風呂敷の中身を取り出し、全員に配った。


森「こ、これって・・・」


三崎「ギブス・・・」


風谷「たしかにこれなら、周りが不審に思うこともないけどよ・・・」


真野「それよりこんなものどこから持ってきたんですか?」


アスラ「持って来たんじゃない。オレが作ったんだ」


全員「つ、作ったぁぁぁぁっ!?」


アスラ「ともあれ見本は、黒崎が入院していた病院から持ってきたがな。アイツが腰に付けている物がヒントになった」


この時、黒崎が腰を痛めていたことに5人は心底後悔した。


アスラ「オレが作っただけあってそのギブスの固定力は強力だ。これに逆らって利き腕を使おうものならかなりの力を要するぞ。まぁそれも利き腕が鍛えられていいとは思うがな」


全員「・・・・・・」


アスラ「それでは、早速始めるぞ。今日は1人50球だ。取ったらオレの方にボールを投げろ」


中山「そ、それはいいんだけどさ」


アスラ「なんだ?」


中山「なんか距離が近くない?」


アスラ「ああ。定位置より近い距離だからな」


風谷「利き腕じゃない上に近距離のノックなんて絶対おかしいだろ!!」


森「ケガしたらどうすんねん!!」


アスラ「心配するな、加減はする。それに距離を近くしたのは反射神経も同時に養うことを目的にしているからな」


風谷「ま、マジかよ・・・」


アスラ「行くぞ。まずは風谷からだ」


アスラの打った打球はものすごいスピードで風谷の顔面付近に飛んできた。


風谷「うわっ!?」


思わず、ボールを避けて風谷はその場で尻もちをついた。


アスラ「なぜ、グローブで捕らない?」


風谷「こ、こ、こんな近距離で、顔めがけて飛んできた打球なんか捕れるわけないだろ!!それに何が加減だよ!!こんなの当たったらケガするだろ!!」


アスラ「加減はしている。加減をしないで打ったらどういうことになるかお前らならわかるだろ?」


風谷「いや・・・ケガしない程度に加減して欲しいってことなんだけど」


アスラ「そんな生ぬるい打球じゃ特訓にならんだろ。もう一度行くぞ。ボールを避けることはできたんだ。ボールはちゃんと見えてる。捕ることだってできるはずだ」


風谷「む、無茶苦茶なこと言うぜ・・・」


アスラが打ったボールはまたしても風谷の顔面に向かって飛んできた。


風谷「うぉっ!?」


瞬時にグローブを出してボールを捕球したが、ポロリと落としてしまう。


アスラ「どうした?早く拾って投げろ」


風谷「ち、ちっくしょう!!」


風谷もさっきのお返しと言わんばかりにアスラの顔面目掛けてボールを投げようとするが、ボールは力なく飛び、アスラの居る位置とはまったくの別方向へ飛んで行った。


アスラ「ちゃんとボールを投げ返せなかったら自分自身で捕りに行くんだ」


風谷「利き腕じゃねぇのにボールなんて上手く投げ返せるわけねぇだろうが・・・」


アスラ「ボールを捕りに行きたくなかったら、ちゃんと投げられるようにするんだな」


風谷「く、くっそ~・・・」


アスラ「よし、次だ」


今度は風谷の手前でバウンドする打球を打つ。


風谷「よしっ、今度こそ」


バウンドしたボールを捕球しようと腹の位置にグローブを構える風谷だが、ボールにはもの凄い回転がかかっており、バウンドした位置は風谷予期せぬ顔面の位置に飛んできた。


風谷「へ?」


ボールは風谷の髪の毛をかすって後ろの方へ飛んで行った。


風谷はその場に力なくへたり込んだ。


アスラ「おい、どうした?早くボールを拾って投げろ」


風谷「・・・・・・・」


今の打球に驚きすぎて風谷はアスラの言葉に返答できなくなっていた。


アスラ「もういい。次は森だ」


森「りょ、了解や・・・」


真野「わ、私たちもあんな打球を捕らされるんでしょうか・・・」


三崎「か、覚悟はしてた方がいいわね」


中山「そ、そうだね」


風谷の姿を見て、順番を待つ3人は怯えていた。


その時だった。


近くで背の高い高校生くらいの外国人少女2人が風谷の方を指差して大笑いしていた。


森「なんや?あの姉ちゃんたち」


中山「何か感じ悪いね」


少女2人は笑いながらアスラたちの方へ近づいて来た。


??「アンタたち、本当に下手糞ね。あんな程度の距離にビビっちゃってさ」


??「それに送球も壊滅的デ~ス」


ハッと我に返った風谷が怒りの表情で2人に詰め寄った。


風谷「一体なんなんだよ、テメェら!!冷やかしなら帰りやがれ!!」


??「別に冷やかしじゃないわよ。アタシたちはアンタに用があってきたのよ。『洩矢アスラ』」


少女の1人がアスラの方に向かって指を差した。


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