第18話 アスラとゼラ、メイドカフェに初来店!?
4人は、メイドカフェに入って行くアスラたちを見て頭を抱えた。
風谷「予想通りとはいえ、なんでここに来ちゃったかな~」
森「大方、あのオタクたちに唆されたんやろ?」
中山「今日は危険因子がもう一人いるし、何事も起きなきゃいいけど」
三崎「でもすごく嫌な予感がする・・・」
ゼラ「しかしまさかアスラ様の行き先と、このような輩が一緒とは分からないものですね」
アスラ「そうだな」
オタクたちが受付を終えると店内から真野が出てきた。
真野「お帰りなさいませ、ご主人様。長旅お疲れさまです」
オタクA・B・C「ただいま~」
ここのメイドカフェでは主人は勇者という設定だ。
アスラとゼラはオタクたちのただいまという返答に首をかしげた。
アスラ「ここは、お前達の家だったのか?」
オタクA「もちろん。ここは私たちの家ですよ」
真野「ご主人様。今日は、お友達も一緒なんですね」
オタクB「うん、そうなんだよ」
真野「それではご主人様と、お友達の皆さん。今日は旅の疲れを癒して萌え萌えパワーをた~くさんチャージしてくださいね」
パワーという言葉にアスラとゼラの目が光る。
アスラ・ゼラ「(萌えパワーだと?)」
アスラとゼラは顔を見合わせ不敵な笑みを浮かべた。
ゼラ「アスラ様、よくわかりませんが、ここでは萌えパワーという未知のパワーを堪能できるみたいですよ?」
アスラ「そのようだな。萌えパワーとやらがどれほどのものか楽しみだ」
完全に戦闘モードになっているアスラとゼラを店の外で見ていた4人は気味悪がっていた。
風谷「な、なんか笑ってるぞ」
森「あの顔は絶対変なこと考えとるで」
中山「絶対そうだよ」
4人は真野に会いに来たと嘘をつき裏口から店に入ると急いで昨日行った秘密の場所へと向かった。
真野「それでは、お屋敷の中へどうぞ」
真野が扉を開けると多くのメイドたちが出迎えてくれた。
真野「ご主人様のお帰りで~す」
メイドたち「お帰りなさいませ、ご主人様」
この人数にはアスラとゼラも驚いた表情でオタクたちを見た。
アスラ「お前たちには、こんなに多くの配下がいるんだな」
ゼラ「どう見ても身体能力は、お前たちの方が劣っているはずなのに」
オタクA「まぁ、配下というよりメイドさんですね」
ゼラ「メイド?」
オタクB「清掃、洗濯、炊事などの身の回りの世話をしてくれる人のことを言うんですよ」
アスラ「それはつまり世話係ということだな」
オタクC「そういうことです」
真野「それでは、こちらへどうぞ」
真野に案内され席に座るアスラたち。
ゼラ「座って一体何をするんですかね?」
アスラ「さぁな。オレはケーキとやらが食えればそれでいい」
2人が話していると真野が会話に割って入ってきた。
真野「ところで、ご主人様たちとはどこでお知り合いになったんですか?」
アスラ「よくわからん。さっき、その辺で会ったばかりだ」
真野「なるほど・・・その辺で魔物退治をされているところをご主人様と知り合ったんですね。魔物の相手はさぞかし大変だったでしょう」
アスラ「魔物と戦った覚えはないが、ここの世界の人間の相手は大変ではあったな」
真野「失礼ですけど、今、おいくつなんですか?」
アスラ「おいくつだと?」
アスラは少し考えた後、ゼラに視線を向ける。
アスラ「アイツの言ってることが全然わからん。ゼラ、お前が代わりに答えろ」
アスラの命令を受けゼラは手帳のようなものを出して代わりに答えた。
ゼラ「アスラ様は14歳・・・ということになっている」
歯切れの悪い回答に真野は疑問に思いながらも自分たちのキャラ設定に年齢までは考えていなかったのだろうと自己解釈する。
そして真野はゼラにも同じ質問をした。
ゼラ「まぁ、ここの世界ができる前からいるんだから最低でも500億以上は・・・」
真野「うわぁ~、すごく長生きしてるんですねぇ」
普通ならドン引きされるような内容だが、ここではそういうことにはならない。
このことに4人は複雑な表情で、アスラたちの会話を聞いていた。
積極的に話しかける真野に今度はアスラが質問する。
アスラ「オレに聞いたことと同じことになるが、お前は一体いくつなんだ?」
真野「私は9歳で~す」
オタクA「ミイちゃんは凄いよねぇ。小学4年生で、ここの看板娘なんだからさ」
アスラ「小学4年生だと?」
小学4年生という言葉にアスラの目つきが変わる。
そして、いつものように身体能力を見た。
アスラ「(う~ん・・・ギリギリ合格といった感じではあるが、多少心配なところもあるな。とりあえず保留ということにしておこう)」
身体能力を見られているなど夢にも思っていない真野は自己紹介を始める。
真野「改めまして、魔法の国からやってきました。妖精少女のミイで~す」
ゼラ「魔法か・・・」
ゼラは何かを思い出したような顔をすると、おもむろにため息をつき始めた。
アスラ「どうした?」
ゼラ「ちょっと親神のことを思い出しましてね」
アスラ「そういえば親神の相手をしたのは、お前だったな」
ゼラ「はい」
真野「親神って、神様のことですか?」
ゼラ「正確には神を生んだヤツと言った方が正しいな」
真野「すご~い、神様を生んだ人と会ったんですか?」
ゼラ「会ったんではなく戦ったんだ」
真野「すご~い。神様と戦ったんですね」
アスラ「それで親神と戦ってみてどうだったんだ?」
ゼラ「他の神と大して変わりませんでしたよ。まぁ能力は多彩ではありましたけどね。それにしても苦し紛れに使った最後の技が魔法だったんで、ちょっとあれは有り得ないと思いましたね」
アスラ「なるほどな。せめて自分のすべてと引き換えにするくらいの大技を出して欲しかったところだな」
ゼラ「はい」
真野「あの~・・・ということは、その神様に勝っちゃったってことなんですか?」
ゼラ「それ以外に何がある?」
真野「その神様を生んだ人にどうやって勝ったんですか?」
ゼラ「まぁ実際に不死身の身体も持っているし、ダメージも一切受け付けない。攻撃も技も無効。さらに物事の概念をすべて思い通りに変えることができるし、死や消滅といった概念も存在しない。これだけでも勝つのは無理だと思われても当然だな」
ゼラの会話に合わせ、真野は何度も頷いた。
アスラ「だがそういう類のことは、オレたちの種族には通用しない」
真野「どうしてですか?」
アスラ「なぜ、不死身の身体なのか。攻撃も技も無効なのか。物事の概念が思い通りになってしまうのか。死や消滅の概念が存在しないのか。そういう類の物には必ずここの世界で言うところの原理がある。神たちは、原理という概念は自分たちが作ったものだからそんなことはありえないと否定しているがな。だがオレたちは、その原理を突いて神を倒している。中には消した神もいたな」
真野「は、はぁ・・・」
いきなりぶっ飛んだ話に発展して、どう反応してよいか分からなくなってくる真野。
真野「えっと・・・ところで神を生んだ人に勝ったってことは殺しちゃったんですか?」
ゼラ「もしそうしていたら、ここの世界など存在しないだろ」
真野「そ、それもそうですよね・・・」
ゼラ「今は神界で、オレたちの手となり足となり働いている」
真野「へ、へぇ・・・そうなんですか」
完全に真野は2人の会話についていくことができず、かなり引いていた。
その時、他のオタクたちが構ってくれないことに不満を爆発させる。
オタクA「さっきから2人とばかり話してるけど、こっちにも話しかけてよ」
真野「も、申し訳ありません、ご主人様」
真野はオタクたちと話すことで、いつもの接待ペースを取り戻すことにした。
そして・・・
真野「それではメニュー表になりま~す。内容をご説明させていただきますね」
真野が分かりやすく丁寧に説明するがさっぱり理解できないアスラたち。
なにより説明の合間に出てくる萌えパワーという言葉が理解できないのが一番の原因だった。
オタクB「あなた方2人の注文は我々に任せていただきましょう」
アスラ「ああ」
アスラとゼラは萌えパワーについて考えていた。
アスラ「(ここでは、どれを頼んでも萌えパワーが入っているようだ。この萌えパワーを身体に取り込むことで一体どんなパワーアップをすることができるというのだ?)」
ゼラ「(攻撃力が上がるのか?それとも防御力?スピード?)」
2人で頭を悩ませているとオタクの1人が手紙のような物を出してきた。
オタクC「ミイちゃん認定証持ってきたよ~」
真野「持ってきてくれたんですかぁ~、嬉しいですぅ~。他のご主人様たちも持ってきましたかぁ?」
オタクA・B「持ってきましたぁ~」
アスラとゼラは認定証をまじまじと見た。
アスラ「なんだ、これは?」
ゼラ「我々は、こんなもの持ってないぞ?」
真野「それじゃあ、お友達の方々は魔法の国に入国できるか審議してきますね」
そう言って真野は店の奥の方へと消えて行った。
アスラ「どうやら認定証とやらが無いとダメらしいな」
ゼラ「万が一の場合は、このオレが強制的に認定証を奪ってやりますよ」
アスラ「それにしても・・・」
アスラは真野が入って行ったドアをじっと見た。
アスラ「あそこの扉の向こうは、どうやら魔法の国と繋がっているようだな」
ゼラ「今頃、我々のことをどうするか会議をしているに違いありません」
アスラ「ああ」
ゼラ「しかし次期支配者候補でもあるアスラ様を審議にかけるとは、決して許される行為ではありませんよ」
アスラ「別にそこまで怒る必要はない。結果は決まっている。オレが審議に通らないことはまずありえない。というよりあってはならないことだ」
腕組しながら待つアスラの身体からオーラのようなものが出ていた。
その様子に4人はハラハラしながら見ていた。
風谷「かなり危なかったけど、今のところ問題は起こしてないな」
中山「このまま無事終わってくれればいいけど」
その時、4人の存在に気付いた真野に声をかけられた。
真野「あれ?今日はどうしたんですか?」
三崎「美沙・・・あそこに座ってる2人には注意して」
三崎はアスラとゼラの座っている席を指差した。
指差した方を見て、真野も少し苦笑いをした。
真野「まぁ、ある意味注意は必要ですね。あんなに自分の世界にのめり込んでる人は始めて見ました」
風谷「じ、自分の世界・・・ねぇ」
真野「はい。『自分の年齢は500億以上だ』とか『オレは神を生んだ親神と戦って勝った』とか『今、親神はオレたちの手となり足となり働いている』とか」
その人の言ってることはおそらく真実であるとは口が裂けても言えない4人は、ただ黙ることしかできなかった。
真野「でも、そういうお客さんとも接待した経験もあるんで大丈夫です」
森「と、とにかくあの2人を刺激するようなことは、せぇへんといてな」
真野「はい。それにお手伝いとはいえ私も立派なメイドです。ご主人様を不快にさせるようなことは絶対しません」
4人に一礼して去って行く真野。
その後ろ姿を4人は心配そうに眺めていた。
森「あの様子じゃ、全然わかってへんな」
三崎「そろそろ何か起きるような気がする」
この後、真野は初めて恐怖のお給仕を経験することになる。




