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私たちの監督は14歳で、かなりヤバいっ!!  作者: フムフム竜
小学生編
29/61

第29話 アスラの宣戦布告

放課後・・・


5人は今治体育館に来ていた。


さっそく中を覗いてみると黒崎が所属する常盤ジュニアバレーボールクラブが練習していた。


そしてすぐに目的の人物は見つかる。


風谷「あれが黒崎イリーナか・・・遠くで見た方がさらにデカさが際立つよな」


中山「見た目もそうだけど、スパイクの威力も他の人とは桁違いだね」


森「それにあのジャンプ力もえげつないで。あれじゃブロックが全然意味あらへん」


真野「もうプレーそのものが完全に別世界って感じですね・・・ところでアスラお兄ちゃんは、どこに行ったんでしょうか」


三崎「あそこ」


アスラは客席に座って黒崎の様子を見ていた。


5人は声を上げ、手を振りながらアスラを呼んだ。


それに気付いたアスラは5人のところにやって来た。


アスラ「なんで、お前らがここにいるんだ?」


森「ウチらも黒崎イリーナのことが気になったんや」


風谷「それより黒崎の評価はどうなんだ?」


アスラ「少し不安要素があるが身体能力に関しては完璧だ。あれなら山登りの特訓もほとんど必要ない」


予想以上の評価に全員が目を丸くして驚いていた。


その時、後ろから声をかけられる。


??「そんなところで大勢で立たれたら迷惑なんだけど?」


後ろには黒崎よりもさらに一回り大きな外国人女性が立っていた。


この人物が黒崎の母親『黒崎エカテリーナ』である。


黒崎(母)「あなた達はここに何の用なの?」


アスラ「アイツをオレの配下にするために来た」


アスラは黒崎を指差して言うと黒崎(母)は呆れた顔になる。


黒崎(母)「何を言い出すかと思えば、イリーナを配下に?日本は漫画が世界的にも有名だけど、あなたのように漫画の世界にのめり込み過ぎている人も多いのよね。支配者ごっこなら余所(よそ)でやってくれないかしら?」


アスラ「アイツの身体能力はオレが今まで見た中でも飛び抜けている」


黒崎(母)「当然よ。イリーナは日本・・・いえ世界中の小学生の中でも頂点に君臨する逸材よ」


アスラ「これなら最強の野球選手になる素質は十分にある」


黒崎(母)「そうよ。イリーナなら最強の野球選手になる素質って・・・はぁぁぁっ!?」


突然の叫び声に練習中だった選手たちも視線を向けた。


黒崎(母)「ど、どういうつもりよ!?イリーナをバレーボールじゃなくて野球選手にですってぇ!?」


アスラ「ああ」


黒崎(母)「何をバカな事を言ってるのよ、あなたは!!」


アスラ「どうして、そう思うんだ?」


黒崎(母)「私の話を聞いてなかったの!!イリーナは天才バレーボール少女なのよ!!そんな子がなんで野球選手にならなきゃいけないのよ!!」


あまりの発狂ぶりに選手たちが集まってくる。


そして娘である黒崎イリーナが声をかけた。


黒崎「一体どうしたのよ、母さん。そんなに興奮して」


黒崎(母)「この子達があなたをスカウトしにきたのよ」


黒崎「スカウト?」


黒崎(母)「しかもバレー選手じゃなくて野球選手としてよ!!」


アスラ「ただの野球選手ではない。最強の野球選手だ」


黒崎(母)「何が最強の野球選手よ!!だったらイリーナは最強のバレーボール選手よ!!」


黒崎は一瞬だけ目を丸くしてアスラを見た後、5人の方に視線を向けた。


黒崎「ところであなた達は、その最強の野球選手とやらを本気で目指しているの?」


風谷「ま、まぁ一応な。アタシたちは最強の野球選手を目指して頑張ってる」


中山「あなたも野球に興味があったら入ってくれると嬉しいんだけどな」


それを聞いた黒崎は含みのある笑みを浮かべて言った。


黒崎「最強の野球選手ねぇ~・・・そもそも野球って女子のやるスポーツなの?女子はみんなソフトボールじゃなかったっけ?」


黒崎のどこか見下すような言い方に風谷が激高して答える。


風谷「女子だって野球ぐらいやるぞ!!ソフトボールだけじゃない!!」


森「それに女子プロ野球だってちゃんとあるで!!」


黒崎「ふ~ん・・・でも全然目立ってないし認知度も低いわよね。ひょっとして女子野球にも日本代表とかあったりするの?」


風谷「当たり前だろ!!」


黒崎「そうなんだ・・・けど変な話よね?同じ日の丸を背負って戦っているはずなのにバレーボールと違って女子野球の世界大会なんてテレビで放送されたことなんかないんじゃない?」


風谷「さっきからいちいち腹が立つ言い方しやがって・・・一体何が言いたいんだよ!!」


黒崎「私は認知度が低い最強の野球選手なんか目指さないで一流のバレーボール選手を目指すって言ってるのよ」


黒崎の女子野球を見下したような態度に風谷たちが怒りを露わにしている中、三崎だけはずっと視線を逸らしていた。


黒崎が言っていることは以前母親が言っていたことと同じだったからだ。


黒崎「もう気が済んだんなら、さっさと帰ってくれない?そこに立ってられると迷惑なんだけど?」


風谷「言われなくても帰るよ!!」


風谷たちは怒りながら体育館を出ようとすると、アスラが口を開いた。


アスラ「お前、さっき一流のバレーボール選手を目指すと言ったな」


黒崎「ええ。それがどうかしたの?」


アスラ「ハッキリ言ってやる。お前は今のままでは絶対に一流のバレーボール選手になることはできない」


黒崎「!?」


黒崎(母)「な、なんですってぇ!!」


黒崎(母)は鬼気迫る表情でアスラに詰め寄った。


黒崎(母)「だったら教えてもらおうじゃない!!イリーナが一流のバレーボール選手になれない理由を!!」


アスラ「一番の理由は練習内容にあるとオレは考えている。コイツの練習内容は、お前が考えたのか?」


黒崎(母)「違うわ。練習内容はミハイロフに任せてあるわ。ミハイロフはイリーナの専属トレーナーで、このクラブのコーチでもあるわ」


アスラ「ほう」


黒崎(母)「ちょうどいいわ。ちょっと来てミハイロフ」


黒崎(母)に促されて選手たちの後ろの方から大柄の男がヌッと現れた。


黒崎(母)「こんな子供に見せても意味はないと思うけど、練習メニューを見せてあげてちょうだい」


ミハイロフは、練習メニュー表を記載した内容をアスラに見せた。


黒崎母「イリーナはみんなと同じメニューをこなした後、ミハイロフが用意した別のメニューもやっているわ。あなたは練習メニューに問題があると言っていたけど、ミハイロフは一流のスポーツトレーナーなのよ」


パラパラと練習メニューを見終えたアスラは、無表情で黒崎(母)を見た。


黒崎(母)「な、なによ・・・ミハイロフの完璧なメニューに文句でもあるの?」


アスラ「こんなメチャクチャな練習内容で完璧とはよく言ったものだな。こんなのじゃ話にならん。オレに言わせれば、こんなメニューは選手生命を壊すような内容にしか思えんぞ」


ミハイロフ「なっ!?」


黒崎(母)「な、な、なんですって!!ミハイロフはこれまで多くの一流選手を育て上げてきた実績を持っているのよ!!いい加減なこと言わないでちょうだい!!」


アスラ「オレの言葉をどう思おうが勝手だが、こんな練習内容ならその辺のヤツに任せた方がマシだな。オレだったらこんな練習はさせない。こんな練習で一流のバレーボール選手など笑わせる」


ミハイロフ「な、なんだとこの野郎!!オレの練習メニューが素人以下だって言いたいのか!!」


自分の組んだメニューを酷評され、ミハイロフはアスラの胸倉(むなぐら)を掴んで怒りを露わにする。


しかし、それを止めたのは黒崎だった。


黒崎「そんなに怒る必要はありませんよ、コーチ。好きに言わせればいいじゃないですか」


ミハイロフ「だ、だが・・・」


黒崎「それにこんな人たちを相手にしている時間はありません。来月から大会があるんですよ?」


ミハイロフ「・・・そ、そうだったな。それに来週は西条バレーボールクラブとの練習試合も控えてる」


黒崎(母)「西条バレーボールクラブには、先月の大会で敗れているし、そのリベンジも兼ねて絶対に勝たなきゃいけない相手だわ」


黒崎「そう・・・だからこんな人たちの相手なんかしてられない。来週の試合は絶対に勝って来月の大会に向けて弾みをつけなくちゃ」


アスラ「来週の試合はおそらく負ける。それどころか来月の大会も優勝することは絶対にできない」


いきなり会話に割り込んだアスラの言葉に黒崎(母)が激高する。


黒崎(母)「さっきから聞いてれば一体何なのよ!!あなたに私たちのチームの何がわかるっていうのよ!!」


アスラ「オレは先月の大会でのお前らの試合ぶりを見たが、お前たちは先月の頃と大して変わっていない。さらに黒崎に関して言えば先月よりも動きが悪くなっている。これで勝とうとする方が無理があるだろ」


黒崎(母)「い、言わせておけば・・・」


その時、黒崎がアスラの方へゆっくりと歩み寄る。


黒崎「素人のくせに随分と偉そうなこと言ってくれるじゃない。私が先月よりも動きが悪くなってるですって?そんなに言うならあなたがそれを試合で証明して見せてよ」


黒崎(母)「ちょっ、ちょっといきなり何を言い出すの!!」


黒崎「母さん、トーナメントで重要なのはどんな相手にもきちんと勝つことができること。格上との練習試合は組んでるけど、格下との練習試合は組んでないわ。だからちょうどいいんじゃない?」


黒崎(母)「そ、それはそうだけど・・・」


ミハイロフ「しかし、キミに万が一のことがあれば・・・」


黒崎「大丈夫ですよ、コーチ。そんな万が一のことだって起きる相手じゃないですから」


ミハイロフ「う~ん・・・」


アスラ「このオレに挑むとはいい度胸だな。だがその行為がいかに愚かな行為であったかを思い知らせてやる」


黒崎「面白いわね。やってもらおうじゃない。それで?試合はいつにするの?」


アスラ「試合は2日後だ。文句はないな?」


黒崎「え?たったの2日後?」


アスラ「当日になって逃げるような真似はするなよ」


黒崎「それはこっちの台詞よ。それとあなたに一つ言っておくわ」


アスラ「なんだ?」


黒崎「そんな短い期間で私たちを倒せると思ってるのならそれは大きな間違いよ。私に言ったこと・・・あなたは絶対に後悔することになるわ」


アスラ「後悔だと?後悔するのは、お前の方だ。だったらオレからも一つ宣言しておいてやる」


その時、アスラに一瞬殺意のこもった目を向けられ、黒崎は思わず息をのんだ。


アスラ「お前は・・・『二度とバレーボールが出来なくなる』」


黒崎「!?」


黒崎(母)「な、なんですって!?」


アスラ「残りの2日間、せいぜい最後のバレーボールを楽しむんだな」


そう言ってアスラは体育館を出て行った。


ミハイロフ「どういうことだ?バレーボールを出来なくさせるなんて」


黒崎(母)「ただのハッタリよ。バレーで相手を再起不能にするなんて聞いたことないわ」


黒崎「そう・・・よね」


黒崎は先程向けられた殺気で、アスラが只者ではないと感じていた。


そして黒崎の脳裏には、なぜか死という文字が浮かんでいた。


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