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私たちの監督は14歳で、かなりヤバいっ!!  作者: フムフム竜
小学生編
20/61

第20話 アスラ、メイドカフェへ乗り込む

【愛比売山】


アスラ「今日もやることは変わらんのだが・・・」


アスラはそう言いかけると近くにいるゼラを見てため息をついた。


アスラ「お前はいつになったら帰るんだ?」


ゼラ「アスラ様が後継者争いに参加すると約束するまでです」


アスラ「それは絶対に有り得ない。他にないのか?」


ゼラ「それ以外となりますと・・・」


ゼラは少し間をおいてアスラに言った。


ゼラ「アスラ様の悲願である支配者の座を完全に諦めていただくことになります」


アスラ「そんなことでいいのか?だったら諦めてやるからさっさと帰れ」


ゼラ「えぇっ!?そんな簡単に諦めていいんですか!?ここの世界に追放されたのだって支配者の座をあの方から奪うことが原因だっていうのに!?」


アスラ「本当のことを言えば、ただ親父と戦いたかっただけだ。支配者の座も色んな強い相手が挑んでくる可能性が高いと思って奪おうとしただけに過ぎない。だからオレは支配者の座に、そこまで執着してはいないんだ」


ゼラ「そ、そうなんですか?」


アスラ「それに実際オレも配下を持ってわかったことだが支配者というのは思った以上に自由が利かない。この世界で、そのことを実感した」


ゼラ「アスラ様・・・」


アスラ「だが言っておくが向こうからオレを狙ってくれば話は別だ。その時は容赦なく支配者の座を奪いに行く。新しく支配者になったヤツにはそう伝えておけ」


ゼラ「わ、わかりました・・・」


呆気にとられた感じで元の世界へ帰って行くゼラ。


ゼラが消えて行くのを確認するとアスラは4人の方へ顔を向けた。


アスラ「お前らに良い知らせがある。実は今日新しい配下を見つけてきたんだ」


誰の事かすぐにピンときた三崎はアスラに言った。


三崎「そのことで、ちょっと話したいことがあるの」


アスラ「なんだ?」


三崎は真野の家庭事情について話し、引き抜きは無理だということを伝えた。


だがその話を聞くとアスラは諦めるどころか逆にやる気になってしまう。


アスラ「要するにその家庭問題をどうにかすれば真野は野球をやるということだな」


三崎「たぶんね。美沙はもともと野球がすごく好きだったから・・・それに私も美沙とまた野球がしたい」


アスラ「三崎、真野についてお前が知っていることをすべて教えろ」


三崎「うん」


アスラは三崎から真野の情報を聞き出すと4人に山登りを指示して出かけて行った。


そして、アスラはある所へ向かった。


教頭「お、お金を出せだって!?」


アスラ「そうだ」


アスラは今治中央高校へ来ていた。


教頭「そ、それは立派な脅迫だぞ!!」


アスラ「脅迫?」


教頭「だいたい、この前のグラウンドの修理費用やケガをした野球部員の件でかなり金を使ったんだ。これ以上、出せるわけがない!!」


興奮する教頭を制止して理事長が代わってアスラと話す。


理事長「お金を出すことに異論はありません。ですが理由を教えてもらえませんか?」


アスラ「1人配下にしようとしているヤツがいるんだが、店に欠かせない存在のようでな。ソイツを引き抜くのに金が必要なのだ」


理事長「なるほど・・・色々聞きたいことがありますが、とりあえず金額はどのくらい必要なんですか?」


アスラ「ソイツが抜けた後も6~7年店をやっていくのに困らない金額だ」


理事長「それはあまりにも抽象的すぎるわね。その前に、どんなお店か教えて頂かないと・・・」


アスラ「認定証とやらを持っているヤツに、ご主人様と呼んでくる妙な店だ。そういえば別のところでは、お嬢様と呼んでるヤツもいたな」


理事長「それって・・・」


理事長と教頭で顔を見合わせた。


教頭「ま、まさかメイド喫茶のことを言っているのかね!?」


アスラ「そんな名前だった気がするが、そうでもない気もするな」


理事長「そうでもない気もする・・・ですか?」


アスラ「正直名前はあまり覚えていない」


理事長は血相を変えてアスラに詰め寄った。


理事長「これは重要なことですよ!!なんとか思い出してください!!」


仮にメイド喫茶であれば、当然女の子だ。


高校野球での甲子園優勝を目指した人材集めにおいて、男の子であることは最低条件だ。


当然アスラもそのことは理解しているはず。


メイド喫茶かそれとも執事喫茶か。


いち早く真偽を確かめたい理事長は必死でアスラに店の名前を聞いた。


その時、アスラは思い出したかのようにずっと手に持っていたケーキの箱を理事長に見せた。


アスラ「これは、その店で買ったものだ。これに名前が書いてないか?」


理事長はケーキの箱を受け取り、店の名前を確認する。


するとそこには執事喫茶の名前が書いてあった。


その店名を見て理事長は安堵のため息をついた。


しかし、教頭は驚いた表情でアスラに言った。


教頭「そ、それにしても男のキミがどうして、そんなところに入ったのかね?」


アスラ「マミに誘われたんだ。当の本人は途中で居なくなったがな」


理事長「それにしても店に欠かせないってことは働いてるってことよね?小学生で働いて大丈夫なの?」


アスラ「ソイツの親代わりが店長をやっていて、その手伝いをしているらしい」


理事長「なるほど・・・」


これですべての謎が解け、納得した理事長と教頭。


理事長は、部屋にある隠し金庫から大きなアルミケースを取り出した。


理事長「この中に1億円が入ってます。これだけあれば、相手の方もその子を手放すと思いますよ」


アスラ「そうか」


教頭「り、理事長一体どこからそんな大金を!?」


理事長「それは企業秘密ですよ、教頭先生」


そう言って理事長はアルミケースをアスラに手渡した。


その際に理事長はアスラに言った。


理事長「私はその子に1億円という大金を投資しました。ですがその選手に1億円の価値が本当にあるんでしょうか?」


アスラ「価値はある。アイツは、あのゼラの殺気に耐えただけでなく、それ以上のことをやってのけたんだからな」


教頭「な、何をやったというんだね?」


アスラは一呼吸おいて理事長と教頭に言った。


アスラ「笑ったんだ。殺気を見せるオレとゼラの方を向いてな」


理事長室の空気が静まり返る。


殺気を向けた相手に笑顔を向けることが1億円の価値に繋がるというのはハッキリ言って意味が分からない。


2人が理解していないことを悟ったアスラは実際に殺気を理事長と教頭に向けた。


理事長・教頭「!?」


理事長「うっ!?く、苦しい・・・」


教頭「あ、あがががが」


アスラは気絶寸前のところで殺気を解いた。


アスラ「どうだ?こんな状態で笑顔を向けることができるか?」


理事長・教頭「た、たしかに・・・」


アスラ「さらに言えば、オレとゼラで殺気を向けたんだ。威力は今のお前らの2倍になる」


理事長「そ、それは間違いなく凄い逸材ですね」


アスラ「普通は圧倒的な強さを持つ相手に殺気を向けられたら笑うようなことはしない。イカれたヤツなら話は別だがな。だがアイツは違う。しかも何か決意を決めたような目をした後に笑ったんだ」


自分たちが体験した殺気の2倍の威力を耐えながら決意を固めた目を見して、笑顔を向ける。


正直に言うと、その人物はかなり危険なのではと思う理事長と教頭。


その2人の不安を余所(よそ)にアスラは、金を持ってそのままメイドカフェへと向かった。


アスラが着いた頃にはメイドカフェはすでに閉店しており、店には店長である真野の叔母と真野の2人しか残っていなかった。


アスラはドアを破壊して店内に入って行った。


真野「あ、あなたは今日来てた・・・」


アスラを見た真野は身体を震わせながら後ずさりする。


叔母は、真野を庇うように前に立ちアスラに言った。


叔母「い、一体何が目的なの?お金ならそこのレジにあるわ。だから早く帰ってちょうだい」


アスラ「金はいらん、目的はソイツだ」


アスラは真野を指差す。


真野「あわわわ」


もはや言葉を発することもできず、あたふたする真野。


その真野を強く抱きしめ、叔母はアスラを睨んだ。


叔母「この子は絶対渡さないわ。たとえどんなことがあろうとも」


アスラ「お前らは本当の親子でないはず。そこまでする理由はなんだ?」


叔母「そんなの関係ないわ。本当の子じゃなくても美沙は私の子よ」


真野「叔母さん・・・」


まさに親子の愛が深まるような温かい雰囲気が2人を包む。


だが・・・


アスラ「お前のその行動や言動がコイツを困らせていることにまだ気が付いていないようだな」


叔母「え?」


アスラ「お前がそういうことを言うからコイツは自分の本音が出せなくなる」


真野「・・・・・・」


先程までの温かな雰囲気が一変してピリピリした雰囲気に変わる。


叔母「美沙、私に何か言えないことがあるの?あるなら言ってちょうだい」


真野「そ、そんなのあるわけないよ」


叔母「本当に無いのね?」


真野「う、うん」


アスラ「そんな脅すように言ってもコイツが本心を言うわけないだろ。そんなこともわからないで自分の子供とはよく言ったものだな」


叔母「さっきからあなたは何なのよ!!あなたには、この子の本音がわかるっていうの!?」


アスラ「わかるさ。なら聞くが今のコイツの生活は幸せだと思うか?」


叔母「し、幸せに決まって・・・」


叔母はここで言葉を詰まらせた。


アスラ「学校から帰れば、他のヤツらは遊びに行ったり自分の好きなことをするが、コイツは毎日ここで働いている。本当にこれが幸せだと言えるのか?」


叔母「・・・・・・」


叔母は黙ったまま下を向いた。


今度は真野が叔母を庇うように前に立ちアスラに言った。


真野「私はメイドカフェで働くのが好きなんです。私はとても幸せです」


アスラ「お前の言葉など聞いていない。オレはソイツに聞いているんだ」


叔母は何も答えず、下を向くばかりだった。


叔母は頭の中で今までの真野の生活について振り返っていた。


家に帰れば毎日メイドカフェで働き、休憩時間は勉強や宿題。


真野に気が休まる時間は無かった。


叔母は絞るような声で真野に謝った。


叔母「ごめんなさい、美沙。たしかにあなたの生活は幸せじゃなかったわね。きっと私は心の中ではとっくに気付いていたんだわ。でもここの店で大人気になったあなたを辞めさせることができなかった・・・いや辞めさせたくなかったのよ」


真野「叔母さん・・・」


アスラ「ついに自分の本音を出したみたいだな。さて今度はお前が言う番だぞ?」


真野「え?」


いきなり話をふられて真野は固まった。



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