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私たちの監督は14歳で、かなりヤバいっ!!  作者: フムフム竜
小学生編
10/61

第10話 三崎とアスラの初対面

翌日・・・


アスラ「記録は3時間40分だ」


今回は作戦が上手くいったのか、昨日とは違って余裕を持った時間で頂上へ辿り着くことができた。


アスラ「これでお前らは、すべての道を制覇したわけだ」


風谷「おぉっ!?何かそう言われるとだんだん達成感が出て来たな」


中山「そうだね。後は早く頂上に辿り着けるよう心がければいいだけだよ」


風谷「ああ」


2人が達成感に(ひた)っている中、森がアスラに前から思っていたことを尋ねた。


森「ホンマに今さらなんやけど、ウチら兄ちゃんのことなんて呼べばええんや?」


中山「そういえばそうだね。なんて呼べばいいんだろう?」


風谷「監督って感じでもないしな」


呼び方について悩んでいるとアスラは、あっさりと答えた。


アスラ「そんなものは決まっている。お前らはオレを『アスラ様』と呼ぶんだ」


風谷・森・中山「えぇっ!?」


正直かなり痛々しい呼び方に風谷と森は猛反発した。


風谷「なんでアタシたちが『アスラ様』なんて呼ばなきゃいけないんだよ!!」


森「そうや!!そんな呼び方は絶対イヤやで!!」


アスラ「何を言っている?お前らはオレの配下なんだからそう呼ぶのは当然だろ?」


風谷・森「うっ!?」


この時、選手集めを任せて欲しいとアスラに頼み込む際に自分たちを配下と思ってくれと言ったことが仇となった。


ここで中山がアスラに提案する。


中山「じゃあ、ここの世界の人が支配者を呼ぶ時の呼び方でいいんじゃないかな?」


風谷・森「え?」


アスラ「ほう、それは興味深いな。ここの世界では一体なんと呼ぶんだ?」


中山「ここの世界では支配者のことを○○兄ちゃんや○○姉ちゃんと呼んでいるの。だからあなたのことは『アスラ兄ちゃん』って呼ぶことになるね」


この呼び方に風谷と森が賛同する中、アスラだけは首をかしげていた。


アスラ「それは随分と変わっているな。そういうのは妹や弟だけが呼ぶものだと思っていたが・・・」


中山「ここの世界ではそうじゃないの。それにこの呼び方は支配者に対してだけじゃないよ。尊敬する人にだって呼ぶこともある。あと呼び方は他にもあって○○の兄貴とか○○の姉貴っていう呼び方もあるよ」


アスラ「なるほどな。支配者以外にも尊敬するヤツに対してもそう呼ぶのか。本当にここの世界は変わっているな」


3人からしてみれば、むしろ変わっているのはアンタの方だよと突っ込みたかったが、そこはグッと(こら)えた。


アスラ「よし、今回はここの世界の呼び方を採用することにする」


中山「本当に!?それは良かったよ」


思ったよりもあっさりと中山の提案を聞き入れたアスラ。


これは普段からマミにそう呼ばれていたことが要因である。


だが風谷と森の表情は複雑だった。


風谷「(おい、あんな嘘言っちゃって大丈夫か?)」


中山「(大丈夫だよ。半分は嘘じゃないんだし)」


森「(でもこれが変なことに繋がらなきゃええけどな・・・)」


今回のようにアスラを騙すような形でやった行為が裏目に出ないことを祈る風谷と森であった。


放課後・・・


3人は昨日と同様に馬越バファローズの練習場に来ていた。


やはり昨日と同じく外野の方に彼女はいた。


森が気さくに三崎に話しかける。


森「なぁ、ちょっとええか?」


三崎「・・・・・・」


三崎は目線だけ森に向けただけで何も答えない。


表情からは何も読み取れず森も話を続け辛そうだった。


そこで今度は中山が三崎に話しかける。


中山「昨日の返球見たけど凄かったね。やっぱり野球が好きなの?」


三崎「・・・別に」


ようやく三崎は口を開いたが返事は素っ気なかった。


風谷「じゃあ何で練習を見てるんだ?」


三崎「・・・・・・」


風谷「アタシたち、女子だけの野球チームを作ろうと思ってるんだけど入る気はないか?」


その言葉に三崎は反応した。


風谷「あれだけの素質を持ってるのに野球をしないなんて勿体ねぇよ」


中山「三崎ちゃんなら絶対に最強の野球選手になれるよ」


三崎「最強の野球選手?」


森「ウチらのチームの目標や。ウチらは全員最強の野球選手を目指してやってるんやで」


三崎「・・・本気なの?」


風谷「正直アタシたちも最初はどうかと思ったけどさ。監督・・・いやアスラ兄ちゃんを見たら本当にできるかもって気になったよ」


三崎「・・・・・・」


中山「一度だけアスラ兄ちゃんに会ってくれない?そうすれば、私たちの言ってる意味がわかるからさ」


三崎「・・・・・・」


三崎は3人を疑わしい目で見たが結局アスラと会うことにした。


河川敷へ向かうとアスラは野球入門書を読みながら待っていた。


このアスラの姿を見た三崎の第一印象は最悪だった。


三崎「(こんな野球入門書を読んでる人が監督?私は騙されたの?)」


三崎は疑惑に満ちた目で3人を見た。


森「あ、アスラ兄ちゃんは、ああ見えて、ごっつすごいねん。まぁ、口は悪いし、性格は・・・よくあらへんな」


風谷「おいおい全然フォローになってねぇじゃねぇか」


三崎「・・・・・・」


風谷と森の話し声に気付いたアスラは見慣れない三崎を見て、いつものように身体能力を見た。


アスラ「(身体能力はパワーが大きく飛び抜けているな。だからといって他の能力が劣っているという訳でもない。むしろ基準よりもはるかに高い)」


アスラはゆっくりと三崎の方に向かって歩いた。


三崎もアスラの接近に気付いたが特に動かず、黙ってじっとアスラを見る。


するとアスラは三崎の顔に人差し指を向けて言った。


アスラ「お前は合格だ」


表情には出さなかったが、いきなり合格判定を出されて三崎はかなり動揺していた。


その感情を汲み取ったのか、アスラは合格の理由を三崎に言った。


アスラ「オレは見ただけで相手の身体能力がわかる。お前は全体的に基準値を大きく超えている。特にパワーは見るものがあるな」


三崎「見ただけで身体能力がわかるって・・・あなた、頭大丈夫なの?」


アスラ「こいつは驚いたな。いきなりオレの身体を心配するとは・・・」


風谷・中山・森「いや、そういう意味で言ったんじゃないよ!!」


3人の突っ込みが聞こえていないのか話を進めるアスラ。


アスラ「しかし、お前のようなヤツにそんなことを言われるとは思わなかったな。これはさすがにオレもイラっと来たぞ」


風谷・中山・森「えぇっ!?身体の心配をされてなんでイラっとするの!?」


アスラ「オレはいくつもの戦場の修羅場をくぐって来た。それを平和な世界で暮らしてきたお前のようなヤツに身体の心配をされるなど屈辱以外のなにものでもない」


風谷・中山・森「えぇぇぇっ!?意味わかんないよ!!」


三崎「(こ、この人・・・絶対おかしい)」


また何かやらかすかもしれないと判断した3人は急いでアスラの怒りを鎮めようとする。


風谷「こ、ここは落ち着こうぜ」


森「合格なんやから、この子も立派なアスラ兄ちゃんの配下やで」


中山「配下が支配者の心配するのは当然でしょ?」


三崎「(私・・・いつから配下になったの?)」


アスラ「・・・なるほど、それもそうだな」


3人の説得でアスラの怒りは一気に鎮まる。


先程のアスラとのやり取りで完全にヤバい人だと判断した三崎は急いでこの場から立ち去ろうとした。


だがアスラの言葉に三崎の足が止まる。


アスラ「ところでアイツらから聞いたが、お前は掛け持ちを望んでいるようだな」


三崎「・・・ええ」


アスラ「それについてはオレは一向に構わないと思ってる。特訓は習い事とやらが終わった後にやればいいんだからな」


三崎「終わるの・・・5時半なんだけど?」


アスラ「別に問題ない」


三崎「特訓って・・・一体なにをするの?」


アスラ「山登りで頂上を目指すだけだ」


三崎「それって・・・」


3人は何も言わず三崎に頷いた。


三崎「泊まり込みはできないわ。山登り以外に練習方法はないの?」


アスラ「ないな。そもそもお前らが山登りの特訓が必要ないほどの身体能力を持っていればこんなことはしない。原因は、お前たちの未熟な身体能力にある」


三崎「・・・・・・」


三崎は黙って偶然転がっていたボールを拾い上げアスラに突きつけた。


三崎「そんなに私の身体能力が未熟だって言うなら・・・あなたの野球の実力を見せて」


アスラ「実力?」


三崎「私が投げるボールを打つの。ただし、打つ距離は普通よりも半分の距離から」


アスラ「このアスラ様に挑むとはいい度胸だな。その勝負受けてやる」


三崎「勝負は3球、1球でもヒットを打てたらあなたの勝ち。ボール球はカウントに入らないわ」


いきなりの勝負展開になり困惑する3人。


だが勝負をするにも道具がなかった。


森「これじゃ勝負はできへんな。これはアスラ兄ちゃんがウチらの誰かの家にある道具を瞬間移動で持ってくる以外ないで」


アスラ「そんな必要はない。道具ならあそこにある」


アスラが指差した方向に小学生の集団がいた。


小学生A「うわぁ~、いいなぁ~」


小学生B「すごいだろ。メジャーでも活躍した山田選手のサイン入りバットとグローブだぜ」


小学生C「ボクも欲しいなぁ」


小学生B「お前らが手に入れられる訳ないだろ?これはパパがオレのために特別に書いてもらったサインなんだぜ?これを手にしているオレは神に選ばれた人間なのさ。あはははは」


アスラ「そうか・・・神に選ばれた人間か」


周りに自慢して高笑いしている小学生Bの背後にアスラが現れた。


小学生B「うわっ!?だ、誰だよ、お前」


アスラ「そのバットとグローブを少し借りるぞ」


小学生B「ふ、ふざけんな!!誰がお前みたいなヤツに!!」


アスラ「そのバットとグローブは神に選ばれた人間しか手に入れられないんだろ?」


小学生B「そ、そうだぞ。だからお前なんかには絶対に・・・」


アスラ「オレは神をはるかに超えた存在だから手に入れる資格がある」


小学生B「か、神を超えた存在だって?コイツ頭おかしいんじゃねぇか?」


アスラ「神に選ばれたと言っていた、お前にだけは言われたくないな。それを渡さないと言うのなら強制的に奪うことになるぞ」


小学生B「お、オレたちとやろうっていうのか?おい、みんなやっちま・・・」


号令をかける前にアスラが小学生Bの顔面を1発殴る。


小学生Bは鼻血を出しながら数メートル吹き飛ばされた。


それを見た他の小学生たちは一目散に逃げて行った。


アスラは気を失っている小学生Bからバットとグローブを強引に取り上げて戻って来る。


アスラ「ほら、手に入れてきたぞ」


三崎「ちょっ、ちょっと待って・・・こ、これはかなりやり過ぎ・・・」


森「それ以上言っても無駄やで」


三崎「え?」


風谷「わかるだろ?あれがアスラ兄ちゃんのやり方なんだよ」


中山「三崎ちゃんも今にわかってくるよ」


動揺する三崎を余所(よそ)に3人は、黙々と勝負の準備をするだけだった。


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