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私たちの監督は14歳で、かなりヤバいっ!!  作者: フムフム竜
小学生編
32/61

第32話 怪物黒崎イリーナ

特別ルールの存在で意気消沈している5人にアスラは言った。


アスラ「どうした?何を落ち込んでいる?オレがいるんだから負けは有り得ないんだぞ?」


風谷「それはそうだけど、やっぱなるべく自分たちの力で勝ちたいって思ってたからさ」


他の4人も頷くとアスラは少し笑みを浮かべた。


アスラ「どうやらオレは、お前たちを見くびっていたようだ。だが心配するな。お前らは、ずっとアイツとの戦いを想定して特訓してきたんだ。今更、アイツがずっと攻撃と守備に関わって来ようがそんなことは関係ない。それに特訓以上の成果も出て来ている。間違いなくアイツは攻略出来る」


森「せやな、ウチらだってサーブもスパイクも実際よりも速い速度で練習してるんや。ウチらの実戦での成長速度であのバケモノを攻略したろうやないか」


真野「そうですねっ!!自信を持っていきましょうっ!!」


風谷「よっしゃっ!!気を取り直して頑張ろうぜっ!!」


気合を入れ直した5人は黒崎のサーブに集中する。


黒崎「ふんっ、たかが2日間の練習程度で・・・調子に乗るのもそれまでよっ!!」


黒崎はトドメを刺すべく、またしても強烈なサーブを抜群のコントロールでコートギリギリの位置に放った。


森「練習の時は上手くサーブを拾う感覚を掴めへんかったけど・・・今ならなんとなく分かって来たでっ!!」


先程のレシーブの成功でコツを掴んだのか、森は今までで一番きれいな姿勢で黒崎のサーブをレシーブした。


だが・・・


森「なっ、なんやっ!?」


完璧にレシーブしたにも関わらず、ボールはあらぬ方向へと飛んで行ってしまった。


何が起きたか分からないと言った表情になる森。


点差が8対0とリードされたところでアスラはタイムアウトを取った。


森「ど、どうなってるんやっ!?今のは完璧やったはずやでっ!?」


アスラ「今までと違ってさっきのは、ボールの回転数が異常だった。原因はそこにあるな」


真野「か、回転ですかっ!?」


森「そういえば、完璧だと思ってボールが最後まで見てへんかったけど、手元で変化したような気がするで」


中山「へ、変化球って・・・そんな対策、練習じゃやってないよっ!!」


風谷「今さら変化球の練習ったって普通にレシーブするのだってまだ上手くいってないのに一体どうすりゃいいんだよっ!!」


アスラ「仕方がない。こっちも特別ルールとやらを利用するとしよう」


常盤ジュニアサイド・・・


黒崎(母)「回転サーブなんて強豪クラブ以外で使ったことないのに、どういう風の吹き回し?」


黒崎「ただ調子づかせたくなかっただけよ」


黒崎(母)「少しムキになり過ぎよイリーナ、たしかに動きは目を見張るものがあるけど相手は素人なんだから」


黒崎「その割にはレギュラー陣に身体を温めさせてるみたいだけど?」


黒崎(母)「と、とにかくあまり熱くなり過ぎちゃダメよ」


黒崎「分かってるわ」


タイムアウトが解けてコートへ戻る両チーム。


この時、アスラたちの陣形を見て常盤ジュニアの面々は驚きの表情を見せた。


陣形は、コートのど真ん中にアスラが立ち、後衛の両端に2人が、前衛に3人がネットよりに並ぶという極端なものだ。


黒崎(母)「一体どういうつもりなのかしら?」


黒崎「(あんな極端な配置じゃ、ほとんどガラ空きじゃない。どういうつもりか知らないけど、舐めるのもいい加減にして欲しいわ)」


黒崎は、左端のガラ空きのスペースに打ち込んだ。


だが・・・


黒崎「え?」


ガラ空きだと思われた場所にはアスラが立っていた。


黒崎「ば、バカなっ!?たしかにあそこには誰もいなかったはずっ!?」


アスラは黒崎のサーブを簡単にレシーブし、風谷にボールを上げる。


風谷はそれを真野にトスした。


真野「今度こそ初得点を決めるっ!!練習の時のように相手のブロックを注視しながら・・・」


だがこの時、真野の視界を遮る物はどこにもなかった。


黒崎は先程のアスラのプレーに驚いたのか、唖然としてその場に突っ立ったままだった。


代わりに他の選手たちがブロックに入るが真野のジャンプ力の方が上回っており、太刀打ちすることが出来なかった。


真野のスパイクはあっさりと決まり、スコアボードに1点が記された。


真野「や、やったぁぁぁっ!!」


森「うぉぉぉっ!!記念すべき初得点やっ!!」


風谷「このまま一気に点差を詰めるぜっ!!」


黒崎「・・・・・・」


選手A「ちょっとイリーナ。どうしてブロックに入らなかったの?」


黒崎「え?」


選手A「サーブした後、何もしないでボ~ッと突っ立っちゃってさ。しっかりしてよね」


黒崎「す、すいません」


風谷「おっしゃっ!!ここから反撃開始だっ!!」


盛り上がる中、風谷がサーブを打つ。


だが勢いとは裏腹にフラフラと弱々しいサーブだった。


これを簡単に取られて、最高のトスが黒崎に入る。


黒崎「(サーブの時は取られたけど、今度はそうはいかない。そんなガラ空きだらけの陣形じゃ私のスパイクは拾えないわよ)」


黒崎の強烈なスパイクが、ガラ空きの場所に打たれる。


ところが・・・


黒崎「え?」


またしてもアスラが黒崎のスパイクをレシーブした。


黒崎「ど、どうしてっ!?たしかにそこには誰もいなかったはずなのにっ!!」


黒崎が動揺する中、今度は三崎がスパイクを打ち反撃する。


しかし、これは相手が上手く拾い、再度常盤ジュニアに反撃のチャンスが訪れる。


黒崎「今度は位置なんて気にしないで本気で打つわっ!!」


長身から振り下ろされる高速スパイク。


しかし、このスパイクもアスラに簡単に拾われてしまった。


黒崎「なっ!?」


黒崎(母)「い、イリーナの全力のスパイクをっ!?」


渾身のスパイクを拾われ黒崎を含めた常盤ジュニアは唖然。


その隙に森が決めて2点目。


8対2と6点差に迫った。


選手A「な、何が起こったの?」


選手B「ま、マグレよ。たまたまイリーナが打ったところが相手の正面に行っただけよ」


黒崎「(たとえ正面に行ったとしても私の全力のスパイクを拾えた選手なんて数少ないわ。一体何なのよ、アイツは・・・)」


先程のプレーで焦った黒崎(母)は、コーチのミハイロフにレギュラー陣の身体を急いで仕上げるように指示を出す。


アスラ「特別ルールとやらは、お前らだけに有利に働くわけではない。こっちもこの陣形をしばらく取らせてもらうぞ」


黒崎「(もう相手を素人とは考えない。強豪クラブだと思ってやらせてもらうわ)」


連続得点で勢いに乗りたい中、風谷のフラフラサーブが常盤ジュニアのコートへ。


先程と同様、スパイクには持って来いの位置に。


黒崎「(これは今度の大会までに取っておくつもりだけど、もう手加減はしないわっ!!)」


黒崎(母)「(イリーナ、もしかしてアレを打つつもりじゃ・・・)」


黒崎「(これが私の切り札よっ!!)」


前衛にいる3人が必死にブロックに入るも黒崎のジャンプ力にはまったく歯が立たず、簡単にスパイクを許してしまう。


そして黒崎が放ったボールはアスラの正面に向かって行く。


アスラがレシーブの構えに入った瞬間、ボールはいきなり真横に変化した。


黒崎(母)「変化球というのはコントロールが難しい。だけど、イリーナはその問題をいとも簡単に克服したわ。イリーナの変化球スパイクにはスライダーにシュートそして不規則に変化する無回転スパイクがあるわ」


今度こそ決まったと思われた黒崎のスパイク。


だが・・・


黒崎「なっ!?」


アスラは足で黒崎のスパイクを拾った。


黒崎(母)「Невероятно!!(信じられないっ!!)」


黒崎「(な、なんでよっ!!なんでそれも拾うのよっ!!)」


完全に棒立ちになった黒崎の隙を突いて中山がスパイクを決める。


これで8対3と点差が5点に縮まった。


これにはさすがに常盤ジュニアの方がタイムアウトを取った。


黒崎(母)「イリーナ?」


黒崎「・・・・・・」


黒崎(母)「イリーナッ!!」


黒崎「はっ!?」


黒崎(母)「しっかりしなさい」


黒崎「ご、ごめんなさい」


黒崎(母)「動揺する気持ちは分かるわ。この1ヶ月、必死に練習して身に着けた切り札をあんな素人に取られちゃったんだから」


黒崎「・・・・・・」


黒崎(母)「でもね、あなたがこのチームのエースなの。こんなことで動揺してたら全国の強豪に立ち向かえなくなるわよ」


黒崎「・・・そうよね、こんなことじゃ全国制覇なんて狙えないわ」


黒崎(母)「タイムアウトが解けたらイリーナ以外は全員交代よ。これからはレギュラーメンバーで臨むわ。それからイリーナ、あなたはスパイクを打つ時は他のメンバーを狙いなさい。絶対にあの子が居ない場所に打つのよ」


黒崎「分かったわ」


そして風谷のサーブで試合が再開した。


黒崎「(作戦通り、狙うのはアイツを除いた5人。まずは、あのうるさい関西弁ね)」


黒崎は前衛の左端にいる森に向かってスパイクを打つ。


森「うわっ!?」


森は黒崎のスパイクの威力に押され、そのまま後ろに倒れ込んでしまう。そしてボールは凄い勢いで常盤ジュニアコートの場外へと飛んで行った。


森は手を抑え、前かがみになって痛みを堪える。


全員が走って駆け寄ると森の腕は赤く腫れあがっていた。


たった1発でのこの威力に4人は驚愕した。


その様子に黒崎は満足といった笑みを浮かべていた。


黒崎「(ようやくそれらしい反応になったわね。そうよ、素人で私のスパイクを拾うことなんて不可能なのよ)」


黒崎(母)「娘の事をこういうのはあれだけど、イリーナのスパイクは凶器よ。強豪クラブの名レシーバーでさえ当たり所が悪ければ負傷交代するぐらいだもの」


風谷「大丈夫か、里奈」


森「平気や。けど練習で痛めたところにちょうど、ピンポイントで当たってもうてな。テーピングをもう少し強めに巻けば大丈夫や」


テーピングを巻き直して試合が再開する。


常盤ジュニアからのサーブは一度もレシーブを成功させていない風谷のところに飛んだが、ぎこちない体勢からなんとか成功。


最後は三崎がスパイクを打つが、黒崎のブロックを意識しすぎたため相手選手の正面に打ってしまい、簡単に拾われる。


待ってましたと言わんばかりに黒崎が目を光らせる。


黒崎「(次はあなたよ)」


黒崎の次のターゲットは前衛の右端にいる真野。


黒崎「(フィニッシャーを早めに潰しておいた方が・・・いいわよねっ!!)」


凄まじいスパイクが真野の顔面に襲い掛かる。


真野は反射的に顔を両手で覆って直撃は免れたが、そのまま倒れ込んでしまった。


ボールもそのまま勢いよく床に転がり、連続失点を許す展開に。


真っ赤になった両手をブラブラさせている真野に全員が駆け寄った。


三崎「美沙、手大丈夫?」


真野「メチャクチャ痛いです~」


風谷「あの野郎、わざと顔面狙いやがったな」


アスラ「顔を狙うとは考えたな。顔が案外、一番ボールを拾われにくいところかもしれない」


中山「そんな呑気なこと言ってる場合じゃないよ」


アスラ「それより森、真野。アイツの攻撃を受けてどうだった?」


森「確かに威力は凄いんやけど、練習の時に比べたら全然大丈夫や」


真野「後はサーブレシーブのようにコツを掴めば、なんとかなりそうです」


2人の言葉を黒崎は不機嫌そうに聞いていた。


黒崎「(ふんっ、サーブのレシーブとスパイクのレシーブを一緒にしないでちょうだい。そんな簡単に上手くなるなら苦労しないわよ)」


怪物黒崎イリーナのスパイクの攻略の糸口を掴むべく全員が闘争心をみなぎらせた。


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