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私たちの監督は14歳で、かなりヤバいっ!!  作者: フムフム竜
小学生編
39/61

第39話 目には目を歯には歯を

本性を出したミハイロフに病室内は騒然とする中、話は続けられる。


ミハイロフ「娘であるイリーナを自殺に追い込み、エカテリーナの心の支えになれば今度こそオレの方になびく。だからオレはイリーナの専属トレーナーになるために一流のスポーツトレーナーになったんだ」


黒崎(母)「な、何でそこで一流のスポーツトレーナーが出てくるのよ」


アスラ「わからないか?コイツは今日のようなやり方で黒崎を自殺に追い込むつもりだったんだ」


ミハイロフ「その通り。オレは何十年もかけてイリーナの身体を破壊するように練習メニューを組んだ。後は故障したイリーナに精神的なショック与えて自殺するように仕向けるだけ。だが予想外だったのはイリーナの身体が予想よりも早く破壊されてしまったこととロマンが裏切ってしまったことだ」


黒崎「精神的なショックを与えてってことは・・・あのボイスレコーダーの声は合成だったってこと?」


ミハイロフ「いや、チームメイトの声は本物だ。だがチームメイトが嫉妬するような環境に作り上げたのはオレだがな」


黒崎「・・・・・・」


ミハイロフ「だが一つだけ腑に落ちないところがある。おいクソガキ、オレの練習メニューを最初に見た時、選手生命を壊す内容だって言ってたが、あれはイリーナを野球選手に引き込むために言ったことか?それとも本当にそう思ったのか?」


アスラ「お前の練習メニューを見て言ったに決まっているだろ」


ミハイロフ「・・・・・・」


ミハイロフはその場で座り込んだ。


ミハイロフ「ちっ、やっぱりお前ならそう言うと思ってたぜ。試合の時から思ってたが、やっぱり只者じゃねぇな」


ミハイロフは両手を上げて降参のポーズを取った。


ミハイロフ「オレはこれで逮捕されることになるが、エカテリーナをまだ諦めるつもりはねぇ」


黒崎(母)「冗談じゃないわっ!!アンタの顔なんか二度と見たくないわよっ!!」


ミハイロフ「宣言しておくぜ。エカテリーナ、アンタは誰の物でもない。オレの物だ。そしてイリーナ、お前も常に気を付けることだ。思わぬところで命を落とすことになるぜ」


黒崎「・・・・・・」


不敵な笑みを浮かべ余裕を見せるミハイロフだったが突然異変が起きた。


ミハイロフ「な、なんだ・・・身体が動かない」


アスラ「お前は少し勘違いしているようだから教えておいてやる。あの記者は裏切ってなんかいない。アイツは死ぬまでお前のことは言わなかったぞ」


ミハイロフ「し、死ぬまでっ!?」


黒崎(母)「そ、それどういうことよっ!?」


アスラ「アイツは思わぬ事態が起きてクラーチによって殺された」


黒崎「く、クラーチってあの・・・」


黒崎(母)「イリーナ、知ってるの?」


黒崎「う、うん。でもあれには関わらない方が良いと思うわ」


アスラ「それとお前は逮捕されることはない。それがアイツとの約束だったからな」


ミハイロフ「あ、アイツだと?」


アスラ「わからないか?アイツは、ずっとお前のことを見守っていたんだ。オレが住職の持っていた試合の映像をすべて見て確認したから間違いない」


その時、ミハイロフの肩がポンッと叩かれる。


視線だけ後ろに向けるとそこには見知らぬロシア人女性が笑みを浮かべた。


女「ミハイロフさん・・・」


今まで余裕の顔を見せていたミハイロフも怯えた表情になる。


ミハイロフ「だ、誰だ・・・誰なんだよ、お前は・・・」


女「ミハイロフさん、私はずっとあなたを見ていました。学生時代、あなたに振られてからずっと・・・」


ミハイロフ「ふ、振っただって?オレは・・・オレは、お前なんか知らないぞ」


女「覚えていないのも無理はありません。私は所詮あなたに恋をした大多数の女の1人に過ぎませんから」


薄っすらと不敵な笑みを浮かべる彼女にミハイロフは心底震えあがった。


女「本当はあの映像を使って、ミハイロフさんを私の物にしようと思ったのですが、身体も心も弱い私にそんなことはできません。そんな時、(もり)()さんが私に声をかけてくれたんです」


ミハイロフ「な、なんだと・・・」


アスラ「約束は果たした。これでコイツはお前の物だ。約束通り例の場所も用意してある」


女「ありがとうございます、洩矢さん」


ミハイロフ「お、おい・・・オレをどうするつもりだ」


女「私はずっと考えていました。どうすれば、あなたがどこにも行かず誰の物にもならないかを・・・」


ゼラ「さて、そろそろ行くぞ」


いつの間にか病室にいたゼラがミハイロフを担ぎ上げた。


アスラ「後は頼んだぞ、ゼラ」


ゼラ「任せておいてください」


ゼラはそのまま彼女と一緒に車に乗り込んだ。


黒崎「い、一体どこへ連れて行ったの?」


アスラ「愛比売山だ。アイツらはこの先、永遠に離れることは無いだろう」


黒崎「そ、そう・・・」


黒崎(母)「それよりイリーナ、後遺症の治療のことなんだけど・・・」


アスラ「そのことなら心配するな、コイツを治せるヤツはオレが連れて来てある」


黒崎(母)「え?」


困惑している黒崎(母)の前に白衣を来た外人男性が現れた。


その頃、ミハイロフは必死に叫んで助けを求めていた。


その姿を運転しながら、うっとりした表情で彼女は眺めている。


その表情にミハイロフの背筋は凍った。


そして、目的地に近づくにつれてミハイロフの顔はどんどん青ざめていく。


着いた先は、飛び降り自殺にうってつけの崖の上だった。


女「あなたが誰の物にもならない方法。それは誰かの物になる前に私の手で・・・」


ミハイロフ「ふ、ふざけるなっ!!お前、正気かっ!?」


女「可哀そうに、ミハイロフさん。とても怖くて心配なんですね。でも安心してください。私も一緒に逝きますから」


ミハイロフ「ち、違うっ!!そんなことを言ってるんじゃないっ!!そ、そうだ、もし放してくれたらお前と結婚してもいいっ!!一生お前の傍にいてやるっ!!だ、だから早く解放してくれっ!!」


女「ふふふ、私はあなたをずっと見て来たんですよ?あなたがその場限りの嘘を言ってることぐらい分かります」


ゼラ「飛び降りた後は、オレがお前らの遺体を掘り返されないように深く埋めておいてやる。これで永遠に離れることはない」


女「ありがとうございます。これで私の夢がやっと叶います」


ミハイロフ「や、辞めろっ!!辞めろぉぉぉぉっ!!」


女「私は洩矢さんに言われました。『自殺をするのは心の意思が弱いヤツにはできない。もしお前がアイツと一緒に死ぬことができるならお前の心は強い。自信を持て、お前の心は決して弱くなんか無い』と・・・」


ミハイロフ「あ、あのクソガキッ!!」


女「私は洩矢さんの言葉で自信と勇気を持つことが出来ました」


ミハイロフ「あんなヤツの言葉で自信と勇気を持つなぁっ!!」


女「それでは逝きましょう。ミハイロフさん」


ミハイロフ「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」


彼女はニッコリと笑ってミハイロフと共に崖から飛び降りた。


恐るべき結末から次の日・・・


森「あの黒崎って子が入ったのはアスラ兄ちゃんから聞いたけど、これは一体どういうことや」


5人は今治体育館に集められていた。


風谷「まさかとは思うけど新体操の次はバレーボールなんて言うんじゃないよな」


森「もしそうだとしたら一体いつになったら野球をやるねん」


アスラ「お前らの言う通り今日からバレーボールも特訓の1つに取り入れる」


真野「何でバレーボールなんですか?」


中山「バレーボールをやるぐらいなら野球の練習を取り入れた方が良いと思うけどな」


アスラ「正直バレーボールで確実な成果を上げられるかどうかはオレにも分からん。今度ばかりはお前たち次第だ」


三崎「それ・・・やる意味あるの?」


アスラ「意味はある。それに試合の時も言ったはずだ。どんなことでも野球と結び付けてやれとな。それに野球がしたいなら特訓以外の時にやればいい。別に野球を一切やるなとは言ってないんだから」


風谷「う~ん・・・」


中山「ところで体育館が貸し切りみたいだけど、アスラ兄ちゃんが貸し切りにしたの?」


??「貸し切りにしたのは私よ」


現れたのは黒崎(母)だった。


森「な、何で常盤ジュニアの監督がこんなところにおるんやっ!!」


黒崎(母)「常盤ジュニアの監督は辞めたわ。娘にあんなことを言う連中を指導する気は毛頭ないわ。私は今日からこの『洩矢バレーボールクラブ』の監督になるのよ」


全員「えぇっ!?」


風谷「ちょっ、ちょっと待てよ。話が急過ぎるだろ。アタシたち野球選手だぞ?バレーボール選手じゃない」


黒崎(母)「別にバレーボール選手になるわけじゃないわ。チーム名を作っておいた方が貸し切りにする時なにかと便利なのよ。別に大会に出るわけじゃないわ。だから気楽にやってちょうだい。ただし、練習は本格的にやるけどね」


森「それって気楽にできへんやんか・・・」


風谷「ところで母親の方はともかく、娘の方はどうしたんだ?」


アスラ「アイツは当分入院だ。だからリハビリも兼ねて別のメニューをやってもらってる」


風谷「別メニュー?」


【病室】


コーチ「はい、黒崎さん。足をもっと広げて」


黒崎「こ、こうですか?」


コーチ「もっと広げてっ!!」


黒崎「うぐっ!!痛っ!!」


コーチ「バレーボール選手にしては身体が硬すぎるわね。これは相当厳しくやらないといけないわ」


看護師A「大丈夫ですかね、手術してすぐに柔軟体操なんかさせて・・・」


看護師B「普通は有り得ないことだけど、手術をやったのがあの伝説のドクターだからね。院長が言ってたけど、未だにこの病院に来た理由が分からないそうよ」


看護師A「へぇ~・・・」


コーチ「今度は、もう少しゆっくり足を広げていくわよ」


黒崎「痛ぁぁぁぁっ!!」


黒崎は傷口が開かない程度の軽い柔軟体操を『新体操』のコーチと共にやっていた。


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