ティラノサウルスが現れた
ガオーと雄たけびを上げて巨大な影が朝日に照らされる。白亜紀の王者、ティラノサウルスである。ティラノサウルスは現代に復活し、人間の住む街へ向かった。
「ほら早く学校行きなさい。」
「やだ。学校行っても楽しくないんだもん。」
「そんなんじゃいい高校に入れないわよ。」
ティラノサウルスは学校に行くのを渋る小学生をガブッと食いちぎった。
「死んでもいいからちゃんと成績上げるのよ。」
「最近やる気がないんじゃないか。」
「すみません。」
「空返事だな。とにかく今日も残業してもらうからな。」
「わかりました。」
ティラノサウルスは仕事に疲れた平社員を尻尾で勢いよく叩きつけた。
「最近の若い者は殺されないとやる気が出ないらしい。」
「今の政府だとこの国は滅びます。だからこそ革命が必要なのです。」
「俺、そういうのに興味ないから。」
ティラノサウルスは勧誘を受けていた若者を巨大な足で踏みつぶした。
「皆さんこうならないように今こそ立ち上がりましょう。」
「この作品は女性の権利を否定しています。弾圧すべきです。」
「そのように規制ばかりだといい作品は生まれない。」
ティラノサウルスは表現の自由を主張する評論家を蹴っ飛ばした。
「男性は女性を優先的に扱うべきです。」
「今回の事件に関しての情報をお聞かせください。」
「しつこいです。もう帰ってください。」
ティラノサウルスはマスコミに追われる被害者を噛みちぎった。
「報道の自由を否定してはいけません。」
ティラノサウルスは今日も人間の世界を駆けてゆく。